行くぞ、北海道

2007/06/29, 18:10 | 固定リンク

6月29日 金曜日 雨 

 「卵を割らずに、オムレツは作れない」。確かに。
 週末からの北海道行きを控えて、旅の準備をしています。「こんなうっとうしい季節に梅雨のない北海道に行くなんて汚ねぇ」、と何人かに罵倒されましたが、役得ってことで許して下さい。去年は一番寒い季節に訪れて、それはそれで嬉しかったんだけど、少しだけ身の危険も感じたので、今回は一番いい季節を選んでみました。まだ曲は出来ていないけれど、旅路の中で手にしたものが随分心の中に溜まりつつあります。じゃぁ、会えるのを楽しみにしています。気軽に遊びに来て下さい。

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by 山口 洋  

人間の空洞

2007/06/28, 21:57 | 固定リンク

6月28日 木曜日 晴れ 

 打ち合わせ三昧。一度に沢山の人に会うと、確かに「人あたり」する。でも、それもまたlife。その中途にて、これを書いている。日々は生易しいものではない。
 今村昌平とマーチン・スコセッシの時空を超えた会話を聞いた。現代人の心に巣食う、「人間の空洞」についてのものだった。かくもややこしく、かくもクズ同然で、かくも美しく、そして愛すべき「人間」を描くってことがどれほどの事なのか、深く考えさせられた。俺もまた「人間の空洞」について、違う角度から考え続けているのなら、「人あたり」している場合ではないのだった。個人的に日本映画最高だと思えるシーンは、多分高校時代に観たはずだが、「復讐するは我にあり」で、三国連太郎が倍賞美津子を襲うシーンだった。かくも醜く、かくもエロティックで、同時にひどく美しかった。今村昌平が貧乏をいとうことなく、一心不乱に「人間の空洞」を追い求めるその眼差しは、確かに俺を励ますのだった。かつて、マーチン・スコセッシが受け取ったものと、それは似ているんだと思う。さぁ、俺は自分の道を行こう。

by 山口 洋  

客人来たりて

2007/06/27, 23:02 | 固定リンク

6月27日 水曜日 晴れ 

 「風のように来て、砂のように去る」のが、いつしか人付き合いの基本になっていたような気がします。かつてのようにいろんな意味で「濃密」な人間関係を誰にも求めていなかった、ような。人を好きで居るために、敢えて人から遠ざかっていたような。嗚呼、ややこしい。けれど、そこを踏み越えて、また新たな地平で、関係を構築できることを今日、客人たちに教えてもらった気がするのです。だから、人生はやめられん、とこんな日に思います。
 ヘルマン・ヘッセは「人は成熟するにつれて、若くなる」と書き、ディランは「昨日の僕は今日より老けていて、明日の僕は昨日よりずっと若い」と歌いました。でも、今一番ぐっと来るのはイングマール・ベルイマンの言葉「加齢は山登りに似ている。登るほど息切れするが、視野はどんどん広くなっていく」、かな。life goes on。

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by 山口 洋  

down by the seaside

2007/06/26, 18:54 | 固定リンク

6月26日 火曜日 曇り 

 海の近くに戻りました。当たり前だけど、梅雨です。本当はハートランドに帰りたかったけど、それは叶わず。東北の余韻を静かな生活の中で反芻しています。旅の間、さんざん美味しいものを頂いたけれど、自分の味ってものも意外にほっとするものです。当たり前か。美食の趣味も、脂っこいものを食べたいと云う欲求も殆どなく、自分ひとりなら、粗食で事足りるとです。ツアーの間は何だかんだ云ってもテンションが上がっています。だから、少しクールダウンの時間が必要なようです。

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by 山口 洋  

音楽の神様ー宮城県白石市にて

2007/06/23, 23:13 | 固定リンク

6月23日 土曜日 晴れ 

 宮城県白石市にあるカフェ・ミルトンには音楽の神様が棲んどったとです。ポルトガル語を話す神様やったとです。僕は何の無駄の力も使うことなく、静かに壊れたとです。沢山の沢山のリレーションの果てに、僕はここに辿り着いたとです。音楽を愛する人たちは静かに、アホアホに、勝手に連帯していくとです。まるで歌が誰かに口伝えで受け継がれるように。
 客席を埋めた人々はそれぞれに素晴らしい表情をしとったとです。それが何よりも嬉しかったとです。一番失いたくないものは、と聞かれたなら、僕は「こころ」と応えます。それがこの場所には溢れとったとです。チャップリンも云ってたけど、必要なのは勇気とイマジネーションとわずかなマネー。本当にありがとう。land of music。またひとつ増えたとです。素晴らしい。この街の近くを通ったなら、是非足を運んでみて下さい。素晴らしい音楽と食べ物と酒と「こころ」がここにはあります。

 東北シリーズ。沢山のエネルギーをもらいました。来てくれてありがとう。沢山の友人達、力を尽くしてくれて、ありがとう。次の北海道シリーズまでの間、しばし受け取ったものを音楽にしてみようと思っています。みんな、元気で。また、会おうね。アリガトウ、グラシアス、シェイシェイ、メルシー僕。

