本来あるべき姿

2007/07/31, 23:25 | 固定リンク

7月31日 火曜日 晴れ 

 とある音楽業界の人々と酒を酌み交わして、かなりぐわんぐわんに地面が揺れてはいます。
 音楽業界はかつてない、黒船襲来(面倒臭いので、詳細は割愛します)を受けて、揺れに揺れております。だから、何じゃい、と俺は思うのです。俺たちは伝えたいことがあるから、ステージに立っているだけで、それがないのであれば、やらないだけのことです。ただ、それだけです。音楽業界始まって以来の、彼等が戦々恐々としている現状はまさに音楽業界が長い間かけて、作り出した現実なのであって、今は本来あるべき姿に戻っている時期だとも云えるのです。それでも音楽には無限の可能性がある。だから、やり続けることでしかないのです。「land of music」をあのような形で作ったのは、作品にまつわるもろもろの権利を自分たちで有していれば、永遠に「廃盤」の憂き目には遭わないからです。自分たちが「廃盤」にしない限り。そんな意味で、本日「日々なる直感」と云う作品がその危機に面していることを聞きました。実質的な「廃盤」でなかったとしても、メーカーの在庫が尽きた時点で、そこから先どうするかを決めるのは彼等であって、我々ではないのです。嗚呼、面倒臭い。それにあたって、我々もそのシステムに於ける利点(例えば、ツアーの赤字を補填してもらうとか)を享受していたと云う意味に於いては共犯者でもあるのです。手許にわずかな「日々なる直感」があります。それが現時点における最後の在庫です。なので、欲しい人は出来るだけ早めにゲットして下さい。あのアルバムにはベスト盤に収録できなかった、思い入れのある曲が沢山入っています。このような事を踏まえて、我々は出来るだけ自分たちの権利を己でコントロールできるように活動を続けていきます。前述の「本来あるべき姿」とは、そんなに難しいことではないと考えています。勇気とイマジネーションとわずかなマネー、大事なのはただそれだけの事だと思っています。週末から北陸を廻ります。みなさんに会えるのを楽しみにしています。

by 山口 洋  

軽井沢にて

2007/07/30, 13:39 | 固定リンク

7月30日 月曜日 大雨 

 嵐の軽井沢にて、所用を済ます。人には仁義ってものがある。通さなきゃならん筋ってものもある。でも、その後には心地よい会話と新しい関係性が待っている。ヤクザじゃないけど、俺はそう思う。

by 山口 洋  

フジロックにて

2007/07/29, 13:38 | 固定リンク

7月28~29日 日曜日 曇り 

 新潟県苗場スキー場。フジロックにヒートウェイヴとして出演。このところ、ソロツアー三昧で何でも一人でやる癖がついていたが、スタッフ、ローディー君が居てくれると、俺は自分のテンションを調整して、ステージに上がって歌うだけ。前日、会場に入り、キャンプ隊長池畑さんのタープの下で、皆で美味い酒を飲み、本番を迎える。
 演奏を始めると次第に客席が埋まっていく。何だか、山と客席に向かって音楽で会話しているみたいだった。それはこのフェスが長い時間をかけて育んできた特質なんだろう、と思う。愉しんでくれたかい?先日の地震への募金箱が多数置かれていたこと、環境への配慮が随所に感じられること。「ハレ」だろうが「ケ」だろうが、本来あるべき人間としてのコンパッション。それをこのような巨大なフェスで感じられたことが嬉しかった。ありがとう。

by 山口 洋  

自分に出来ること

2007/07/27, 21:47 | 固定リンク

7月27日 金曜日 晴れ 

 フジロックで投票に行けないので、不在者投票に出向く。筆圧高めに候補者の名前を書く。俺に出来ること、その1。
 デザイナー兼映像チームのチーフ、早い話がイカレポンチのW君に連れられ、都内のパッケージ会社で打ち合わせ。この会社、CDやDVD、書籍などのパッケージを作っているのだか、モノ作りへの情熱が半端ではなかった。不可能だと思えるほど燃える輩っちゅーか。こういう職人集団といい仕事をするには先立つものが必要なのが、世の常。しかし俺の頭にはまず「不可能だ」と考える回路がない。同行したチビちゃんが、帰りしな「面白いんだけど、無理っすよね」みたいな発言を連発するので、「おまえは若いのに、何でそんな風に決めつけるわけ?」と軽くおじさんはたしなめる。思うに、面白がる心を中心に、遠くを見つめながら、勝手に連帯させて続けていくこと。決して諦めないこと。遊び心を忘れないこと。ただ、それだけのことだろ。なので、俺は先立つものをどーするのか考える。しかし、妙案はなし。でも、問題なし。俺に出来ること、その2。

