思考の狭間

2007/01/30, 23:14 | 固定リンク

1月30日 火曜日 曇り 

 メロディーを考えている。考えている間は没入している。近年はギターも必要とはしなくなった。煮詰まったら、場所を変え、時には歩きながら考える。この世に俺が存在してるのかどうか、それも良く分からないような不思議な時間。俺なのに俺でないような。歩いているのに、脳内を彷徨っているような、不思議な時間。出来るだけ音楽が流れていない場所を選んで。手にはipod。何かが浮かんできたら、それに録音する。と、その時、ケツのポケットに入れていた携帯が鳴る。う、出なければならない。殆どは些細な連絡事項。1分話した。嗚呼、あのフィーリングは木っ端みじんに消えてしまった。しゃーない。それが人生。また歩き出す。「あの感覚」に戻るにはまた時間を要する。うっしゃ、その感じだ。また携帯が鳴る。一瞬、破壊したい衝動に駆られるが、俺も大人だ。出る。今度はちょっとしたトラブル。5分話した。嗚呼。あのフィーリングは何処へ。
 そんな事を一日中、繰り返している。タクシーで見かける広告。モノを考えている時だけは、あの「個人的秘書」ってやつを雇いたくなる。そろそろ山の中に戻りたいなぁ。

by 山口 洋  

痺れる脳髄

2007/01/29, 23:57 | 固定リンク

1月29日 月曜日 晴れ 

 クソっ。昨日も飲み過ぎた。減点5。
 今日こそは時間に遅れる訳にはいかん。俺が理解していたのは、夕方からFM東京の生番組に出て歌うってものだった。時間には間に合った。しかし、建物はFM東京ではなかった。その隣だ。ん?入り口で、斉藤誠さんに初めてお会いして「今日はよろしくーーっ」と超がつくくらいナイスな挨拶を頂いて、頭の中のでっかい?はますます巨大になるのだった。生演奏?ん?お前ギター持ってないじゃん。もうダメかもしれん。ボケてきたのかもしれん。減点10。
 実のところはこうだった。斉藤誠さんがメインのパーソナリティーを努めていらっしゃる、ライヴ演奏をメインとした、全国ネット番組の収録。生じゃありませんから。今時あり得ないくらい、音楽に愛のある番組で、3曲フルに歌わせてもらって、新しいアルバムのことも、つっかえながらも語らせてもらって、しかも、スタッフの下調べと斉藤さんのホスピタリティーは完璧なもので、蛇足だけれどアシスタントの美しい女性の父親は俺と同じ歳で、放送作家はずっと前に一緒に番組をやらせてもらってた恩人で、エトセトラ。俺はどこで情報を間違って脳味噌にインプットしたのか?おまけに俺はセータを2枚、重ね着してて、歌ってたら暑くてかなわんっつーの。減点20。
 何にせよ、呼んで頂いて感謝してます。これに懲りずにまた声を掛けて下さい。もし、そんな事があるなら、是非、斉藤さんと一緒に演奏させて欲しいっす。

 痺れる脳髄。

 それには訳がある。俺は同時に複数のことが出来ない。その代わり、短いけれど、集中力ならある。プロモーションと音楽制作とライヴと、エトセトラ。同時にいろんな事をやってることに無理があるのだ。でも仕方ない。アーメン。それが俺の日々。痺れゆく脳髄、アゲイン。

 都内某所に場所を移した。「モノを創る」ってことはどういうことなのか、コンコンと話した。約5時間に渡って。車に乗り込んだ頃には、本格的に呂律が廻らなくなってきた。でも、それが俺の毎日。明日は何だ?アメリカからすっげぇミュージシャンが来てるから、行かねーか?行きたい。でも、今英語を喋ったら俺が崩壊するかもしれん。ちょっと考えさせてくれ。

by 山口 洋  

音楽の場所

2007/01/28, 19:12 | 固定リンク

1月28日 日曜日 曇り 

 目覚めたら、午後1時近かった。天井を見上げながら、朝まで曲を書いていたことを思い出して、「今日は何だっけ?」と反芻してみたら、午後2時から新宿てインストア・ライヴだってことに気づいた。アーメン呆然。ミカン箱に上がるまでのカウントダウン。もう1時間を切っていた。鏡の中にはぼっこり瞼の腫れた自分がいて、髪の毛はサリーちゃんのパパだった。哀しかった。しかし、どう考えても俺が悪い。ちょっとばかし、音楽の中に没入しすぎてた。減点10。