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by 山口 洋  

ビッグ・ピンク再び

2007/06/22, 19:30 | 固定リンク

6月22日 金曜日 曇り 

 何はともあれ、かなりハードな日程ではあったのです。昨夜は山形の新しい友人たちと痛飲してしまったので、ほぼゾンビと化していました。山形から白石までゆっくりと移動して、その途中に蔵王に立ち寄ったのです。彼の地には長らくレコーディングでお世話になった建物ビッグ・ピンク(廃校になった小学校を移築し、牛小屋として使われていたもの)があるのです。会いにいかなきゃ。彼は蔵王連峰をバックにいつものように楚々と立っていました。「元気かい?」と声を掛けて、何度も通った温泉に行き、地元の爺様と友達になり、宮城県白石市に辿り着いたっちゅー訳です。明日の会場、ミルトンは音楽の神様が棲んでるんだそうです。食べ物も美味しいし、お店もさいこーだし、是非遊びに来て下さい。

 ところで、ホテルの窓からあり得ない夕焼けを見たとです。(写真参照)東北、すげぇなぁ。

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by 山口 洋  

日々雑記、そして山形にて

2007/06/21, 19:16 | 固定リンク

6月21日 木曜日 晴れ 

 大阪、伊丹空港の待ち合いロビーにて、これを書いています。
 先日爆発事故のあった渋谷の温泉施設は以前の仕事場のすぐ近くにあります。瀟酒なビルが出来、それが女性専用の温泉施設だと知り、はたまた「天然温泉」だと告知されるに至って、頭にでっかい?マークが浮かんだことを覚えています。都会に暮らす人々の多くは疲れています。だから、そのような施設も必要かもしれない。けれど、表現のしようのない違和感をも同時に覚えるのです。何故1500メートルも掘って、挙げ句、罪のない人々が亡くならなければならないのか。人間の「欲」にはどこまでも果てがないのか?
 昨夜、曽我部恵一君の歌をステージ脇で聞いていました。イケてない男の独白が始まり、サビでただ「東京」と歌われるその歌はまるで映画のようでした。不思議な感触だったのです。後で彼に尋ねたなら、新宿から下北沢に向かうタクシーの中で、東京に暮らしの中心を移してからの数年間がフラッシュバックのように蘇ってきて、あっと云う間に書き上げた、と。おそらく、時々湧きあがってくる、どうしようもない違和感のようなものが我々に曲を書かせるのだと思います。そんな意味で、昨夜のイベントからいろんなエネルギーをもらいました。ありがとう。

 大阪伊丹ー山形線の機長はとってもユニークな人で、機内から見える風景をいちいちアナウンスしてくれるのです。そのおかげで隣の人と仲良くなったりします。あんまりアナウンスが多いので、「ちょっと、真面目に操縦してよ」とも思ったけれど、世知辛い世の中で、こういう人に出会えるのは嬉しいものです。そうそう、山形空港はさくらんぼ畑の真ん中にあるのです。(写真参照)機長は着陸寸前まで、そのアナウンスに大忙し。飛行機を降りる際に機長にサムズアップしておきました。

 山形のこの小屋は、ツアーを続ける者にとっては「止まり木」なのです。いつ行っても心のこもった食事が待っている。外食せざるを得ないミュージシャンにとって、この心遣いがどれだけ嬉しいことか。ここの主はもはや俺の姉貴と化しているのだけれど、その想いが若い世代に引き継がれているのがとっても嬉しかったのです。今日は沢山の若いミュージシャンと演奏したす。君たちに幸あれ。ありがとう。山形。

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by 山口 洋  

うたの日、大阪にて

2007/06/21, 03:19 | 固定リンク

6月20日 水曜日 晴れ 

 beginが沖縄で始めた「うたの日」。沖縄では戦時中、歌を歌うことも許されなかったんだそうだ。そして、ホストがリクオだったから。だから、大阪までやって来た。その名の通り、ミュージシャンが私利私欲に駆られることなく、真ん中にある「音楽の意味」について、共通の認識を持ってステージに立っていたいいイベントだったと思う。沢山の手伝ってくれていた人々、バナナホール、来てくれたお客さん、リクオ、主催した人、参加したミュージシャン。ありがとう。音楽のない日々がどれだけ空しいものか、奪われたことがない俺たちには想像しようがない。でも、どんなに青臭いと云われようが、音楽は少なくとも、俺にとってはかけがえのないものだ。呼んでくれて、ありがとう。

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by 山口 洋  

移動

2007/06/19, 22:00 | 固定リンク

6月19日 火曜日 晴れ 

 盛岡ー仙台ー山形ー大阪と云う移動。飛行機でひとっ飛びってのが、この頃どうしても好きになれず。何だか「ワープ」したような気分になるのだ。合計10時間かかって、ようやく大阪に辿り着く。

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by 山口 洋  

盛岡にて

2007/06/19, 00:52 | 固定リンク

6月18日 月曜日 晴れ 

 昨日まで野郎どもに囲まれていて、愉しかった。男はいつまでたっても男の子(どうなんだろうね、この表現)なのだ。今日からは本当に一人きりで旅をすることになる。その前に伝統の津軽塗(素晴らしかったよ)を見せてもらって、S某と五重塔の前で男の子の会話をした。ひひ。
 盛岡。久しぶりに来たなぁ。でも一人だと寂しいなぁ、なんて事を考えていたら、楽屋の入り口にS某と竹内君が立っていた。おぉ、ブルータス。持つべきものは友達だ。ライヴ、楽しんでくれたかい?決して沢山の人が会場を埋め尽くしていた訳じゃないけど、音楽の持つ力を受け取ってくれたら、俺は嬉しい。若者から年配の方まで。いろんな人が来てくれていた。ありがとう。東北の人は総じてシャイだと云われるけど、それでいいじゃないか、と俺は思う。だって、東北には他の場所にはない良さがあるんだもん。街の真ん中を流れる川に鮭が遡上するなんて、俺、聞いたことないよ。