by 山口 洋  

リハーサル

2007/07/26, 23:45 | 固定リンク

7月26日 木曜日 晴れ 

 フジロックのためのたった一日のリハーサル。バンドの人々にツアー以来久しぶりに会ったんだけど、この人たちは何だろう?一言で書けば、サイコーです。決して誰も多くを語らないんだけど、会わなかった日々の空白を演奏が埋めていくとです。誰もリハーサルでは本気を出さず、二度と同じ演奏をしないのです。あはは。じゃ、楽しんで下さい。

 今日は亡父の誕生日。日付が変わった頃にジェイムソンでその魂に乾杯した。親父、人生はややこしいけど、悪くないよ。もうあんたが居なくなってからの日々の方が長くなったけど、あんたが夢想して果たせなかった円環の中に俺は生きてる。それが何処に辿りつくのか、辿り着かないのか、未だに分からんけど、それを見届けるまで、多分俺は死なない。それまでおふくろと仲良くしててくれ。ありがとう。

by 山口 洋  

続・Land of music

2007/07/24, 18:28 | 固定リンク

7月24日 火曜日 晴れ 

 このところ、とっても精神衛生が良い。何故なら、心の醜い人物に会わないからだ。俺は自分の道を命がけで行くイカレポンチが大好きで、ウソをつく人間が嫌いだ。事務所もない、レコード会社もない。だから何だ?俺はギター一本でオーディエンスを幸福にしたい。ただ、それだけ。音楽を「金」としか思っていないアホな業界人が身の回りから居なくなって、本当にすっきりした。気分爽快だ。
 そしてライヴではオーディエンスが俺にエネルギーをくれる。そりゃね、小さな街で客が30人しか居ないこともある。1000人居れば1回で済むことを30回やらなきゃいけない。でも、俺は何度でもやるし、メゲることはない。問題は第一義的には金ではない。必要なのは勇気とイマジネーションとわずかなマネー。
 「land of music」をリリースした時、「音楽の場所、それは君の心の中にあるはずさ」と書いた。けれど、それは「確信」に変わりつつある。それは確実にこの世に存在しているのだ。世界中のあちこちに。日本のあちこちに。もうすぐ新しい歌が生まれてくると思う。それは長い俺の音楽人生で初めて「歓び」に溢れたものになると思う。

 例えば9月に青森県弘前市でトリオのライヴがある。17年前デビュー直後にバンドで青森に行った時、客はたった3人だった。これがヒートウェイヴ史上最も客が少なかったライヴなのだが。が、しかし。その時の客の一人がずっと種を撒き続けてくれた。そうしてようやくトリオで青森に行くことができる。4人じゃないのが残念だけど、でもそれだけ時間がかかることなのだ。だから、俺は全力を尽くす。音楽の凄さと歓びを爆発させる。


 ソロツアーが半ばにさしかかって。浮かんできた言葉はただ一言。「ありがとう」。本屋でミュージックマガジンを読んでいたら、佐野さんのインタビューがあって、ミュージシャンが続々とレコード会社を離れて独立していく事に触れていた。インタビュアーの「これは新しいビジネスモデルですか?」と云う問いかけに兄貴応えて一言「違う。これは道なのだ」。ブラボー!

by 山口 洋  

brotherhood

2007/07/23, 17:57 | 固定リンク

7月23日 月曜日 晴れ 

 久しぶりに酒席で渡辺圭一某と打ち合わせをした。奴は穏やかな顔をしていた。もう付き合いは25年を超えた。本物の弟より兄弟みたいだ、とも思う。で、奴が俺をこう評して云い放った。その台詞があまりに図星だったので、掲載しておきます。
 「ヒロシはね、困っている人を見つけると、全力でその人を救おうとするんよ。そんな器もないくせに。でもって、結局救いきれんで、自分が沈没するんよ。ま、それがいいとこなんやけど」。はい。その通りでございます。気をつけます。