 どうにか時間には間に合った。でも一言だけ伝えておきたい事がある。メガストアでレコードを買うのに、何が耐えられないって、ひとつのフロアで複数の音楽が流れていることにある。そうじゃない店もあるけどね。俺の耳はナポレオンみたいに良く出来てはいないから、拷問を受けているような気分になる。ミュージシャンが居て、店があって、手にしてくれる人が居て、音楽は成り立っている。その真ん中に音楽がある。だとするならば、演奏している間だけは、そのフロアの音楽を止めるなり、せめてステージには聞こえない位の音量にしてはもらえないだろうか?流れてくる音に負けられないと云う理由だけで、その場所を轟音過当競争のようにはしたくないんだ。街角ならば仕方ない。でも、ここは音楽を売ってる場所なんだから。

 何であれ、アルバムを手にしてくれる人々がこのような表情をしていて、同じ時代に生きていて、これから彼等の日々の中で、それがどう響くのかってことを肌で知るのはとても嬉しかった。来てくれて、ありがとう。4月22日にリキッドルームで待ってるよ。

by 山口 洋  

短調の光

2007/01/27, 17:41 | 固定リンク

1月27日 土曜日 晴れ 短調の光

 ハイホー。新しいアルバム、気に入ってくれたかい?
 俺は新しい曲を書いています。ある人の頭に鳴っている「短調ーつまりマイナー」のメロディーを繋げていく作業です。もともと、決して明るいとは云えない歌詞を書くことが多いので、メロディーに短調を用いることはありません。明るくない歌詞に短調のメロディー。想像しただけで恐ろしい。
 けれど、そのある人が、ある種イタコのように語る70年あまりの人生を聞いているうちに、「ん?」と心に引っかかるものがあったのです。あまりにもベタなコードをのっけると、クレープの「精霊流し」のようになってしまうそのメロディーを、あーでもない、こーでもないと、考えているうちに、そのメロディーの中に光を見つけるに至ったのです。誰かに曲を書くことは自分の手癖を排除することです。その作業の中から、新しい自分を発見する。それは妙に愉しい作業です。この国に暮らす人にとって、琴線にふれるブルーズとは?多分、マイナーなメロディーの中にあるわずかな光なんじゃないだろうか?そんな事を考えています。

by 山口 洋  

Indian Runner

2007/01/26, 23:22 | 固定リンク

1月26日 金曜日 晴れ 

 一番好きな映画は?との問いには、ずっとショーン・ペンの初監督作品「インディアン・ランナー」だと応えてきた。20代の終わり、高田馬場にある早稲田松竹で観たその映画の最後のシーン、とある曲が流れ始めた時の胸が震える感じをずっと忘れることはなかった。この作品はブルース・スプリングスティーンの「ハイウェイ・パトロールマン」にインスパイアされた彼が脚本を書き下ろし、完成させたものだ。つまり5分足らずの曲はこれだけのポテンシャルを秘めているってことになる。彼はこれまでに3本の映画を撮ってきたが、いずれも「魂の救済」をテーマにしたものだった。興行的に大コケした初監督作品から、ずっと同じ時代の空気を吸って、もはや他人とは思えなくなったショーンの最新作にいつも力をもらってきた。