 たとえば、こんな光景を見たんだ。終演後、サインをしていたら、若いカップルが二人、互いの財布の中身を引っ張り出して逡巡している。DVDが欲しいみたいなんだけど、二人のお金を足しても、それが買えない。そしたら何と小屋の人がお金を貸してるではないか。何だかなぁ、心温まる光景だったなぁ。こんな小屋、見たことない。二人はヤイコさんが大好きで一緒にバンドをやっているらしい。俺も妙に心がほんわかしたんで、ささやかなプレゼントをあげた。二人に幸あれ。

 ところで、野郎どもは盛岡に来たら冷麺だろ、と。それを喰いに行った。確かに美味かった。でも隣のテーブルに慇懃無礼なオヤジどもが居て、俺をいらつかせていた。奴らの言葉に東北の響きはなかった。多分。そのうちの一人が、事もあろうに勘定の段になって、若い店員に向かって「この金、北朝鮮に送るんじゃねぇだろうな」と云い放った。S某と俺は一瞬目を見合わせて、互いの血管が5本くらい切れたのを瞬時に確認したが、ぐっと堪えた。こんな輩、喧嘩する価値もねぇ。ゴミ以下だ。S某が云った。「あのな、生まれる国を誰も選べないんだよ。」奴らは領収書を要求し、会社の金で飲み食いして(それが悪いとは云わんが)、赤ら顔で去って行った。「美味しかったよ、ありがとう」。その一言がどれだけ互いの気分を良くするんだろう。

 マネージャーやイベンターにプロテクトされることなく旅をすると、いろんなものを見る。そのひとつひとつがエネルギーとなる。だから旅は止められん。例の店員は、その後も、一生懸命働いていた。その姿に頭が下がった。青年よ、君の未来に幸多かれ。さぁ、気分を変えて、と。俺は一旦関西に飛んで、また東北に戻ってきます。東北、いつも、本当にありがとう。多謝&再見。

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by 山口 洋  

六ヶ所村と恐山と間に位置する俺

2007/06/17, 23:17 | 固定リンク

6月17日 日曜日 晴れ 

 前述のS某、竹内君と六ヶ所村に行った。そこに何があるか、みんな知ってるよね?っつーか、青森県がこんなにでっかいってみんな知ってたかい?恐れ入ったよ。弘前から下北半島の付け根に行って戻ってくるまで、往復8時間だよ。俺たちは今日、青森県から出てないっちゅーに。

 六ヶ所村の施設を前にして思ったこと。軽々しくここで言及できることは何もない。咀嚼と勉強する時間をくれ。ただ、俺は一人の人間として、ミュージシャンとして、実際に現場を観て感じたことがある。それは愛する女性と裸で抱き合った時に感じるものと本能的に大差はない。この信じられない事実は自分たちの営みがもたらしているものだ。加担しているのだ。間違いなく。俺が音楽を続けるには電力は不可欠だ。こうやってネットにアクセスしてる間にも。だったら、有効に活用したい。その電力を供給した挙げ句、この大自然の中にこのような施設を作らなければならなくなる。だったら、俺も加担しているのだ。間違いなく。できれば、機会があれば、この場所に足を運んで、実際に観て欲しいと思う。感じる違和感は人それぞれだと思う。でも、おそらく誰もが無実ではない。そして、それぞれがそれぞれの現場で考えることでしかない。

 恐山。何故、そのような信仰が生まれたのか、俺は詳しくは知らない。そのような想いの前でシャッターを押す気には毛頭なれなかった。いにしえから今日に至るまで。ちょっとやそっとで理解できる類いのものではない。でも、来て良かった。六ヶ所と恐山はそんなに離れてはいない。でも、そのわずかな距離の間に自分が存在しているのだと、俺は思う。考えていないよりは考えている自分の方が好きだ。知らないフリはもうできない。風見鶏にはもはやなれない。自力で旅をすることの意味。流れているだけで、そこに理由が降ってくる。稀に面倒臭いけど、そんな日々が嫌いにはなれない。

 弘前に帰って、店主がとある曲を聞かせてくれた。記憶が正しければシルバーと云うグループが歌った「ミュージシャンの日々なんてとんでもねぇ」みたいな曲だったと思う。そのハーモニーに込められた違和感が今の俺の気持ちを代弁してくれていた。ハーモニー(調和)とは多少ピッチがズレているからハモるのだ。そこにいろんなヒントがある、とホテルで岩木山の影を見ながら考えている。ありがとう、青森。俺は必ず戻ってくる。知らないことが俺には多すぎる。

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by 山口 洋  

アサイラム - 青森県弘前市にて

2007/06/16, 23:45 | 固定リンク

6月16日 土曜日 晴れ 

 俺は東北が好きだ。空が広い。今の季節、新緑の匂いがぷんぷんする。長かった冬を抜けて、全身で陽射しを浴びる。そして人は純朴で優しい。でっかい空を見上げながら「どうして旅に出なかったんだ」と誰かの台詞を何度もつぶやいた。今回、交通機関ではなく、自力で移動することを選んだのは正解だった。自分のペースで進む。誰にも指図されない。今までのどんなツアーよりも、空気の移ろいを感じる。ミュージシャンであることの意味を今更ながらに教えてくれる。

