ARABAKIにて

2007/04/29, 15:04 | 固定リンク

4月29日 日曜日 晴れ 

 4月28日から29日にかけて。仙台から1時間ほどの場所にある山の中にて。ARABAKI ROCK FESに出演。緑に囲まれて、規模も想いも、とても東北らしい、いいイベントだ。バックステージでバーベキューなんかしながら、沢山の友人達に再会できたりもする。それが嬉しい。出番寸前まで、誰も楽屋に行こうとしないのが、ARABAKIのホスピタリティーなんだと思う。
 初日はソロで、二日目はバンドで。いくつかの新しい才能と演奏できたのは嬉しかったんだが、初日は寒すぎた。最後まで残ってくれたオーディエンス、ありがとう。風邪ひいてないよね?俺は終わったあと、仙台に戻って身体を解凍したよ。参加してくれたミュージシャン、ありがとう。誰と一緒に演奏したかは秘密にしときます。あの山の中に来たら、日常を忘れてそんな瞬間がある。そっちの方がいいじゃん。あー、愉しかった。
 ツアーを終えたばかりのバンドは、出演時間が短い分だけ久しぶりにフル・スロットルで演奏した。何だか、そんな気分だったんだ。楽しんでくれたかい?二日間で、月、凍るような寒さ、白い息、太陽、広い空、沢山の音楽と会話を満喫したよ。こういう場所を用意してくれてありがとう。多謝&再見。

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by 山口 洋  

私信

2007/04/27, 00:00 | 固定リンク

4月27日 金曜日 晴れ 

 突然だけど、師匠野田敏への手紙。

 敏さん

 元気ですか?
 いつか話したと思うけど、阿蘇で貴方のアルバム作るっちゅー話、僕は忘れてないっすよ。何年も経ったけど、僕は忘れてないっすよ。僕が思うに、貴方はこの国で最高のソングライターでシンガーで、それは20年前から何も変わってないとです、僕の中では。世界中のいろんなミュージシャンと一緒に演奏したけど、僕が二十歳の時に、貴方がステージに呼んでくれた時の震えを忘れたことはないとです。貴方のバンドに居たね、ミキちゃんとばったり会うたび、貴方のアルバムの話になるとです。「ヒロシ、問題は金やね」。いや、そうじゃないと思うとです。曲であり、詩であり、敏さん、貴方そのものっすよ。
 僕もね、長い旅路を経て、ようやく貴方と響きあえる気がするとです。長かったような、短かったような。「パラノイア・ボヘミアン・ブルース」。俺20年歌ってますからね。もう俺のもんです。へへ。「そんな曲、知らん」とか云わんどいて下さいね。
 何処かでこれ、観たら連絡ください。急ぎませんから。まさか、インドとか、アフリカとかに居ませんよね?でもいいや。貴方のアルバムを作るのは、俺のライフワークのひとつですからね。ながーい目で待ってます。

by 山口 洋  

Fly into the sun

2007/04/26, 18:31 | 固定リンク

4月26日 木曜日 晴れ 
 
 海の近くに仕事場を移して、いろんな恩恵を受けています。風、陽光、広い空、ユルい人々、エトセトラ。ただ、ひとつだけ我慢ならんことがあるとです。近く(とは云っても、直線距離で20キロは離れてると思う)の基地に演習を終えて帰還する戦闘機が上空を通過するのです。その爆音の凄まじさと云ったら、筆舌に尽くし難いものがあります。この場所でこんなにうるさいのなら、基地の近くに住む人々は一体どんな想いをしてるんだろう、と。一回の飛行訓練に一体どれだけの金がかかるんだろう、と。釈然としない気持ちが澱のように募るのです。
 昨夜は近所のY君とネットラジオの可能性について語り合ったとです。実現すると、いいなぁ。