 ところで、この映画。いろんな人に薦めたのだが、共有できたのは片手の指で足りるくらいの数だった。つまり俺はマイノリティーだってことを証明していた。若かった頃、俺の心境はこの映画に出てくるデキの悪い弟そのままだった。一部の激しすぎる言動を除いて、まるで自分が毎日語っている台詞のようだった。だから、自分が年を重ねてどう変化したのかを知るために、年に一度くらい観るのだけれど、次第に感じ方が変わってきた。あれから15年くらいの月日が流れ、今なら、暴れる前に、もうちょっとやりようがあるだろう。おいおい、家族は大切にしろよ、ギャグも忘れんなよ、そんなに怒らなくても、明日はいい事あるかもしんないぜ、おまえは一人だけれど、決して独りじゃないじゃないか、とか、エトセトラ。沢山のコンサートを重ねているうち、稀にこの映画の弟とほぼ同じ目を持った若者がステージの俺を睨んでいることがある。たいてい、呼び止められて「そんなくだらないギャグ飛ばす人だとは思いませんでした。失望しました」。なんてことを云われる。そんな時に、この映画を薦めたりする。年を重ねるのは悪いことばかりじゃないし、決してあの年頃に戻りたいなんて思わない(まっぴらごめんだ!)けれど、今、一番好きな映画は、と問われたならば、ショーン・ペンの次の映画と応えたいと思う。

by 山口 洋  

昭和82年

2007/01/25, 13:34 | 固定リンク

1月25日 木曜日 晴れ 

 数日前に岩石のような凄まじい魂に会った。以来、発熱したり、それをメロディーの中に創造力を通して昇華させようとしてみたり。何にせよ、俺が咀嚼するには余りに巨大だったから、引っぱられるままに日々を過ごすしかなかった。昭和82年。誰かが云った言葉。けれど、それは厳然として、目の前にそびえていた。恐るべし。

by 山口 洋  

land of music

2007/01/24, 15:42 | 固定リンク

1月24日 水曜日 晴れ 

 今日はレコード店に「Land of music」が並ぶ日です。ようやく皆さんに届けられることを嬉しく思っています。愉しんで下さい。

by 山口 洋  

嗚呼、12万字

2007/01/21, 21:46 | 固定リンク

1月21日 日曜日 晴れ 

 自分が書きなぐった一年分の文字、合計12万字。それを推敲するのは、あまり愉しい作業ではなかった。ようやく半分。そんなところに、税金の申告用紙が送られてくる。毎年、決して忘れてはくれないのね。当たり前か。

by 山口 洋  

エスキモー軍団 on the road

2007/01/19, 16:16 | 固定リンク

1月19日 金曜日 晴れ 

 ヴィジュアルにやる気がなくても、音楽はやる気満々です。1/24のアルバム一般発売日ももうすぐ。プロモーションであちこちを廻り、いくつかの実験的な組み合わせでライヴをやり、4月にツアーに出ます。エスキモー軍団の2007年の音を存分に味わって下さい。待ってるぜ。

HEATWAVE
"land of music" Promotion Circuit

1/28(日) 東京・タワーレコード新宿店
『山口洋 インストア・イベント』 ミニ・ライヴ&サイン会
開演=14時
※ミニ・ライヴは観覧無料。サイン会の参加はタワーレコード新宿店で『HEATWAVE / land of music』 を1/24(水)発売以降イベント開催までに購入いただいた方に先着で配布の「参加券」が必要です。
問=タワーレコード新宿店 (TEL_03-5360-7811)

2/3(土) 神戸・VARIT. (神戸市中央区下山手通り2-13-3 建創ビルB1F)
『Rock'in Varit.』 〜HEATWAVE×THE GROOVERS〜
出演=HEATWAVE (TRIO ver.)/THE GROOVERS
開場/開演=18時/19時
チケット=4,000円 (税込/整理番号付/オールスタンディング/ドリンク代別途500円)
チケット発売=チケットぴあ(Pコード:250-550)、ローソンチケット(Lコード:51645)、VARIT.店頭/WEB/電話予約にて発売中
問=VARIT. (TEL_078-392-6655) http://www.varit.jp/

2/4(日) 大阪・タワーレコード梅田大阪マルビル店
『山口洋 インストア・イベント』 ミニ・ライヴ&サイン会
開演=15時
※ミニ・ライヴは観覧無料。サイン会の参加はタワーレコード梅田大阪マルビル店、NU茶屋町店、難波店で『HEATWAVE / land of music』 を1/24(水)発売以降イベント開催までに購入いただいた方に先着で配布の「参加券」が必要です。
問=タワーレコード梅田大阪マルビル店 (TEL_06-6343-4551)