 アサイラム。そんな場所が弘前にある。俺が愛して止まなかったレコード店、joy popsの店主S某がレコード店を辞めた後に作った飲み屋だ。細かく記すことは何もない。興味を持った人が居たら、自分で探してくれ。多分、ネットにも載ってはいない。そこには良質な音楽と、決して失われることのないカウンターカルチャーのスピリットが確かにある。だから、来て、歌った。ただ、それだけ。俺は自分が与えられた現場でベストを尽くすだけ。ありがとう。俺には兄弟はいないけど、この男は兄だったかも、とか思う。ありがとう、アゲイン。弘前のシンガー、竹内君の後ろでギターを弾いている時に燃える自分が居た。ステージでウソはつけない。すぐにバレる。多分、その中にあったものが全てだと俺は思う。ありがとう。3回目。アンタ達は最高だよ。ありがとう。4回目。来て良かった。
 

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by 山口 洋  

旅はいいなぁ。仙台にて

2007/06/15, 23:45 | 固定リンク

6月15日 金曜日 晴れ 

 山口洋です。43歳です。午前3時です。仙台です。ちょっとばかし飲み過ぎたようです。日本語が間違っていても許して下さい。

 ツアー初日でした。ライヴ勘が身体に蘇るまで、いろんな事を試してみました。でも、途中で気付いたとです。無理しても意味がないことと、自分が音楽をバカみたいに好きなことと、足を運んでくれた人々がそれぞれに幸福を持ち帰って欲しいと自分が願っていることを。ありがとう。来て良かったです。つーか、来てくれてありがとう。心から。ありがとう、ヘィブン。

 あの。近郊の友人HとJacoって店に行ったとです。美味しい料理がアンビリーバブルな値段で並んでます。そこでKちゃんに会ったとです。彼女はJacoの店員さんです。彼女がお客さんを見送る姿を観た時、「こいつただもんじゃねぇ」と思ったのです。心から「ありがとう」が云える人やったとです。こう書けば、簡単です。でも、それがいかに難しいことか、俺なりに知っています。彼女が否応なしに受け入れざるを得なかったその人生についても、ここには記しません。それは野暮だと思うからです。ただ、ひとつ。やっぱり旅には理由があるとです。多少のリスクを自分でしょえば、そこにはあり得ない出会いってもんが、必ず待っています。一期一会です。今日、この瞬間をまっすぐに生きること。それはきっと何ものにも代え難いとです。明日は青森を目指します。

 ただ、一言。ありがとう。また、会おうね。多謝&再見。

追伸

 深夜3時半を廻りました。俺は明日、チェックアウトと共に、青森を目指さなきゃらならんのに。移動方法は秘密です。今日も何人かの人に聞かれたけど、それは秘密です。へへ。400キロかー。歩いていくには遠いなぁ。昨日、映画「ロニー」の件で出演したFM広島のバカどもからメールが届きました。内容はともかく俺はあの素晴らしい映画をあの素晴らしい映画館で観て欲しいとです。なので、映画館の主が書いたものと、出演者の一人であるばかちんが書いらbogを抜粋します。じゃ、明日は青森で。おやすみー。

 
日付けが変わったので昨日の事。 深夜帯に放送時間が移動になったHFM「ボンばか」の収録に行ってきた。
なんとこの日は、スリムチャンスのとんちマスターOKAさんと同席。 「ボンばか」でOKAさんと一緒になるのは、初めてのことです。 椅子を並べて座るのは、ステーションシネマが閉館して以来かも(笑)
ちなみに、われわれの世間的な評価は、こういう事になっている。 http://yeswithlove.seesaa.net/archives/20070306-1.html
ともあれ。 今回の話題は、横シネで7/7(土)から一週間限定レイト上映が決定した『ロニー MODSとROCKが恋した男』という音楽ドキュメンタリー。 ---------- http://ronnie-love.com/ モッズのヒーローとなったスモール・フェイセズ、ロッド・スチュワート、ロン・
ウッドとのフェイセズ、独自のサウンドを作り出したスリムチャンスなどで活動し、
1997年に多発性脳脊髄硬化症という難病でこの世を去るまで仲間と音楽を愛しつづけ
た男、ロニー・レイン。 本作は、60年代初頭からブリティッシュロックシーンを牽引しつづけた彼の生涯をあ
りのままに語ったドキュメンタリー作品。エリッククラプトン、ピートタウンゼント
など、ロニーの親しい友人や家族、バンド仲間、彼の素顔をよく知る人々のインタ
ビュー、さらに、新たに発見されたスモールフェイセズやスリムチャンスの未公開
シーン、70年代のスウェーデンやドイツのテレビ番組でのパフォーマンス映像、さら
に病状が悪化した頃の感動的なレコーディング風景など貴重な映像などで構成されて
います。 ---------- そう、タカノ橋スリムチャンススタジオの名前の由来は、彼=ロニー・レインだった
訳ですよ。なので「ボンばか」も、ロニーヘの熱い思いを語るOKAさんと、それを受
け止めるベテランDJのボンバーさんのやりとりで既に成立してたんですけどね。
まぁ、黙って頷いたりして、なんとなく番組に参加してた訳です。
そしたら、30分のこの番組、後半に入ってボンバーさんが「では、ここでもうひとり
のゲストを…!」って言い出したのね。
それは…こういう顛末で http://www.five-d.co.jp/heatwave/blog/

サプライズでしたよ、実際。 なんか嬉しくなるような言葉を映画にも劇場にもたくさんかけてくださいました。
オンエアは日付け変わったので今日の深夜26時から。 なんかボンバーさんが口をすべらせたりしたのも、そのまま放送されると思うので、
是非どうぞ。
公開前日の7/6(金)にはタカノ橋スリムチャンススタジオで前夜祭イベントも行な
いますので、こちらも是非。 そして、もちろん、映画もどうぞご期待ください!