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by 山口 洋  

オーディナリー・ライフ

2007/04/25, 14:22 | 固定リンク

4月25日 水曜日 雨 

 慌ただしかった日々から少しだけ解放されると、食事を作ったり、洗濯したり、友達と語ったり。そんな些細な事が嬉しかとです。
 料理道具は俺が東京で一番好きなスポット、合羽橋で手に入れるとです。ここはこと厨房に必要なものなら何でもあります。パラダイスです。通りに迷い込んだら2時間くらいかけて、包丁とか鍋を眺めるとです。さて、今日はシチューを作ったとです。何時間もかけて煮るとです。美味いです。合間に遊びにきた友達とギターをポロポロ弾きながら語ります。まだパジャマです。すいません。

 さて、江ノ島にザ・ブームの栃木さんと「対談」しに行きました。と云っても、俺は殆ど飲んでただけ。彼は最近アイルランドに行ってたのです。その理由は秘密だけど、素敵でした。随分前に、「栃木さん、還暦になったら赤いちゃんちゃんこ着て、武道館でライヴね」と約束したのですが、もう10年ちょっとしかありません。次第に現実味を帯びてきました。ひひひ。彼は俺が海を観ながらビールを飲みまくってる間、一滴も飲みませんでした。大人だ。ところで、これ何の取材だっけ?

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by 山口 洋  

東京にて

2007/04/22, 15:40 | 固定リンク

4月22日 日曜日 晴れ 

 更新遅れてごめんね。ツアーを終えて、ほぼ燃えカス。しばし心地よい疲れの中でまどろんでいました。

 東京にて。最終日。
 東京だから、とか、最終日だから、とか。そのような想いはほぼありません。きっと長い時間をかけて、暮らしの中に音楽があることに慣れてきたんだと思います。ただ、アルバムを作り始めてから、約2年。何かひとつのものが結実するんだろうと云う思いはありました。ひとつひとつの音の粒は愛おしいものです。そして、音楽は放たれた瞬間に、もう後戻りできなくなります。バンドは次第に熱を帯びて、クールからフールへと、青から赤へとギアを上げていきます。客席の表情も次第に変わっていきます。その変わっていく様を演奏しながら、映画のように楽しんでいました。胸にこみ上げてきた感情はただひとつ。まったく、音楽は素晴らしい!!!!!!!!

 ここに至るまでの道のりを記すのは野暮なので止めておきます。決して平坦なものではありませんでした。ただ、「んー、もうしんどい」と思う度に、音楽に、人々に、多くの協力者に、何よりもサポートしてくれたファンの人々に励まされたことだけは確かです。本当にありがとう。俺はただ曲を書いただけのことで、後はバンドを通じて、スタッフを通じて、協力者を通じて、ファンを通じて、広がっていったのです。観てくれた人は分かると思うけど、ステージに映し出されていたあの映像のように。ライヴに映像を使うことが危険を伴うことは知っています。ただ、彼等の作品を観た時、閃くものがあったのです。だから、何ひとつリクエストは出しませんでした。俺は前を向いて演奏しているので、背後がどのようになっているのか不明です。でも分かるし、感じるのです。僕の好きなリレーションとはこのようなものです。想いが勝手に連鎖していくことが嬉しいのです。愛とリスペクトをたたえて。

 僕が云いたいことはただひとつ。来てくれた人に心からありがとう。関わってくれた全ての人に、ありがとう。このバンドはまだまだ行けます。生きている限りは前を目指します。もう一度だけ、ありがとう。Land of music、それは君の心の中にあるはずさ。


追記
バンドで行くことが出来なかった地方の人へ。すまん。申し訳ない。けれど、俺一人で、あるいは誰かと、トリオで、とか。この一年かけて、必ず届けに行きます。東北地方の人々へ。この週末にARABAKIにバンドとソロで出演します。東北ならではの素晴らしいフェスです。是非足を運んで下さい。

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by 山口 洋  

痩せたり太ったり

2007/04/20, 21:41 | 固定リンク

4月20日 金曜日 晴れ 

 ハートランドには父母のような人たちがおるとです。ツアーで痩せこけた俺に「もー、喰えまっしぇん」ちゅーくらい、心のこもったものを喰わしてくれるとです。完全にチャージ完了しとります。素晴らしい春の風です。力入れ過ぎるとオレの場合、ロクな事ないんで、あと一本、いつものようにステージに上がるつもりです。心の中には名古屋とバナナと博多と阿蘇の風が吹いています。待っとるよ。