 渡辺某と別れて、俺はひとりではしごした。そしたらカウンターにあまりにきれいな女性が座っていたので、「きれいですね」と連発していたら、隣に居た男性が旦那さんで「おまえ、そのくらいにしとけや」とすごまれた。きれいな人に「きれいだ」と云って何が悪いんじゃ、と思ったが、俺も大人になったので、「すいません」と謝った。ちゃんちゃん。 

by 山口 洋  

束の間の休日

2007/07/22, 22:27 | 固定リンク

7月22日 日曜日 晴れ 

 束の間の休日です。雑務をとっとと終わらせて、いつもの海が見える茶屋で至福のビールに酔うとです。ずーっと旅を続けてきて、ようやくペースを掴んできたとです。スケジュールを詰め込みすぎてはいかんとです。見える景色が狭くなります。可能な限り、自分の足で歩くとです。沢山の人に会うことが出来ます。ようやくディラン先生が「ネヴァー・エンディングツアー」を続ける理由が分かってきた気がするとです。

img07070019_1img07070019_2
by 山口 洋  

甘酸っぱい街、千葉ANGAにて

2007/07/21, 23:04 | 固定リンク

7月21日 土曜日 雨 

 実のところ、17年前にプロになるために上京し、初めて住んだ街は千葉なのだ。殆どが甘酸っぱい思い出だけれど。柏市を除いて、千葉県でライヴをやった記憶もない。今日までは自分にとってそんな街だったんだが。

 会場のANGAに着いて、看板に書かれた「heart of Chiba」っちゅー文字を観て、ぐっと来た。俺は例えば「スピリット・オブ・セントルイス」とか、その手の言葉に弱い。このハコは出来て10年になるのだと。素人同然で始めたから、ここに至るまでの道のりは平坦ではなかった、と。日本中いろんなハコに行くけれど、これだけ仔細に渡って、ミュージシャンが良い演奏を出来るように気を使ってくれる場所ってものは、ありそうであまりない。それが「heart of Chiba」の本当の意味だと悟るまで時間はかからなかった。どうして早く来なかったんだろう?こんなに近いのにね。
 近いうちにこのハコはミュージシャンで溢れるようになるだろう。何事をやるにも10年はかかるものなのだ。客席の幸福そうな顔を観て、千葉に来て良かったと、心からそう思った。足を運んでくれて、ありがとう。素晴らしいリアクションをありがとう。楽しんでくれたかい?ハコを続けてくれてありがとう。一緒に演奏してくれたユダ君、ありがとう。これで関東ブロックも無事終了です。もはや覚えきれないほどの人に会ったけれど、ツアーってもんはただエネルギーを放射するだけじゃなくて、いろんなところからもらってもいるのです。それらの集積されたもの、フジロックにてバンドでオーディエンスに向かって放射してきます。ありがとう、アゲイン。また会う日までどうかお元気で。

img07070018_1
by 山口 洋  

サムズ・アップ、横浜にて

2007/07/18, 15:02 | 固定リンク

7月18日 水曜日 曇り 

 随分と長い間、横浜で演奏してなかったんだけれど、サムズ・アップは素晴らしい店だった。オーナーの心意気が店員に伝染してるっつーか、みんな音楽好きで悪いヴァイブレーションがまるでなかった。こういう場所を見つけると、救われる。来てくれて、ありがとう。愉しんでくれたかい?小金井も宇都宮も一滴も飲まずに我慢してたからして、オーナー氏や友人達と横浜の夜を満喫した。いい夜だったなぁ。いい街だなぁ、横浜。ありがとう。サムズ・アップ。