2/11(日) 久留米・MODULOR/モデュロール (西鉄久留米駅前 一番街商店街内マルシェビル TEL_0942-37-3777)
出演=山口洋&渡辺圭一
開場/開演=18時30分/19時
チケット=3,800円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=1月21日(日)より、チケットぴあ(Pコード:250-465)、ローソンチケット(Lコード:82948)にて発売
問=TSUKUSU (TEL_092-771-9009) http://www.tsukusu.jp/

2/12(月・祝) 福岡・タワーレコード福岡店
『山口洋 インストア・イベント』 ミニ・ライヴ&サイン会
開演=16時
※ミニ・ライヴは観覧無料。サイン会の参加はタワーレコード福岡店で『HEATWAVE / land of music』 を1/24(水)発売以降イベント開催までに購入いただいた方に先着で配布の「参加券」が必要です。
問=タワーレコード福岡店 (TEL_092-722-4611)

2/18(日) 金沢・メロメロポッチ
出演=山口洋&池畑潤二
開場/開演=18時30分/19時
チケット=3,800円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=1月21日(日)より、メロメロポッチ店頭/電話予約にて発売
問=メロメロポッチ (TEL_076-234-5556) http://www.meropochi.com/

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HEATWAVE
TOUR 2007 "land of music"

4/14(土) 名古屋・HeartLand Studio
開場/開演=18時/19時
チケット=4,500円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=2月10日(土)より、チケットぴあ、ローソンチケット、HeartLand Studio店頭にて発売
問=HeartLand Studio (TEL_052-202-1351) http://www.heartlandstudio.co.jp/

4/15(日) 大阪・BANANA HALL
開場/開演=16時30分/17時
チケット=4,500円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=2月24日(土)より、チケットぴあ、ローソンチケット、e+、CNプレイガイドにて発売
問=SOGO大阪 (TEL_06-6344-3326) http://www.sogopr.co.jp/osaka/

4/17(火) 福岡・DRUM Be-1
開場/開演=18時30分/19時30分
チケット=4,500円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=2月10日(土)より、チケットぴあ(Pコード:251-589)、ローソンチケット(Lコード:83100)、e+、DRUM Be-1店頭にて発売
         (つくすメンバー先行予約有・・・1月23日〜2月9日)
問=TSUKUSU (TEL_092-771-9009) http://www.tsukusu.jp/

4/22(日) 東京・LIQUIDROOM ebisu
開場/開演=18時/19時
チケット=4,500円(税込/整理番号付/全自由/ドリンク代別途500円)
チケット発売=2月10日(土)より、チケットぴあ(Pコード:251-344)、ローソンチケット(Lコード:34314)、e+にて発売
         (SOGO Tokyo会員先行予約有・・・1月20日〜24日)
問=SOGO東京 (TEL_03-3405-9999) http://www.sogopr.co.jp/

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by 山口 洋  

ヴィジュアル

2007/01/18, 23:17 | 固定リンク

1月18日 木曜日 曇り 

 バンドのヴィジュアルに関するやる気のなさは天下一品。写真や映像の撮影と云う話を聞くと、地球の果てまで逃げたくなる。音を作ってるときゃ、あれだけ熱心だったのに。実のところ、今回も歌詞カードの中に、レコーディング中のメンバーの写真が使われていた。しかし、全員一致で「そんなもん、要らん」と即座に却下。この時代、ビデオは必要である。多分。でも誰一人、能動的にそれをやろうとしない。スタッフは大変だったと思う。でも、昨夜プロモーションビデオが完成していた。そのための撮影なんて、一切やっていないのに。俺たちに密着して、撮影していた人間が居て、いつもそれらの素材を駆使して映像を作ってくれる渡辺君、宮崎君と云う素晴らしい人たちが居て。嗚呼。本当にありがとう。
 ちなみに、新しいアルバムを作ったならば、アーティスト写真ってものが必要になる。それらは雑誌やフライヤーで使われる。今回没になった写真の中に、全員エスキモー状態のものがある。「そーだ、そうしようぜ」と誰かの発案で撮影してはみたものの、出来上がった写真を観て、一言。「さすがに、これ、誰か分からん」。ははは。間違いなく、使い道がないので、今日はそれを載せておこう。