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by 山口 洋  

ハートランド

2007/04/19, 01:07 | 固定リンク

4月18日 水曜日 雪 

 ツアーバスに揺られながら東京から西日本へ移動し、4日に3本のライヴをやった。贅肉は落ちた。東京でライヴをやる前に心のハートランドに立ち寄ろう。そう思った。そこには4月の雪が降っていた。25cmの積雪から新芽たちが突き出している。寒い。でも悪くなかった。麓に下りて、4月に赤いセーターを買った。雪が屋根から落ちる音を聞きながら、静かに薪ストーブで温められた焼酎を飲み、部屋にはミッチェル・フルームのピアノが流れている。至福。好きな音楽に邁進できることの幸福。それを噛み締めている。

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by 山口 洋  

福岡にて

2007/04/17, 18:24 | 固定リンク

4月17日 火曜日 曇り 

 関門橋を越えて九州に帰った。魚とゴマ鯖を喰った。嗚呼、九州の味。思い切り飲みたかったけど、魚に止められた。俺も少しだけ大人になった。ライヴの前に墓参りに行った。心が落ち着いた。この街で随分前に音楽を始めた頃、こんなトシになるまで、自分が生きていることを想像したことがなかった。何故ならロッカーは20代で死ぬものだと思っていたし、実際のところそんな生き方をしていたからだ。でも幸か不幸か、俺も圭一も生き残った。人生は大変なことだらけだけど、音楽は素晴らしい。何度でも書くけど、それには力がある。俺は音楽をやって、それに励まされ、愉しそうに俺たちを観ている客席を観て、幸福になる。あなたたちのその顔が俺を励ましてくれる。今回のツアーほど、客席のあちこちで泣いている人を観たことがない。みんな、それぞれに大変なんだな。たまに泣いてるのに笑ってる人がいる。思い切り泣いて笑って、叫んで踊ってくれ。ここは君たちが働いたお金で来てくれた自由の国だ。音楽、ありがとう。これがなかったら、俺はただのクズだ。
 打ち上げは二カ所で行われていた。俺はそこをはしごした。とある店では友人の結婚パーティーが仕込まれていた。MCは俺しかいなかった。俺にその才能がないのはライヴ観てたら、分かるだろ?結局歌うことしかできなくて、何故か隣で渡辺圭一が三線を弾いていた。史上最低の三線だったが、あんなに笑いの取れる演奏は聞いたことがない。ははは。
 タクシードライバーから長崎市長が刺されたと云うニュースを聞いた。気持ちが沈んだ。何故だ?何故人は殺められなければいけないのか?でも、これが日々で人生でこの国だ。じゃぁ、自分にできることをやろう。それをやり続けよう。そんな力を客席からもらったんだ。来てくれてありがとう。また、何処かの空の下で。 

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by 山口 洋  

大阪にて

2007/04/15, 23:54 | 固定リンク

4月15日 日曜日 晴れ 

 同じ瞬間は二度とないて云ったのは誰だ?俺だ。昨日、思ったことは今日には既に役に立たない。生きるってことはそういうことなんだと、だから生きてんだろって、ライヴの途中からそう思い直した。すると、見えてくる風景が変わった。以上でも以下でもない、今を生きること。それを「バナナホール」から教えてもらった。もう「戻れない」かも、と思ってた。この場所には。でもそうではなかった。バナナも俺たちも、もちろんオーディエンスも。だから、勝手に互いに己の明日の道を切り拓こう。ありがとう、大阪。

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by 山口 洋  

ザ・ベリー初日、名古屋にて。

2007/04/14, 23:34 | 固定リンク

4月14日 土曜日 晴れ 

 名古屋にて。ツアー初日。
 俺は化粧をしないから、この例えが正しいのかどうか不明だけれど、「ナチュラルに見えるメーク」がおそらく一番難しいように、「自然に音楽を奏でる」こともまたしかり。とはいえ、一度は名古屋に行けないかも、っちゅー状況の中、サポートしてくれた人々が沢山いて、こうやって名古屋で初日を迎えることが出来るのは、本当に嬉しかった。愉しんでくれたかい?
 前もって、こうやろうなんて考えて、うまく事が運んだためしがない。俺の場合。だから、無神論者の俺が音楽の神様だけを信じて、流れに身を委ねる。ただ、ただ「無」を目指す。不眠症の人とか、仕事が大変だと云う人、エトセトラ。いろんな人が居たよ。大丈夫だよ、何て事を気軽には云えない。でも、音楽には力がある。それだけは間違ってない。多分。来てくれてありがとう。
 