img07070017_1img07070017_2
by 山口 洋  

静かな生活

2007/07/17, 22:24 | 固定リンク

7月17日 火曜日 雨 

 午前4時。ようやくおふとんの国に帰還。久しぶりに睡眠をむさぼった。友人にもらったジェシー・ハリスのアルバムを聞きながら、ツアーを振り返ったりする。このひと月、あまりに沢山の人に会ったなぁ、と。たまに面倒くさいけど、やっぱり俺は人が好きなんだなぁ、と。
 ところで、この写真。昨日、東小金井の「海風」で店に貼ってあったものと同じものがうちにもあるんだよね。トイレだけど。何の写真かは秘密だけど、好きなんだ、これ。冷蔵庫にはずっとジョー・ストラマーが貼ってあるよ。ひひ。束の間の静かな生活。

img07070016_1
by 山口 洋  

内陸に吹く海風、東小金井ザ・チャンプルーにて

2007/07/16, 02:04 | 固定リンク

7月16日 月曜日 曇り 

 「land of music」のお礼参りツアーは同時に新しい「Land of music」を見つける旅でもある。これだけの長きに渡って東京に暮らしておきながら、小金井に行ったことさえなかった。そこは中央線沿線にしては、ひどくのどかな場所だった。
 「海風」のマスター。一目会った時から同じ匂いを嗅ぎ取った。64年、長崎生まれの石垣島経由、大阪で途中下車して国立在住。要するに流れてきた人物。ジョー・ストラマーに人生を狂わされたタチ。嗚呼、誰かと似てる。彼には多分、譲れないモノがある。今まで何度も東京で演奏してきたけれど、こんな風に客席がユルんでるのを観たことがない。それはこの店が客が育んできたものなんだろう。ある種の厳しさと共に。パンクと沖縄はその一点で、同居するんだと思う。僕らの世代にとっては。
 いひひ。愉しんでくれたかい?まったく初めての「東京」だったよ、ひとくくりにするのもどうかと思うけど。PAの小林君、素晴らしい演奏をありがとう。勝手だけど、旅づくしの今年の締めくくりはここでやりたい、といつもの俺の直感が申しております。そうなると、いいなぁ。来てくれて、ありがとう。力を尽くしてくれて、ありがとう。この街に立ち寄ったなら、是非、陸深いところにある海風に吹かれてみて下さい。彼等の想いは本当の意味でチャンプルーだから、さ。多謝&再見。

img07070015_1img07070015_2img07070015_3
by 山口 洋  

嵐を往く、宇都宮にて

2007/07/15, 01:22 | 固定リンク

7月15日 日曜日 台風4号直撃 

 過日、悪天候フェチなんて書いたバチがあたったのか、道中は大型の台風、4号の直撃を受けて、大荒れ。目の前で「2回」車が横転するのを見た日にゃ、真面目に行く末を案じたりもした。しかし、俺は何があっても辿り着かねばならないのだった。何故なら音楽人生初めての宇都宮なのだから。
 そんな訳で、嵐の宇都宮を散策するなんてことができるはずもなく、何とか会場入りを果たした。そのbig appleには何かが棲んでいた。19年のハコの歴史が形作ったおそらく先達の念のようなものだろう。だから、演奏に力はまったく必要なかった。こんな嵐の中、足を運んでくれてありがとう。まさにshelter from the stormだったよ。辿り着くのに精一杯で、写真を撮る余裕もなく。宇都宮、すまん。でも、楽しんでくれたかい?

by 山口 洋  

鬱陶しい

2007/07/14, 18:56 | 固定リンク

7月14日 土曜日 雨 

 梅雨らしいと云えば、それまで。鬱陶しい日々が続いています。せっかく洗濯したのにパリっと乾かない。床を裸足で歩くと、湿気がまとわりついてくるし、ギターも手触りがネバネバしてるし。でも、原始人なのでクーラーが嫌い。うぅっ。あのまま北海道に居たかった。先日、世界中のキ印のミュージシャンを招聘している姉K子から「いろんなミュージシャンに会ったけど、あんたが世界一ややこしい」と云われました。なので、俺が世界一ややこしいと思っている(ひひ、すまん)中川敬をマネージしている男に「俺と奴とどっちがややこしいん?」と聞いたら、「そりゃ、ヒロシに決まっとるやろ」と即答されました。撃沈。中川某の新曲のタイトルは「もっと、おっぱい」だと札幌でローディーのアベちゃんが教えてくれました。世界中で「おっぱい」と「金玉」を両方歌にしたのは奴だけだと思います。どんな歌なんだ?聞いてみたい。