 深夜3時すぎ。BayFMの本社社屋にて、中村貴子嬢(!)の生放送に出演。彼女はラジオ界の良心です。本当にありがとう。

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by 山口 洋  

ザ・マイトガイ

2007/01/17, 22:32 | 固定リンク

1月17日 水曜日 雨 

 昨夜遅く、携帯が鳴った。奴らだった。この飲み助め。またたびを焚かれた猫の如く、ひょいひょい出て行く俺も俺。深夜の渋谷、色気が皆無な酒。でも時勢だとか、人生だとか、会話の中にヒントは沢山転がっている。
 昼過ぎ。奇妙な縁で、突然巨人とも呼べる人物のコンサートに行くことになった。その劇場の近くでライヴを幾度となくやったけれど、建物の中には入ったことがなく、50年にもおよぶ、その芸歴と風格は想像を遥かに超えるもので、同じ音楽とは云え、俺が今までに観たことのない世界が繰り広げられていた。目の前を昭和が走り抜けていく。巨人は風に削られた岩の如し。カルチャー・ショック。咀嚼するにはしばしの時間が必要だと思う。世界は広い。

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by 山口 洋  

点と線

2007/01/16, 21:07 | 固定リンク

1月16日 火曜日 曇り 

 ファックスが鳴り、一枚の案内状が送られてきた。それは奈良美智さんの展覧会「A to Z」を追ったドキュメンタリー映画の招待状だった。彼は件の弘前にあるレコード屋、joy popsの店主、奇人H氏の竹馬の友であって、昨年弘前を訪れた際、H氏に殆ど拉致される感じで、俺も「A to Z」を拝見させてもらったのだ。そこにはただ、ただ、溢れる想いがあった。それは広大な会場だけでは事足りず、弘前の街まで溢れ出ていた。俺はジェラシーを通り越して、異様なコーフン状態に陥った。身体中にエネルギーが充満してくるのを感じて、そのままステージに上がり、溢れてくるものを押さえられず、空回りした。雪道でスリップしてる車のように。けれど空転の煙は何故かゴム臭くはなかった。
 その映画のサイトにこう記してあった。プロジェクトは賛同する13000人の市井の人々によって支えられている。そして奈良さんのひとこと、「(勇気をもらえたのは)俺のおかげだとか云うじゃない。でも、ほんとはその人たちの中にあるもんだと思うんだよね」。この台詞って何かに似てるなぁ、と思ったら、それは「Land of music」のキャッチコピー「Land of music / それは君の心の中にあるはずさ」だった。勝手な連帯。とても嬉しい。映画を観て、俺は自分の道を行こう。

http://www.nara-movie.jp/

by 山口 洋  

闘うか、逃げるか、何も考えないか

2007/01/15, 23:39 | 固定リンク

1月15日 月曜日 晴れ 

 25万字(絶句)の原稿に手を入れ、歩いてmf247の社屋を目指す。西郷山公園から見える夕陽とか、夕陽を反射する目黒川だとか。風景は心証と相まって、何かを訴えてくる。「走れ、メロス」と云っているように俺には見えた。物事は都合良く解釈するに限る。旧知のDJ、中村貴子女史、藤井一彦と共にネットラジオの収録。永きに渡って、変わらぬ体温で接してくれること。それがどれほどの事であるか、俺はもう知っている。いつも、ありがとう、貴ちゃん。長である丸山さんに会えなかったから、手紙と共にアルバムを残してきた。
 その後、スタッフを交えて、真剣なミーティング。「闘うか、逃げるか、何も考えないか」。状況はそのようなものである。別に悲壮感などない。直感型の俺にしては珍しく2,3日の逡巡を要したが、帰りの燃料を多少積んで、前に進むことにした。がはは、どうにかなるだろ。決めたのなら、前に進むだけだ。すっきりした。確かに風が吹いていた。それが俺の背中を押した。それはいろんな土地で、厳しい状況の中、志同じくする連中が巻き起こしてくれたものだ。ありがとう。ありったけの力を発揮させてもらうよ。