 名古屋から深夜、ツアーバスで大阪に向かうっちゅー、ハードな行程。ドライバー氏以外は眠りこけてる(うらやましい)状況の中、例によって俺は眠れず、とある音楽を聞いてきた。羽根をつけたら飛びそうだった。何だか、映画みたいだったなぁ。

 最後に。何度も何度も名古屋でキャンペーンを組んでくれた、H。協力してくれたみんな、心からありがとう。Lifeと音楽は続きゆく。多謝&再見。

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by 山口 洋  

嵐のような日々

2007/04/13, 15:08 | 固定リンク

4月13日 木曜日 曇り 

 相変わらず、嵐の如く日々は過ぎていくとです。昨日は某氏の結婚パーティーにて、普段はあり得ないようなメンツで演奏しました。愉しかったなぁ。と、その余韻に浸る暇もなく、煩雑な用事を片付けています。ツアーに出る前に、ちょっとだけ夕暮れの江ノ島に行ってみたいんだけど、叶うかなぁ。
 ヴォネガットさんのこと。少し補足しておきます。彼を教えてくれたのは何を隠そう細海魚。もう随分前の話だけれど。ヴォネガットの作品の中には人間の全ての「振り幅」があるとです。泣き笑い、毒、ユーモア、ファンタジー、エトセトラ。随分エネルギーをもらったなぁ、と。感謝の気持ちを込めて、僕らはツアーに出ます。じゃぁ、会えるのを愉しみにしています。

by 山口 洋  

R.I.P

2007/04/12, 23:07 | 固定リンク

4月11日 水曜日 晴れ 

 カート・ヴォネガット。偉大なる作家。亡くなったと。寂しい。R.I.P。
http://www.vonnegut.com/

by 山口 洋  

リハーサル最終日

2007/04/11, 23:51 | 固定リンク

4月11日 水曜日 雨 

 リハーサル最終日。やり残したことは、何ひとつなく。後は野となれ山となれ。

 生まれてこのかた、東京ドームで空を飛びながら演奏したい、とか、マグネシウムを焚いてみたいとか、思ったことは一度もない。ただ、ライヴを一本の映画みたいに楽しんで欲しいとは思っていた。そして、それが今だ、とも。音楽と映像が互いに絶妙の距離で響き合っている空間。夢想するのはタダ。でも、それを制作するには莫大な予算と労力がかかる。
 W君、M君、そしてもう一名。とある場所で知り合った彼等のモノ創りのスピリットが素晴らしかった。だから、声をかけてみた。引き受けてくれた。バンドのメンバーであれ、スタッフであれ、映像作家たちであれ、その人を選んだと云う時点で、実のところ、もう俺の仕事の大半は終わっている。例えば、ウソのような本当の話。その昔、炎のデザイナー、スントー・ヒロシのアイデアで、ジャケットを横尾忠則さんに描いてもらったらどうかっちゅー話になった。まずは会わなきゃってことで、ダブル・ヒロシは彼のアトリエを訪ねた。「どうも、初めまして」。その後、スントー・ヒロシが「かくかくしかじかで。ジャケットを描いて欲しいんです」、と。そして横尾さんはこうおっしゃった。「もう描きました」。俺は目が点になったが、彼は階上から「Tokyo city man」のジャケットになったあの絵を持ってこられた。俺はスントー氏の目が「キラリン」と光っているのを見逃さなかった。多少の記憶違いはあるかもしれない。でも、これは実話なのだ。
 今日初めて彼等の作品を観た。本当に素晴らしかった。嬉しかった。限られた条件の中でも、彼等の発想は限られていなかった。嬉しかった、アゲイン。後は小さなハコでどう見えるのか、そもそもライヴに映像を使うこと自体、一歩間違えると危険な行為だったりもするのだ。我々自体がフィックスされた演奏をしているバンドではないのだし。でも、漕ぎ出してみようと思う。人生とこの「瞬間」は一度しかないのだから。ありがとう。