 な、訳でツアーの準備をしながら送られてきたCDを聞いています。くるりの新譜は音楽への情熱に溢れていました。まるでメビウスの輪のようにねじれた情熱。全身で前進。素晴らしい。ティム・オブライエンはブルーグラスやアパラチアン・ミュージックのルーツが何処にあるかって事を教えてくれます。タイグ・クックと云う男の歌を初めて聞きました。デクラン・オ・ルークやダミアン・ライス、パディー・ケイシーよりも更にねじれたパーソナリティー。くるりにしてもそうなんだけど、音楽家の実生活における性格なんて、どうでもいいのです。その音楽さえ素晴らしければ。ありがとう。

 と云う訳で、それらの音楽を聞きながら、明日は台風の中、宇都宮に参上します。
 

by 山口 洋  

目が廻るような日々

2007/07/13, 14:31 | 固定リンク

7月13日 金曜日 雨 

 日本をワンブロックづつ廻って、沢山の人に会い、心は異様に元気、身体はかなり飲み過ぎっちゅーアンバランスな状態で都会に戻ります。帰ると、郵便、ファックス、手続き、支払い、エトセトラ。おおよそ文化的とは思えない雑務が待っていて、それらを片付け、ふーっと一息つく間もなく、次の街に旅立つ。そんな日々です。何だかおそろしくでっかい台風が来てるみたいです。誤解を怖れず書けば、子供の頃から俺は悪天候フェチやったとです。なので、それも楽しみにしています。ワン。

by 山口 洋  

land of music

2007/07/12, 18:01 | 固定リンク

7月12日 木曜日 雨 

 音楽業界の人間とは殆ど会わなくなった。それよりも農業や老人介護、エトセトラ。時代の矛盾と向き合って、自らの信念を貫いている人物たちから学ぶことは多い。先日も音楽業界の良心と呼ばれている人物からあり得ない裏切りを受けたが、不思議と怒りは湧いてこなかった。もういい。奴にはいつか天罰が下るだろう。関わっているだけ人生の無駄だ。

 そんな中、ずっと俺をサポートしてくれている人物と、都会に「land of music」を作ることについて話し合った。素敵だと、思う。そして姉と慕っているK子と飲んで、いい時間を過ごした。ありがとう。世の中には素晴らしい人物だって沢山居るのだ。だから、人と関わるのは止められん。最後に立ち寄ったバーで、カウンターで一人で飲んでいた魅力的な女性を発見した。彼女は作家で、なんと苫小牧のツルさんの友達だった。訳もなく嬉しくなったから、二人でツルさんに電話した。午前2時だっつーの。ごめん。

by 山口 洋  

旅の続き

2007/07/11, 23:33 | 固定リンク

7月11日 水曜日 雨 

 「Land of music」のお礼廻りツアー。どこまでも続きます。新しい情報は「News」を参照して下さい。旅慣れてくると、一旦家に戻ってからの雑務の方が面倒に感じられるとです。それにしても東北、北海道。愉しかったなぁ。重ねて、ありがとう。

 次は関東ブロックです。今回は始めから息づかいが聞こえるくらいのハコでやっています。続けているうちに、時々生音で演奏するようになりました。それもまた旅が僕にもたらしてくれたものです。会場によっては売り切れたところもあると聞きました。なので、お早めに。

by 山口 洋  

この惑星の未来、旭川藤女子高校にて

2007/07/09, 19:38 | 固定リンク

7月9日 月曜日 晴れ 

 大学を卒業して以来、学園祭でのライヴを除いて、自らの意思で「学校」と呼ばれる場所に足を踏み入れたことはない。そこは俺にとっては、ほぼ「苦い」思い出しかなく、出来ることなら近づきたくなかったからだ。

 前述の愚弟トミーは旭川の女子校で教員をやっている。奴はとてもhonestで、時として無意味なほど熱く、バカみたいに音楽を愛している。そんな奴が「うちの高校で歌ってくれ」と云う。うーん、学校か、俺が一番足を踏み入れてはいけない場所だ。でも、俺は奴の頭に閃いた直感を信じてみることにした。何故なら、頭は薄くなったけれど、奴の眼差しが昔にも増して、光を放っていたから。