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by 山口 洋  

グレイトフル

2007/01/13, 22:17 | 固定リンク

1月13日 土曜日 晴れ 

 日々にジェリー・ガルシア・バンドが流れている。弘前で買ってきた1枚。何でだろう?不思議とその街の光景や人の表情が脳裏のスクリーンに映し出される。ほんとだよ。同じ時にDVDも沢山買ったんだけど、内容がなんであれ、何故かイメージを喚起されることがない。偶然観た、寺山修司のインタビュー。要約すると、「僕の演劇にオチがないのは、観客が劇場を出た後に、それぞれのストーリーを見いだして欲しいからだ」。
 この時代に流通しているものには、隙間がなさ過ぎるんだと思う。テレビのうるささは、我慢の限界を超えた。視覚も聴覚も。人は餌を与えられて、太るためだけに生まれた生き物ではない。主張することを止めてみる。それもひとつの主張だと、この頃思う。

by 山口 洋  

庶民の味

2007/01/12, 21:50 | 固定リンク

1月12日 金曜日 晴れ 

 打ち合わせと称して「espoir」について語った。人と話すことで見えてくるものがある。ところで、結局のところ、この手の店に行くと、訳もなく安堵する自分が居る。庶民なのである。

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by 山口 洋  

吉祥寺にて

2007/01/11, 15:29 | 固定リンク

1月11日 木曜日 曇り 

 時々思い出したように、吉祥寺のこのハコで歌うのは、店に情熱があるからだ。それは仕事を見ていれば分かる。PAのオペレーターは半年前にやっただけの俺の好みを完璧に覚えていた。今日、お客さんは何飲むのかな?と尋ねたら、「そりゃ、ギネスでしょう」と返ってきた。こんな場所からは「文化」が生まれていくと、俺は思う。ありがとう。だから、声を掛けられると、「やってみようかなぁ」と。近藤に「もっと東京でやってくださいよぉ」と微妙に怒られたけど。
 電車で通えるのも、嬉しい。井の頭線と世田谷線だけは乗っていてほっとする。今日は嬉しい光景を見たんだ。吉祥寺の駅前で自転車に小さな子供を乗せたお母さんがコケた。派手にコケた。何人かの通りすがりの人々が即座に助けに走った。誰かが子供を介抱し、それを見た誰かは母親の方に走った。捨てたもんじゃないじゃん、東京。
 新しい歌はまだ身体の中に入っていなかった。それは何度も歌った昔の歌と比べてみれば如実に分かる。「Land of music」は未だ途上の道。新年で忙しい中、足を運んでくれてありがとう。楽しんでくれたかい?「Life work」はこれからもやるよ。ライヴでも云ったけど、4/22はリキッド・ルームで「Land of music」。ヒートウェイヴ見参です。
 すきっ腹にビールは効いた。でも、家に帰ると何故か俺は近藤を拉致していて、あっと云う間にワインは空になっていた。よう、兄弟。出来ることをやることでしかないんだよ。

追伸
 これを書いているのは1/12。打ち合わせで我が家にやってきてくれた編集者のS君の台詞。「山口さん、昨日のライヴ。1部と2部逆でしょ」。そうだったかもしれん。すまん。ロックン・ロールダイアリー。書籍として、まとめようと思っています。