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速報RADIO 昨日B氏に誘われてラジオの収録に行って来た

その放送局に行くと
当たり前のコトですが
業界の方が沢山いらっしゃいます

子供の頃からお世話になっている放送局の方
レコード会社の方
地元のタレントさんなどなど

人見知りで気が小さく腰は低いが、
人に頭を下げるのが大嫌いで名刺交換の儀式などが苦手なオレは

B氏にそんな業界の方を紹介されるたび

コメツキバッタのようにペコペコしてしまい
その放送局のロビーに行くと
いつも首の筋肉と胃が痛くなるのだ

そして
そんなオレの卑屈さを見るのがB氏のお気に入りらしく

2度と会わないであろうと思われる
東京のレコード会社の方などとも容赦なく
無理やり名刺交換をさせられ・・・ギャグを披露させられる

もちろん緊張のためそのギャグは大抵の場合、滑る。


しかし今回は違った


収録が夜ということで業界の方もあんまりおらず
コメツキバッタになることもなく
首の調子も万全でスタジオ入り。

隣には同じくゲストで呼ばれた
雑食性ミニシアター「横川シネマ!!」のM氏が座っている

そう、この日はミュージシャンのロニー・レインの一生を描いた
映画「ロニー〜MODSとROCKが恋した男〜」のプロモーションでのラジオ出演。

B氏曰く
「広島で1、2を争うダメ人間」でのツープラトン出演。

ロニー・レインというのは当店HPでも何度かご紹介しているので
ご存知の方も多いと思いますが・・・略歴を

60年代にsmall facesというMODSバンドでベース・ボーカルとしてデビュー
突然のボーカリスト脱退により
ロッドスチュアートとロンウッドを迎え入れfacesを結成し
以後ソロプロジェクトslim chanceなどで活動してたのだが
70年代後半に多発性硬化症という難病におかされ
1997年に51歳でそのロック人生に幕を閉じる。

略し過ぎなカンジですが、そんなミュージシャンです。

ベーシストというパートの為なのか
日本では今まであまり注目されることもなく
いわゆる「ツウ好みな」で地味なアーティストという
イメージで語られていた印象のあるロニーですが

英国カントリー風景なのんびりとした名作を沢山遺しております

そしてついに!没後10年の今年、奇跡的にも映画が公開されます!

病のなか実現した90年の来日公演では
スモールフェイセス時代からの親友イアンマクレガンと共に
車椅子でステージに登場した姿は
すごく小さくて弱々しく、その病の重さが実感されたのだが

オレの行った大阪公演は4月1日で
エイプリルフールの誕生日ということで
花束の贈呈の後、イアンマクレガンの音頭で
「はぴばすでいつーゆー」を合唱した時の
彼の照れ笑いはビデオなどで観ていたロニーそのままであった。

この世を去った時に
中国新聞に掲載された小さな記事の切り抜きと来日時の整理券は

いまでもオレの宝物箱に
その時のロニーの思い出と共に大切にしまってある・・・


何かすごくカッコよく前置きが長くなってしまったが


ラジオ収録である。


映画「ロニー」の試写の感想をB氏に聞かれ
舞い上がってしまいワケの分からない事を言ったりでボロボロだったが

M氏が上手くフォローというか
分かりやすく内容や素直な感想を伝えてくれた。

B氏もモチロン感想を述べたのだが
オレは2人のプロさにゲストに呼ばれながらも

「ほ〜ぅ」「へぇ〜」と思わず聞き入ってしまい
どこでギャグるかばかり考えていた
とてもマジメな話だったのに

ダメダメであった。

オレなんかレアな映像や写真でコーフンしてしまった!
みたいなミーハーなコトしか言えんかったもんなぁ・・・

そんなこんなで順調に進むスタジオ収録であったが


突然B氏が


「ここで東京のスペシャルゲストと電話が繋がっております!」


???


電話インタビュー???


そんなコトは知らされていなかったM氏とオレは一瞬固まる。


「モシモ〜〜〜シ」


B氏はそんなオレ達にお構いなしに進行する


電話の相手の声が聞こえた







「オトコ3人でこんな深夜にな〜にやってんだよ(笑)!?」











ハッ!












この声は・・・


この声は聴き覚えがある・・・


ウチの店でDJに5時間以上ぶっつづけでストーンズを掛けさせた男
ウチの店でコップ破壊記録を塗り変えるオトコ
ウチの店でホウキ片手に裸で踊り続ける漢


ガクガクぶるぶる
がくがくブルブル


思わず椅子から立ち上がり気を付けの姿勢で頭を下げる・・・

その日の放送局では下げなくて安心していた頭を

その時、思いっきり下げる


90度。


電話で姿は見えないのだが90度。



ロニーの感想を熱く語ってくれて
オレたち3人のコトも恐縮するくらい語っていただき
すごく感動したのだが


ハッキリ言ってその時のコトは良く覚えていない・・・



そして今、オレの首は
今までに無いくらい酷い筋肉痛だ。


仕事に行かないといけないので
少し短くなってしまったけど今回はこれにて!