 こうして、全校生徒と先生方、一部の親御さんを体育館に集めて、ライヴが行われることになった。結論から書くなら、彼女たちの持っているエネルギーは無垢かつ、まっすぐで、俺の想像を遥かに超えて強大なものだった。素晴らしかった。疲弊した大人たちが多い中、彼女たちにこの惑星の未来を見せてもらった、願わくば、音楽の持つ力が伝わらんことを。

 放課後、とあるバンドと一緒に演奏した。今まで、何度もプロデュースをやってきたけれど、見た事がないほどの - 恐るべき吸収力だった。10分もすると、見違えるように生き生きと演奏していた。ひゅーっ。音楽ってすげぇ。ありがとう。あらためて教えられたよ。

 学校は大人と子供の2つの世界が交錯する、とても不思議な場所だ。ほんの数時間滞在しただけで、何かが分かるはずもない。でも、確かにこの社会の縮図でもあると思う。村上龍さんがいつか書いていたように、「この国には何もかもがある。けれど希望だけがない」。そんな世の中だけにはなって欲しくない。

 トミー、校長先生、骨を折ってくれたみなさん、そして何よりも未来ある君たち。素晴らしいエネルギーをありがとう。その想いと花束を胸に、俺はまた新しい歌を紡ぎます。また、何処かの空の下でね。多謝&再見。

img07070009_1img07070009_2img07070009_3
by 山口 洋  

愚弟と神が棲む森に行く、美瑛にて

2007/07/08, 18:50 | 固定リンク

7月8日 日曜日 晴れ 

 まだ俺は北海道に居るとです。その理由は明日明らかにします。旭川の愚弟、トミーが何かを企んどるとです。俺も初めての事なので柄にもなくドキドキしとるとです。
 今日はトミーに連れられ、大雪山に行ったとです。白樺の森には神が棲んどったとです。素晴らしいにも程があったとです。

img07070008_1img07070008_2
by 山口 洋  

旭川にて

2007/07/07, 18:49 | 固定リンク

7月7日 土曜日 晴れ 

 危うく釧路に行くとこだったぜぃ。あー危なかった。前もってチケットを買っておいたのに、それは釧路行きのチケットだった。列車を乗り換える前に気付いたから良かったけど、ね。

 人生初めての旭川。会場のアーリータイムスにはここを訪れた沢山のミュージシャンの念のようなものが染み付いていた。だから、余分な力は何も必要なかった。後でマスターに聞いたら、自分の耳で聞いて、好きじゃないミュージシャンはここではやらせないんだそうだ。俺も秘密裏にオーディションを受けてたらしい。CDで。あっはっは。そのこだわりが好き、だな。俺は。オープニングに歌ってくれた若者もいいミュージシャンだったし。

 突然、このハコでリクオとやりたい、と思った。いつもの直感ってやつです。だから、奴に電話した。繋がらなかったけど。多分、それは実現するな。近いうちに。

 旭川、アーリータイムス、land of music。また「音楽の場所」がひとつ増えた。とても嬉しい。必ず、戻ってくるよ。それまでどうかお元気で。北海道シリーズ。遠いところから足を運んでくれて、ありがとう。次は必ず、北見や釧路や行ったことのない街にも行くつもりです。ちゅーか、一週間滞在して、俺、こっちに住みたいとすら思い始めておるとです。

img07070007_1img07070007_2
by 山口 洋  

アイヌ語に「愛」って単語がないこと、苫小牧にて

2007/07/06, 23:38 | 固定リンク

7月6日 金曜日 晴れ 

 もうすぐ午前5時だ。俺は昼前には旭川に向かわなきゃならない。イカれてる、とは思う。

 苫小牧にはツルさんと云うスキンヘッドのとんでもないイカレポンチが居る。最悪な事に、初めて会った時から、俺はこの男が大好きになってしまったのだった。彼の武勇伝が知りたければ、この音楽バカが巣食う愛しきハコに足を運んでくれたまえ。この街にこの場所は欠かざるべきもので、30年の長きに渡って、守り通した譲れないものがある。多分。