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by 山口 洋  

じゃ、明日

2007/01/10, 23:30 | 固定リンク

1月10日 水曜日 曇り 

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by 山口 洋  

東京に戻る

2007/01/09, 18:03 | 固定リンク

1月9日 火曜日 曇り 

 メディアが伝えることのない、この国が置かれた状況を良い意味でも悪い意味でも、つぶさに見つめた3日間だった。俺にやれることはまだある。静かにメラメラと燃えている。東北で出会った人々。心からありがとう。

by 山口 洋  

joy pops - 終わる時に始まるもの

2007/01/08, 21:45 | 固定リンク

1月8日 月曜日 雪 

 「Land of music」のプロモーションが始まった。プロモーションは苦手だ。同じ質問を10回繰り返されたら死にたくなる。でもジョー・ストラマーのドキュメントを見て、考えを変えた。彼は自らの状況を理解して、ラジオ局に単身乗り込むような男だった。作ったからには、伝えてナンボだと、俺も思う。

 メガストアと呼ばれるレコード店より前に、本気で、心から俺たちの音楽をサポートしてくれた場所からインストアライヴを始めたかった。だって、そうだろ?大事なのは愛なんだよ。受け取ったからには返すことができるのは音楽でしかないんだから。心ある多くのレコード店。いろんな意味で「育ててもらった恩義」を感じているそれらの店の殆どが苦境に陥っている。俺は昨日、弘前の某ブックオフに連れて行かれて、びっくりした。そこにはガーランド・ジェフリーズの名盤がゴミのようなCDに混じって250円で売られていた。俺は世間知らずだった。哀しかった。

 弘前のJoy pops。俺が思うに、本当の意味での「レコード店」。こんな時代でも、最後に残ったいくつかの店のうちのひとつ。
 敬愛する奇人である店主は昨日、突然の閉店を俺に告げた。ここに至るまでの道のりを薄々知っている俺としては、彼の決断を尊重するしかない。Joy pops - その18年の歴史の中で、最初で最後のインストアライヴなのだった。この店で働いていた竹内君、それから成田君、コメ、俺。今まで何度インストアをやったのか不明なくらいだけれど、一番心に残るものだった。最後の曲を終えた時、沢山のオーディエンスが号泣していた。つまり愛されてたんだよ、この店は。店主の一言「店は終わるけれど、音楽は終わらない」。これ以上の語る言葉は俺にもない。

 個人的なことだけれど、店の終わりに、俺たちの新しいレコードが初めて、人の手に渡っていく。(ごめん、一般発売は1/24なのだけれど、どうしても青森の人々にはJoy popsで手にして欲しかった。これは俺の独断の裁量によるもので、全責任は俺にある。)哀しくて、嬉しくて、何とも云えない気分だった。泣くな、友よ。何であれ、俺たちは生きていくんだよ。目の前には道がある。
 店主は年が明けてから、自分で編集した13曲入りの「Like a rolling stone」を聴き続けていた。驚くなかれ、この歌はDylanが25歳の時に書いたものだ。時空を超えて、その歌は俺たちに突き刺さる。ハイホー!ほれ見ろ、音楽には力があるじゃないか。

 終わる時に始まるものを
 諦めた時に手にするものを
 すべて 心に刻んだのなら
 迷える心に風を 出発の歌

by 山口 洋  

北上す

2007/01/07, 21:23 | 固定リンク

1月7日 日曜日 雪 

 竹内号にコメを拉致し、青森県弘前市を目指す。東北はでっかい。近づくほどに吹雪いてくる。住んでいる人にとってはきっとやっかい極まりないものなんだろうけど、旅人には少し嬉しい。この道35年の親方の手による絶品のニラレバを食し、某氏の家で、みんなで朝まで、酒と共に語る。日々、苦渋の決断、オスの行動について、エトセトラ。悪くなかった。