※その時の模様は6月15日(金)26:00
HFM「Bomber's Radio Deep Nightばかんす」にて放送!

※ヒートウェイブ山口洋氏のロニーの感想とその時の模様

※映画「ロニー」は7月7日(土)より横川シネマにてレイトショー公開
※7月6日(金)22:00より当店にて公開記念イベントも開催!
詳細は近日発表!



追伸その2

俺がblogをアップした段階で、もう放送が終わってることに気付いた。
ああ、無情。でもこの映画、素晴らしいんで、見に行ってね。

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by 山口 洋  

続・ロニー

2007/06/14, 21:57 | 固定リンク

6月14日 木曜日 雨 

 明日からのツアーに向けて都会を出発しました。あいにくの雨だけれど、気ままに進んでいくつもりです。旅の友ははipod。シャッフルで再生すると、いつもと違った風景が見えます。こんなラジオ局あるといいなぁ。ねぇだろうなぁ。

 道中、広島FMのボンバー石井の番組に電話で出演しました。愛しのロニー・レインを描いたドキュメント映画「ロニー」が広島一、イケてる映画館「横川シネマ」で7月7日七夕の日からレイトショー公開されるからです。この映画を試写会で観た直後、横川シネマで公開されることを夢想したとです。実現して嬉しい。っつーか、俺もそこに行きたい。
 映画の詳細は
http://www.five-d.co.jp/heatwave/blog/index.php?id=07030010
を参照して下さい。試写会で俺は冒頭から涙腺が決壊したとです。彼の不器用だけれど、honestな人生はこの時代に生きる者にも、沢山のヒントを与えてくれると思います。是非。横川シネマのサイトはこちら。
http://ww41.tiki.ne.jp/~cinema-st/
 それからラジオと云えば、新しいアルバム「Coyote」が発売されたばかりの佐野元春さんの番組「サウンドストリート21」6月19日(火)NHK-FM(23:00〜24:10)にも出演させてもらったとです。是非。アゲイン。

 じゃ、明日は仙台で。晴れるといいなぁ。

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by 山口 洋  

old machine

2007/06/13, 23:20 | 固定リンク

6月13日 水曜日 晴れ 

 うちの家族(故人)が使っていた機械があるとです。古いけど、無骨で頼れる奴なのです。残念ながら、俺にその手の趣味がないので、ずっと倉庫で埃をかぶっていたとです。ある人物が譲ってくれないか、と云うので、山の家の倉庫から引っ張り出してきたとです。鋳物でできたそいつはとんでもなく重かったけれど、埃をはらって、油をさしてやったら、待ってましたとばかりに、ブルンブルンといい音を立てて動きだしたとです。モノにも想いが宿るんだなぁ、と心を動かされたとです。自分を伝えることができる「現場」がある限り、必要とされる限り、動き続ける。訳もなくじーんとしました。

 さて、こんな重たいもの。東京にどうやって運ぼう?考えた末、お世話になっている近所の人に軽トラックを借りて、ひーひー云いながら、一人で積み込み、麓の運送屋さんに平身低頭して頼み込んで、本日東京の某人宅に無事設置されたという訳です。嬉しそうだったなぁ、奴も。ところで、その機械、ある部品が欠けていました。調べたところ、明治に創業されたその会社は本業である「機械製作」を止め、健康器具販売業に転身しとったとです。時代の流れとは云え、哀しかったなぁ。

 海辺の街に仕事場を移して、ゴミの分別がとんでもなく煩雑になったのは前にも書いたよね?面倒だけど、それはいいことだと思うとです。これ以上無意味なCO2を出すことに加担したくないとです。そんな視点でこの世の中を見つめてみると、あまりにもヒドいとです。たとえば、スーパーで野菜を買おうとすると、それはビニールに包装されとるとです。有無を云わさず包装されとるとです。でもって、それをゴミとして出すには月に一回の「ビニール系ゴミ」の日まで待たんといかんとです。俺は家に居ないことが多いので、野菜を喰っただけなのに、ビニールが増殖していくとです。ちょっと怖いくらいに。だいたいこのビニールは何のためにあるん?ほぼ全ての食品がビニールで包装されとるとです。作るのにCO2、ゴミになって燃やすのにCO2。なので、できるだけ野菜は八百屋で買います。仕方なくスーパーで買う時はその場でビニールを外してもらうとです。ビニールは消費者のニーズによってあるとです。なので、みんなが「こんなもん要らん」と云えば、それは減ると思うとです。
 前述の機械の部品を見つけるのは苦労すると思います。でも、充分に働ける無骨な機械をゴミにするのは忍びないとです。自分を伝えることができる「現場」があるのに。

 もうひとつ。例の裁判のこと。沢山の励ましをありがとう。僕は自分の現場でやれることをやることでしかない、と思うとです。こういう事に関わると、不思議に人間と云う生きものが透けて見えてきます。昨日口にしたことをいとも簡単に翻す人、バックアップしてくれる人、体温が常に変わらない人、目先のことや、自分の利益しか考えない人、口にしている理念と行動がまったく逆の人。まるで昨今の新聞報道そのままの人間模様が縮小された形で目の前に展開していくとです。ミニ・コムスンにミニ・年金問題。でも、それは音楽を作る上では逆説的なエネルギーになります。人間には創造力があるとです。だから、それをファンタジーに変えるとです。ちょっとだけピリリと辛子が効かせて。そして僕には明後日からも「ツアー」と云う現場があります。だからブルンブルンと動き続けるだけです。近くの街に来たら、気軽に足を運んで下さい。待っとるよ。