 昨夜から彼と俺はずっと一緒に過ごしていた。風呂も入ったし、真面目な話もしたし、アイヌ語について教えてもらったし、何故か客に出すためのサンドイッチを一緒に作り、共に音楽も奏で、終演後にはパスタも作り、何故か皿まで洗った。イカれてる。でも、俺はこの男の目に宿るものが好きだし、彼を慕って集まってくる人間たちに地方都市の奇蹟を観たりもするのだった。さんざん飲んだし、これ以上うまく書く自信ももうない。ひとつだけ云いたいのは、ありがとう。あんた達は最高だよ。アイヌ語に「愛」を意味する言葉がないことは、それを云うまでもないからだって、教えてもらった。そんな人間に俺もなりたい。ありがとう。

img07070006_1img07070006_2img07070006_3
by 山口 洋  

天罰下りき。苫小牧にて。

2007/07/05, 23:23 | 固定リンク

7月5日 木曜日 雨 

 天罰が下る日がやってきた。今回の旅のテーマが若い頃のように、「何も決めずに旅に出る」ってことだったから、そろそろ何かがありそうな気がしてたし、どうもうまく事が運びすぎてたし、何よりも昨日まで一緒に時間を過ごしていた友人夫婦のホスピタリティーは格別のものだったし。

 昼頃に函館を出た。かなり後ろ髪を引かれたけれど、俺は次の街に行かなければならなかった。日が暮れる前に苫小牧に着いた。この街には二泊する予定だったので、マネージャーがホテルに予約を入れてくれていた(ハズ)だった。しかし、どういう訳か、そのホテルには予約が入っていなかった。そして今日と明日はどのホテルも予約が一杯で無理だろう、とフロントの人に云われた。ま、まじすか。43歳宿無しすか?マネージャーに電話して、ネットと旅行代理店を巻き込んで宿探しが始まった。しかし、本当にこの街の宿はどうにもならないくらい満杯なのだった。理由は不明。他の街に行こうにも、俺の荷物は重過ぎるし。アーメン。万策尽きた。

 俺が今夜この街でどう夜をやり過ごすのか、そしてどうやってこのダイアリーを更新したのか?それは秘密にしておこう。明日のライヴで話すから、さ。ひひ。何にせよ、こんな事でメゲないくらいのタフさは若い頃に何度も経験してるし、ない宿はないのだからして、しょうがないのだ。こうなってくると、急にワクワクしてくる自分もどうかとは思うが。何にせよ、明日のライヴの前に「シャワー」を浴びることは無理っぽいので、ヒドい髪型でも許してくれたまえ。おまけに雨が降ってるし。俺は荷物で傘がさせない。でも、おそらくこういう時は滅多にないようなライヴをやらかすだろうからして、観に来てくれたまえ。待ってるよ。

img07070005_1img07070005_2img07070005_3
by 山口 洋  

land of musicを探す旅、函館にて

2007/07/04, 18:56 | 固定リンク

7月4日 水曜日 晴れ 

 7月5日の朝、誰も居なくなった友人の家でこれを書いてる。食卓には俺のために、畑で採れた野菜の朝食と置き手紙がのっていて、ちょっと泣けた。
 友人夫妻は福祉の仕事をしながら、家の近くの畑で有機農法の野菜を作っている。昨日は俺も土まみれになって、素人ながら、その作業を手伝って(足を引っ張って)みた。野菜のことはもちろん、これらの作業がどれだけ骨が折れるかなんてことも、収穫がどれだけ嬉しいかってことも、俺は全く知らないのだった。だから、とても嬉しかった。おまえ、ツアー中に何しとるんじゃと云われても、飲み屋で沈没しているより、はるかに実りのあることだったのだ。このように日々は続き、ある種の人々にとって、音楽は相変わらずかけがえのないものだ。俺はこのツアーでまた沢山のland of musicを見つけている。心からありがとう。