 リハーサルを終えて、全ての楽器は積み込まれました。じゃぁ、いろんな街で会えるのを楽しみにしています。名古屋のベリー・初日には初日にしかないものがあるでしょう。大阪は何と、バナナホールです。嬉しい。福岡は九州出身組の演奏が他の場所と全く違うと、北海道中標津出身の細海魚は云います。「それは良い意味で?」と聞くと、彼は「それは秘密」とキラリンとした目で云うのでした。東京の話はまた後日。

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by 山口 洋  

リハーサル2日目

2007/04/10, 22:22 | 固定リンク

4月10日 火曜日 晴れ 

 押忍。快調にリハーサルは進んでいます。音楽で会話するのは愉しいっす。ステージに立ってみなければ不明な事は沢山あるけど、このバンドは素晴らしいです。二度と同じ演奏をしないし。

 アルバム「Land of music」は手に取ってくれた人々がそれぞれの生活の中で響くことを願って作られています。でもそれはライヴで完結するとです。ああいうアルバムを作ったからこそ、ライヴをやりたかったとです。その瞬間でしかあり得ない風景を楽しんで欲しいとです。このところ、音楽から離れてるなぁって人も、ライヴは怖くて足を運べないって人も。是非、足を運んで欲しかとです。
 ハレとケって言葉があるじゃないすか?夢とうつつって言葉があるじゃないすか?ステージに立っていると、それぞれの事情を俺も勝手に受け取るとです。だから、厳しい日々の現実から、すーっと音楽に入っていけるよう、今回はとある試みをやってみます。騙されたと思って、いつもの開演時間より少し早く会場に入ってみて下さい。そこで何が行われるのかはお楽しみってことで。ビールでも飲んで緩んでて下さい。今回のライヴはヒートウェイヴ史上初めての試みをいくつかやってみようと思っています。形が見えてきたら、またアナウンスします。って、リハーサルは明日で終わりだけど。

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by 山口 洋  

リハーサル初日

2007/04/09, 22:46 | 固定リンク

4月9日 月曜日 曇り 

 朝早く起きて、湘南から東京行きの電車に乗った。ステファン・ケロッグを聞きながら、ジョン・クラカワーの本を読んでいた。実はこの本、ずっと前にハードカヴァーで読んだことがある。その時はあまりピンと来なかったが、近いうちにショーン・ペンが監督を努め、映画化することになったので、友人がプレゼントしてくれたのだった。
 読み始めてすぐ。主人公のヒーローがジャック・ロンドンだった事を知る。ジャック・ロンドン。野生の呼び声。幼い頃、彼の作品がどれだけ好きだったことか。車窓や音楽と相まって、心の中で盛り上がってくるものがある。忘れてたなぁ、この感覚。

 今年、初めてのバンドでのリハーサル。無事「あけおめ」の挨拶を済ませました。でも順調に進んでます。期待しててね。

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by 山口 洋  

新年の挨拶と殺人カレー

2007/04/08, 20:07 | 固定リンク

4月8日 日曜日 晴れ 

 過日。某君宅にて。偉大なる母上が遺した桜の下で、花見。とてもいい時間。ついでに不在者投票。

 元々ロッキンな格好(どんな格好やねん?)が好きではないが、海の近くに居ると、楽な洋服を着たくなる。だから、スニーカーとかリュクサックとか、そんなものを買う。移動は出来るだけ電車にして、本を読む。

