30キロレースペース走

2010/02/14, 21:00 | 固定リンク

2月14日 日曜日 晴れ 30キロレースペース走

 今日はヴァレンタインなんだってね。今年もらったチョコレートの数。現在0個。それって男として、どうなんだろうね。
  
 雨が降り続いたおかげで、休養も取れ、膝も少しづつ快方に向かっている。そろそろキツい練習に復帰しよう。30キロのレースペース走。読んで字の如し。30キロをレースペースで走り続ける。数ある練習の中でも、かなりキツい部類に入る。膝の具合も考えて、目標をキロ5分40秒、タイムを2時間48分に設定した。走り始めて、そのペースでは遅過ぎることを悟った。遅くてリズムが掴めない。すぐにキロ5分15秒に修正した。長距離レースペース走をやる意味。スタミナをつけること、自分のベストのペースを身体に覚えさせること、不測の事態に対応できるようにすること、補給のタイミングを知ること、エトセトラ。フルで4時間あたりのランナーは水以外にエネルギージェルを補給しなければ、確実に後半、低血糖状態に陥る。けれど、複数携帯して走るには重い。それゆえ、だいたいどのあたりでそれが枯渇するのか知っておかねばならない。喉が渇いたとき、既に脱水は始まっている。気がついてからでは遅い。だからと云って、補給しすぎるのも良くない。距離を重ねる度に、身体に起きる変化をできるだけ知っておきたかった。自分で決めたペースがまったく落ちないのが自分の特徴。おそらくそれはリズム感に起因している。スピードはないけれど、スタミナとリズム感はある。きっちりと5分15秒前後のラップを重ねていく。特定の筋肉に異変を感じたら、少しの間、走り方を変えて、恢復を待つ。その間もラップは落とさないように気をつける。10キロ毎に水を補給。15キロでエネルギージェルを補給。目標より、5キロあたり2分以上速く走っているが、まったく問題なし。そのままラップを落とすことなく、2時間36分でゴール。平均ラップ5分13秒。このままフルを持ちこたえれば3時間40分になる。けれど、ここから先の12キロで何が起きるかは未知数。4時間を切るために、ここまでで稼いだマージンは12分。まだ微妙だと思う。問題は28キロ過ぎから空腹になったこと。走る2時間前にきちんと食事をしていたが、空腹はまずい。それはエネルギー切れを意味している。人は脂肪を燃焼させながら走るのだけれど、極端に脂肪がなくなってしまった以上、エネルギーを備蓄する方法を考えなければという重要な課題を残した。
 忘れもしない去年の10月28日。初めて30キロを走った。25キロを過ぎた頃からまるで自分の足ではなくなったように感じた。正直に書くなら、あまりの辛さに泣きながら走り終えた。その時の記録、3時間11分。3ヶ月で35分縮めたことになる。しかも、まだスタミナは充分残っていた。努力すれば、必ず結果は出ることを知った。けれど、慢心はしない。何かアクシデントが起きたなら、相変わらず自分がボーダーラインすれすれのところに位置していることは間違いないと思っているから。 

 何だか暑苦しいマラソンブログになっちゃったね。悪い。
 ファンからの報告にもあるように、アシュレイ・マックアイザックがオリンピックの開会式で演奏してたんだってね。彼が元気なのを知って、とても嬉しい。僕が彼を初めて観たのは14年くらい前のこと。確かチーフタンズのコンサートにゲスト出演した時だったと思う。リーダーのパディー・モローニがツアー中、カナダのトイレでものすごいフィドルを弾く彼を偶然見かけて、ツアーに誘ったと聞いた。彼はステージにローラーブレードをはいて現れ、凄まじいフィドルを踊りながら弾いた。オレは完全にノックアウト。まるでフィドルを持ったジミヘンみたいだった。記憶が正しければ、そのまま楽屋でレコーディングに参加してくれるようオファーした。彼はスタジオにやってきて、信じられないフィドルを弾いてくれた。曲は「ホーボーマン」。ワンテイクで何の問題もなかったのに、彼は演奏を止めようとしなかった。目つきや風貌も含めて、随分と危うい男だった。魅力的だったけれど。あまりに演奏が素晴らしかったから、僕はお礼がしたかった。「何か欲しいものはないかい?」と聞いたら、彼は「ドラえもんが欲しい」と云った。僕はキディーランドに行って、一番でっかいドラえもんを買って、彼にプレゼントした。多分、身長150cmはあったな。翌日、彼のライヴに行ったなら、そのドラえもんがステージのド真ん中に置いてあって、彼はローラーブレードでそれに蹴りを入れながら、凄いフィドルを弾いていた。まったく、大した男だった。後に聞いた話だと、彼はドラえもんと飛行機に乗って帰国したのだと。元気だといいな、と思っていた。危うい男ゆえ。だから、そのニュースは特別に嬉しかった。また一緒に演奏したいな、心から。

by 山口 洋