by 山口 洋  

何故に焼き肉屋、函館にて

2007/07/03, 23:54 | 固定リンク

7月3日 火曜日 晴れ 

 ツアーなのに、キャンプ。ツアーなのに朝から温泉。人生は素晴らしい。

 友人夫妻の新婚旅行に「同行」した俺は函館まで運搬してもらい、本日の会場「亀しょう」に出向いた。そこはまぎれもなく10年以上続いている「焼き肉屋」だった。もう一回書くけど、確かに「焼き肉屋」だった。壁には吉田拓郎さんの歌詞が一面に書かれ、ライヴをやってるのに、隣のスペースでは「焼き肉」を喰ってるお客さんが居るという、あまりにシュールな光景なのだった。ぐはは。ここまで来たら、とことんまで楽しむしかない。お世辞にも集客が芳しいとは云えない状況だったが、そんな事どうでもいいのである。俺はミュージシャンとしてベストを尽くすだけなのだ。
 ふむ。確かにここでしかあり得ないいいライヴだったと思う。ここもひとつの「land on music」で、マスタ−もPAエンジニアも完全に音楽にイカれてる素晴らしい人物だった。俺はミュージシャンとして、確かに燃えた。俺も極上の焼き肉も燃えていた。still burning。

 俺は北海道で素晴らしい日々を過ごしている。今夜は「新婚家庭」に同行して、新居でホスピタリティーにまみれて、気絶した。ツアーのホテル暮らしほど、退屈なものはない。みんな、ありがとう。

img07070003_1img07070003_2img07070003_3
by 山口 洋  

ニセコにて

2007/07/02, 23:50 | 固定リンク

7月2日 月曜日 晴れ 

 はてさて。札幌から函館までどうやって移動するのか?友人夫婦が函館から「新婚旅行」を兼ねて、札幌のライヴに来てくれていた。渡りに舟じゃなくて、新婚旅行。そこに同乗する俺もどうよ、と思いながら、共にキャンプしながら、函館に行くことにした。何だか、面白い展開になってきたぞ。このツアー。
 結局のところ、羊蹄山とアンヌプリの麓でキャンプをしつつ、酒を飲むと云う至福の時間。あ、あの。テントは別でしたら、念のため。

ところで。
1. じゃがいもに花が咲くって知ってた?(写真参照)
2. 北海道のこのエリアの肉屋さんには牛肉が売ってないって知ってた?

 日本は広い。愉しい。

img07070002_1img07070002_2img07070002_3
by 山口 洋  

札幌にて

2007/07/01, 23:35 | 固定リンク

7月1日 日曜日 晴れ 

 とりあえず、だ。飛行機に乗った。ミュージシャン生活約20年、今回ほど何も決めずに旅に出るのは初めてだと思う。それも良かろう。なるようにしかならん。とりあえず、俺は往路の飛行機のチケットしか持っていなかった。ははは。近くの座席にかつて一世を風靡したシンガー女史が乗っていたが、お付きの人に両サイドを固められていたので挨拶するタイミングを逸した。
 東北は陸路で移動したので、地図が頭の中に入っている。あ、六ヶ所だとか、下北半島だ、とか分かるのである。そして、飛行機は今回行けなかった本州最北端、大間の上空を超えて北海道に辿り着いた。それにしても、とにかく訳もなく「端っこ」に行きたくなるのは俺の習性なんだろうか?「何とか最南端」とか「最北端」とか。かつてイングランドで「lands end」っちゅー場所があって、名前だけでそこまで行く気になったが、そこには何と遊園地があって、がっくりした記憶がある。

 さて。北海道は同じ国と思えないほど過ごしやすいのだった。空気に湿り気は殆どなし。どえりゃー違いだ。こりゃ、性格の形成にも影響するわな。俺はいつもの素晴らしい会場「くう」でいつもになく静かに歌を歌った。何だか、札幌はそんな空気だったのだ。毎度なから、オーナー夫妻のホスピタリティーと音楽への愛情に胸打たれる。ありがとう。

 結局。「くう」から俺の札幌の止まり木、トマトスのキヨシさんの店に移動して、初日にしては充分過ぎるくらい壊れた。そこにはミュージシャンが沢山居たからだ。感じたことはただひとつ。音楽も人もあまりに素晴らしい。ビバ、札幌。ありがとう。

img07070001_1img07070001_2img07070001_3
by 山口 洋  
- end -