 原稿をいくつか書き上げる。合間に友人が教えてくれたキーマカレーを作る。蜂蜜とチョコ一片が隠し味と念を押されたので、懐疑心を抱きながらも、云われた通りにする。けれど、甘いものが苦手な俺の舌は微量の蜂蜜を察知する。甘くて辛い。これって、昔、蔵王で記録係Oが作った「殺人カレー」と同じではないか。俺は忙し過ぎて料理をする暇がなかった。Oがこう云った。「パエリアとカレー、どっちがいいですか?」。迷わず俺は「カレー」と応えた。奴のパエリアは怖すぎる。カレーならばヒデキだって笑顔で作るんである。失敗するはずがない。しかし、奴のカレーは凄かった。激烈に甘くて辛いのだった。この世の食い物とは思えなかった。食べ物を祖末にしない主義だが、仕方なく捨てた。それを野良犬たちが喰った。今時、都会には絶対居ないタイプの飢えた野良犬である。そして奴らは二度と現れなかった。こうして奴のカレーは「殺人カレー」と命名された。

 さぁ、明日からはリハーサル。バンド全員が揃うのは今年初めて。つまり「あけまして、おめでとう」なのである。時は4月なり。こんなんでいいのだろうか?いいのである。多分。バンドのメンバーってものは、普段もツルんでると思っている人が多いらしいが、うちに限って云えば、そんな事は全くない。一応、「こんなライヴにしたいんやけど」なんて事をメールで回覧するのだけれど、リアクションがあったためしもない。それでいいのか?いいんである。多分。みなさん、心配しないように。空白の時間は音楽が埋めていく。それでいいのだ。多分。じゃ、ライヴで待ってるぜ。

by 山口 洋  

ダメ男ども、江ノ島に行く

2007/04/06, 22:48 | 固定リンク

4月6日 金曜日 晴れ 

 海の近くに居ると、早起きになる。コンビニなんてないので、自分で飯を作る。前の日に仕込んでおくなんてことも出来るようになる。ついでに午前中に泳いだりもする。
 昼過ぎにダイアリー本を編集してくれているS君がやって来る。打ち合わせはさっさと済ませて、近所に住んでるY君を誘って江ノ島に繰り出す。40過ぎのダメ男3人で、江ノ島の突端まで行って、夕陽を眺めながら、ビール飲んだり、焼き蛤喰ったり、サザエを喰ったりする。ダメだ、こりゃ。でも、みんな突っ走ってきた男達なのである。自分のLifeは自分で決めりゃいいのさ。あのね、ここの茶屋からの風景はこんな感じ(写真参照)なんだよ。もっと天気が良ければ海の向こうに富士山が見える。至福。
 本当のところを云えば、やることは沢山あったが、ツアー前に脱力してみることにする。134号線沿いの飲み屋で、更にダメダメになって、下戸のS君が白けてきたところで、家路に着く。
 俺たちの仕事にはオンとオフの明確な区別がない。自分がオンならば永遠にオン。それが自身の身体を痛めつけてきたとも云える。ここに来て、このトシになって、ようやくその区別が付けられるようになった気がするのだ。人生短し、たまには力を抜け、乙女。字余り。

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by 山口 洋  

春、確かに来たりて

2007/04/05, 21:17 | 固定リンク

4月5日 木曜日 晴れ 

 仕事場の近くの学校がやたらと騒がしい。窓から眺めてみると、どうやら今日は入学式。そんな事もあったなぁ、とか、父兄って、ほぼ俺の世代だなぁとか、桜が彼等を見守ってるなぁ、とか、俺にはそんな写真って一枚もないなぁ、とか。
 光ファイバーを引いて、これで仕事の体勢も整った。阿蘇に行こうが、渋谷の地下室だろうが、何処に行っても、音と戯れる風景が同じになるのは、自分のテイストなんだろう、と笑う。「Land of music」をとことんまでミキシングしてみて、些細な音質はどうでも良くなってきた。一般的な高音質と云うものをも、はや自分の耳は求めてはいなかった。自分の求めている音とは何ぞや?それはきっと自然の中で耳にする風の歌や、雨の歌のような、そんな音なんだと思う。このところ、とんとドラムがドラムの音をしているレコードを聞いたことがない。ライヴとて、それは同じ。極端にデフォルメされた、それらの音がもうどうでもよくなったんだと思う。
 この仕事場での、初めてのミキシングは記録係のOが作っているDVDのための音楽だった。奴は企画、撮影、取材、編集、もちろん監督と、すべての作業をこなし、先日ようやく脚本が出来上がったばかりなのだが、俺も奴の作品に音楽を提供して、響き合ってくれればと思ったのだ。