by 山口 洋  

宮城県白石市にて、夫婦のグルーヴ

2007/01/06, 21:19 | 固定リンク

1月6日 土曜日 雨 

 これを書いているのが、3日後の青森からの飛行機の中。その間、一度もコンピュータを開く暇がないほど、過ごした時間が濃密だったゆえ、記憶もかなり怪しい。すまぬ。
 6日。宮城県白石市にて。歌い始めが東北っちゅーのは嬉しい。冬の東北には随分ヒドい目にも遭ったけど、それは俺が本当の東北を知らなかっただけのことで。今日はとあるきっかけで知り合った、白石に見事に根付いている店、カフェ・ミルトンのご夫婦のはからいによる能楽堂でのコンサート。東北と云えば、何故か明星、コメ、俺のトリオ。それに青森の竹内君、地元の素晴らしい民謡シンガーを含めた5人のラインナップ。
 この時代に音楽を通じて人々が繋がっていくこと。あるいは、地域の中でそれを広げていくこと。ミュージシャンが渡り鳥のようにそれらを伝播すること。暮らしの中に音楽があること。その素晴らしさと難しさ、エトセトラ。いろんなヒントを与えてもらった気がする。日常にいろんな苦労がきっとあって、その上で愛して止まない音楽がある。カフェ・ミルトンにはそんな夫婦のグルーヴがある。それが人々をハッピーにする。飲み過ぎたけど、素晴らしい一年の始まりだった。多謝&再見。

by 山口 洋  

肯定と否定

2007/01/05, 18:49 | 固定リンク

1月5日 金曜日 曇り 

 この一月あまりの間に、俺が住んでいるところから半径1.5キロの範囲で、下半身だけの死体が発見され、昨日は兄が妹をバラバラにして、ビニール袋に詰めた、と。すまんね、正月から。でも、ひどい二日酔いのような、止まっていても歩いていても、どうしようもない気持ちに襲われる。彼等とは何処かですれ違っていたかもしれない訳だし。対岸の火事って気分にはどうしてもなれない。何かがおかしい。何かが確実に狂ってる。俺はときどき、渡辺某に脅される。「ヒロシ、いつかオヤジ狩りに遭うぜ」。幸い俺は遭遇してないけど、先日某氏がヒドい目に遭ったと。彼とて、強者である。けれど、1対1ならともかく、複数とは卑怯極まりない。いわく、「今の奴らは顔を蹴るんだ。笑いながら」。俺たちがやんちゃだった頃にもそんな事は当然あった。ボコボコにされたことも一度や二度じゃない。でも、やってはいけないことと云うか、それなりの武士道と云うか、最後の理性はあったように思う。
 人を傷つけるのは簡単だ。肉体的なものでなくても、いくつかの言葉で充分に事足りる。今なら匿名のもとに、バーチャルに行える。でも、それを受けた人間は生身なのだ。決してバーチャルではない。否定より肯定を、「no」より「yes」を。それは難しいけれど、簡単だと思う。たまには明確に「no」と伝えることが「yes」の本当の意味だったりもするけれど。嘆いていても、何も変わらない。ならば、現実を受け入れて「yes」とできるだけ口にしていたい。とは云え、現実は厳しい。毎日毎日、自分を奮い立たせていると、何処かが確実に疲弊してくる。そんな時はたいていポケットにギャグを入れてる人に救われる。あられもないようなギャグに救われる。ある時期を境に、駄洒落がどうしようもなく、いろんな意味で笑えて仕方なくなる。某先輩の言葉を借りるなら、それって「何度目かの思春期」って思うんだけどね、俺は。

by 山口 洋  

simple

2007/01/04, 23:53 | 固定リンク

1月4日 木曜日 晴れ 

 あけましておめでとう。
 これだけ贅沢に時間を使って、ボーっと惚けていたのは久しぶりだった。音楽も聞かなかったし、何処かに出かけることもしなかった。何冊かの本をリハビリの代わりに読んだだけ。おかげで、必要なものと、そうでないものがくっきりと見えてきた。simpleに生きようと思う。モノを減らそうと思う。いつでもアフリカやブータンや北極に出かけることができる自分でいようと思う。突然沖縄のコーラを飲みに行く自分で居ようと思う。使っていたカメラを修理に出している間、ライカのカメラを貸してもらった。限りなくシンプル。でも、何の不足も感じない。webに即座にアップできないだけのことで。流されないように、見極めることを教えてもらった気がする。
 今年は宮城県白石市にて活動を開始します。その後、北上して青森県弘前市のjoy popsにてインストア・ライヴ。東京に戻って、スターパインズ・カフェにて「life work」です。何処かで会えるのを愉しみにしています。今年もどうぞ、よろしく。

by 山口 洋  
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