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by 山口 洋  

on the road,again vol.3

2007/06/12, 20:14 | 固定リンク

6月12日 火曜日 晴れ 

 都会に戻りました。もうすぐソロ・ツアーが始まります。「Land of music」、バンドで行けなかった(届けられなかった)街をできるだけ細かく一人で廻るつもりです。去年のタイトすぎたスケジュールを反省して、ひと月にワンブロックづつ、年内一杯かけて廻るつもりでいます。まずは大好きな東北から。この時期、気持ちいいだろうなぁ、とか。ゆっくりこの国を見つめてみたいのです。だから、極力電車に乗るのも止めて、とある方法で移動します。って、東北で既にくじけたりして。いつもの事だけれど、一本として同じライヴにはしないつもりです。今度こそ、旅をしながら曲を書いてやる、と意気込んでいます。じゃ、待ってます。気軽に遊びにきて下さい。

追伸
サイトの更新が遅れて、申し訳ない。7/29フジロックの出演が決まっています。

by 山口 洋  

峰は今日も快晴だ

2007/06/10, 17:47 | 固定リンク

6月10日 日曜日 晴れ 

 40を過ぎたばかりの友人達がバタバタと倒れはじめた。身体を壊すもの、心の調子が悪くなるもの、身内に不幸が多発するもの、エトセトラ。1人や2人なら、ここに記すなんて野暮はしないが、その数が両手の指で足りなくなるに至って、俺は「ふむ」と考える。

 恥ずかしながら、俺にも経験がある。始めは、「何で俺だけが」と我が身を呪ったのだが、状況は悪くなる一方だった。それまでのトラブルと決定的に異なるのは、自分ががんばっても、どうにもならない類いのものが頻発するってことだった。本当にどうにもならない。嵐と吹雪と雷が一緒くたになって猛烈に吹き付けてきたら。もはや受け入れるしかなくて、体力を温存しながら、天候が回復するのを待つしかない。ただ、考える時間だけはある。よくよく考えてみると、この悪天候を巻き起こしている原因の一部(場合によっては殆どだったりもするけど)は自分にあったりもするのだ。他人のせいにして、我が身を嘆く前に、自分を変えてみることはできる。
 昔の人はこの状態の事を「厄」と呼んだのだと思う。それは多分「厄払い」に行って、簡単に解決するものではない。Lifeを実りに例えるなら、種から発芽し、生育して、実り、収穫され、枯れて、やがては次の世代の寝床となる。順等に事が運べば、我々が積み重ねてきたことは、もうすぐ「実り」の季節を迎える。その前に、「今までのやり方」を振り返ってみろっちゅー、誰かからのメッセージだと思うのだ。本当の意味で豊かな、意味ある実りを世界にもたらすために。
 おそらく、乗り越えられない試練は与えられない。降り止まない雨もない。友よ、峰は今日も快晴だ。10キロ先まで見渡せる。彼等は何千年に渡って、人間社会のアホさ加減を見守ってきた。風雪や戦乱にも耐えた。ムカつくくらいデカくて、ちょっと嫉妬する。でもちっちゃいよりデッカイ方がいい。心も魂も。そんな事を教えられる。俺たちは「見る前に跳び」すぎて、「書を捨て、街に出すぎた」のかもしれんぞ。はは。take it easy! let it be! 何でもいい。力むとロクなことがない。そして、誰かの言葉だけど、人間の落下を止められるのは愛だけだ。俺は心からそう思うぞ。ワン。

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by 山口 洋  

エスケイプ

2007/06/09, 20:00 | 固定リンク

6月9日 土曜日 晴れ 

 過日。数日間に渡って、都会で打ち合わせをしたとです。その数、多数にて、ありとあらゆる場所で。有名な人も、名もなき人も、腹黒い人物も、ピュアな人も。結果、表現しようのない吐き気に襲われたとです。人に酔うってのは、本当にあるとです。そしてコムスンだの、年金問題だの、談合だの、自殺だの、初めて知ったスーダンの虐殺だの。僕らはある意味、魔界に住んでるのです。咀嚼する時間を必要としていました。
 なので、飛行機に乗って、誰も居ないところに来たとです。たった一人です。情報は何もなし。やけに眠れます。良く、怖くないのか?と聞かれます。否。自分の外には宇宙が、そしてしばらくすると自分の内なる宇宙が見えてくるとです。夜には無数のカジカが鳴き、昼には陽光が降り注ぎ、腹が減ったと自分に気付き、自然にギターを握っている。何ひとつ形にはなっていないけれど、ポロポロと魔界の断片が響きになって出てきつつあるとです。人生は思ったより短いとです。だから、人に惑わされることなく、自分の道を行くべきです。響きを糸のように紡いでいます。地平線の向こうに、何かが始まりそうだなと云う、いつもの兆候が見えてくるとです。エスケイプ。from fear。

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by 山口 洋  

no method

2007/06/04, 23:38 | 固定リンク

6月4日 月曜日 晴れ 

 「どうやって生きていけばいいのか、分かりません」。そんな内容のメールや手紙が数多く寄せられるようになった。時代はかつてないほど荒廃しつつあるんだろう。俺は一介のミュージシャンだ。答なんて、残念ながら、俺にも分からん。 