 さぁ、もう少ししたら、ツアーのリハーサルが始まる。少しだけゆるりと仕事をしながら、鋭気を養おうと思う。4/3のダイアリーに関して、沢山のリアクションをありがとう。スタッフも喜んでたよ。

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by 山口 洋  

幸福のカタチ

2007/04/04, 13:52 | 固定リンク

4月3日 火曜日 晴れ 

 山を下りて、東京に戻り、今日は法事で北鎌倉にある円覚寺に行ったとです。鷺が飛来する池に映る桜。それはそれは美しい眺めでした。新しくトーキョー・ミッドタウンが出来た。何ちゅー話を聞いても全く胸躍らんとです。でも、未来永劫に渡って、記憶しておきたい風景が確かにここにはあるとです。老師の暮らしっぷり。彼はとてもシンプルに生きています。実に質素です。無駄なもの、無意味に高価なものが暮らしの中に見当たらんとです。坊さんにもいろいろ居ます。彼はそんな意味で、本当に仏の道を生きる人です。いろいろと考えさせられます。
 経済発展著しい中国で、貧富の格差が拡大している、と。そんなドキュメントを観て、俺は「幸福のカタチ」について考えるとです。俺にとって「カネ」とは?生きていくのに必要なものです。けれど第一義的なものではありません。自分で良いなぁと思える曲が書けたとき、誰かに愛されてるなぁと思うとき、ふと頬に山や海の風を感じたとき、エトセトラ。そんな瞬間に小さなハピネスはやってくるとです。

 もうすぐツアーが始まるとです。足を運んでくれる人たちも、仕事があるからか、だんだん当日券で来る人が増えてるそうです。毎回スタッフやイベンターが冷や汗をかいとるそうです。ぶっちゃげた話、我々は潤沢な資金をもってツアーをやっている訳じゃありません。吹けば飛ぶような集団だけど、譲れない志がある。そんなもんです。みんなが音楽をそれぞれに感じてくれて、それぞれの「ハピネスのカタチ」を見つけてくれる。そんな空間を目指しとるとです。その昔、山本と云う風変わりなマネージャーが「いつまでも、あると思うな、当日券」と云うヒドいコピーを考えたことがあるとですが、前売り券をゲットしてくれて、我々をサポートしてくれると嬉しいです。今更、隠すことも何もないとですが、俺が独りで全国を廻っているとき、「今度は必ずバンドで来て下さいね」とたっくさんのファンに云われました。俺も思わず「う、うん」と応えるとですが、もちろん沖縄にだって、四国にだって、東北にだって、北陸にだって、北海道にだって、山陰にだって、バンドで行きたかとです。いい音で聞いて欲しかとです。本当にすまん、と心から思っとります。その状況を変えるために、我々もスタッフもイベンターも全力を尽くしとります。なので、上記のようなサポートをしてくれると、嬉しかです。情けないとか思わんです。今のバンド、一人でも多くの人に観て欲しいですもん。これが現状ですもん。それは変えられるとですもん。もうすぐリハーサルが始まります。みなさんに会えるのを楽しみにしとります。

 魯迅の言葉。「最初から道などあるはずがなく。目の前にあるのは原野だけ。けれど、多くの人々が目的を持って歩みを進めるとき、そこに出来るのが道だ」、と。まったく。それは思い描く幸福のカタチのひとつなのです。

追伸
写真はカメラに残っていた阿蘇の春の風景。四季のある場所には二度と同じ風景はないとです。それって音楽に似ていると、思うとです。

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by 山口 洋  

新緑

2007/04/01, 16:22 | 固定リンク

4月1日 日曜日 雨 

 多分、2日間は草刈り(闘いなのです)に追われるだろう、と覚悟はしとったとです。でも、奴らは未だ地中でエネルギーを充電しとったとです。ふふ。おかげで、家の補修が出来たとです。ここに居ると、そのような大工仕事がまったく苦にならんとです。愉しかです。雨、風、一瞬の陽の光、鳥のさえずり、何もかもが当たり前のようにそこにあるとです。忘れたらいかん、とそう思うとです。

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by 山口 洋  
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