 昨日、エイモス・ギャレットのギターを聞いていて、ハタと思い当たったことがある。「no guru, no method, no teacher」、ヴァン・モリソンの至言。「導師もなく、メソッドもなく、教師もなく」。

 エレクトリックギターの歴史なんて、たかだか50年くらいのものなのだ。それゆえ、エイモスがギターを手にした時には、おそらくメソッドのようなものは存在しなかった。誰もが、見よう見まねから始め、試行錯誤の末に自分のスタイルを生み出した。だから昔のミュージシャンは実に個性豊かだ。

 例えば、ドラマー。始めはロックドラマーのメソッドなんてなかった。ジョン・ボーナムはハイハットを熊のように叩くし、チャーリー・ワッツはスネアを叩く瞬間にハイハットを抜き、リンゴ・スターは8の字を描くようにそれを叩き、キース・ムーンに至ってはハイハットそのものがない。「永遠の詩」っちゅー映画の中で、後にドラマーになった息子ジェイソンにジョン・ボーナムがドラムを教えている。確かに息子はバカテクになったが、面白くないのだ。個性がない。

 メソッド、教則本、how to本。それらの使い方を誤ると、没個性に繋がるっちゅーアイロニックな結果が待っている。

 この時代、誰もが荒野の上に立っている。あるいは薄氷の上に。ならば、「no guru, no method, no teacher」。「個」を見つめて、前を向いて、自ら切り拓くしかないのだ。「ほっこりするような」エイモスのライヴだったけれど、実のところ、俺はこのような思いを強くした。きっと、短所は個性に繋がり、ピンチは同時に最大のチャンスでもあるのだ、と。

by 山口 洋  

midnight at the oasis

2007/06/03, 23:29 | 固定リンク

6月3日 日曜日 晴れ 

 公私共にお世話になっているMさんがチケットを手配してくれて、エイモス・ギャレット観たとです。下北沢に突如現れたオヤジ共の行列。もちろん並びましたとも。会場には加齢臭が漂いそうです。ほんとです。ジャケットで知ってる彼と風貌は違う人になってたけど、音は「あの音」やったとです。感涙。ギターは実のところ甚だ不完全な楽器なのです。ピッチはかなり曖昧です。それがいいとです。俺のグレッチなんて実のところ不協和音の一歩手前の状態です。それを弾きこなしてこそ、自分のサウンドになるとです。そんな意味で、子供の頃から「何じゃこの音は?」と不思議で仕方なかった彼のサウンドは、強靭な指から繰り出される常軌を逸したまでのチョーキングやサムピックを使うこと、タッチ、リズム感、その他もろもろ。それらが混然一体となって、作り出されていたのでした。すげぇ。俺はタダのギター小僧と化して、彼のテレキャスターを見つめていたとです。至福。
 音楽ってね、音だけじゃないとです。彼が流れるようにギターを弾きながら、落ちてきた老眼鏡を上げる仕草にぐっと来たり。あまりにも幸福そうな客の顔にぐっと来たり。ライヴは素晴らしいすね。久しぶりに客として、音楽を心から楽しんだとです。あ、それから日本人のサポートも素晴らしかったとです。決して出しゃばらず、絶妙な立ち位置で彼の音楽を支えていました。心から拍手を送ります。ブラボー。

by 山口 洋  

海と空とトンビとBBQ

2007/06/02, 20:20 | 固定リンク

6月2日 土曜日 晴れ 

 長い間、うちのPAエンジニアをやってくれてるMはネイバーなんである。海辺のBBQに誘われたんで、近所のY君とのこのこ出かけた。ちゃんと人をもてなせる人間ってのは居そうで、あまり居ないもんだ。嗚呼、素晴らしきかなホスピタリティー。彼等は偉かったなぁ。違う一面を観たっちゅーか。うちには池畑さんと云う比類なきキャンプ隊長がいらっしゃるからして、MにBBQ隊長をやってもらったら、愉しいキャンプになりそうだなぁ。俺?料理隊長しか空いてる椅子はなさそうだね。

 夕刻。仕事場に戻って、ミキシング。海風に吹かれた疲労が心地良い。ありがとう。

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by 山口 洋  

40過ぎて、ミスドにはまる

2007/06/01, 23:20 | 固定リンク

6月1日 金曜日 晴れ 

 40過ぎて。突然ミスタードーナツが美味いと思った。とは言え、オールドファッションしか喰えないんだけど。俺は甘いものが苦手で、今でも仕事場に砂糖はない。でも、何だかこの頃、突然ドーナツが喰いたくなる。どうしたんだ、俺?
 ズボンズの松尾君が「ミスター・ドーナツがない街には引っ越したくない」と、のたもうたっちゅー話を聞いたことがある。何だか分かるなぁ、その気持ち。2日くらい前、とある街で口の中が突然オールドファッションになった。俺はミスドを探して30分くらい彷徨った。見つけた時の気持ちは、砂漠の街でようやくガソリンを給油した時のそれに似てた。どうしたんだ、俺?
 10代の終わり。ガールフレンドM子ちゃんがミスドでバイトしてた。迎えに行って、車に彼女が乗り込むと、車内に甘いミスドの香りが漂った。大丈夫か、お前?

by 山口 洋  
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