アナウンス

2007/10/31, 01:57 | 固定リンク

10月31日 水曜日 曇り 

 打ち合わせ、ミーティング、想いを伝える、エトセトラ。今日は音楽を伝えるために、その土台を作る。つまり喋って喋って喋り倒す。そんな一日。弁護士、音楽事務所社長、音楽出版社社長、パッケージ・デザイナー、グラフィック・デザイナー、ヴィジュアル・クリエイター、編集者、テイラー、ジュエリーデザイナー、ナレーター、パタンナー、ファッションモデル、ファッションデザイナー、作家、エトセトラ。職種は違えど、想いが通じる人々と語って語って語る一日。でも、俺たちが進んでいる道が歪んではいないことが、あぶり出しのように 目の前に浮かび上がってきた。イエス!「不可能とは自分でそう思うから、そうなんであって、決してそうではない」。それを実感した一日。相変わらず、ハードな日々は続きますが、異様に充実しとるとです。一番嬉しかったのは、この日々の中で、ようやく新しい音楽が自分の頭から湧いてきたこと。旅、そして日々の中から浮かんできたものを逃さないように、明日はどこかでそれを形にする作業に没頭してみたいとです。それは、俺の本分だし。

 話は音楽から逸れるんだけれど。ある光景を観たとです。ツアー中の高速道路のパーキングエリアにて。最近は焼きたての小洒落たパン屋なんてものもあったりするとです。レストランでゆっくり食事をする時間もなかったので、俺は10人ほどの列に並んで、レジで支払いを待っていたとです。観察していると、店員はまずパンひとつひとつを違うビニール袋に入れ、それにテープを貼る。更にそれらをでっかい小洒落たビニール袋に入れる。俺は「ちょっと待て」と思ったとです。おそらく殆どの人はこれを高速道路で走行しなから食するに違いない。おそらくすぐに。そしてビニールは即座にタダのゴミと化す。にも関わらず、この過剰なまでの包装は何なのだろう?と。そのコストは当然価格に上乗せされてるのです。そのサービスはユーザーが望むから行われるとです。レジが俺の番になるまで、少なくとも二人はこれを拒否するだろう、と読みました。しかしながら、結果は否。その事実に愕然としたとです。俺は過激にエコを叫ぶ気はありません。そんなに立派な人間であるはずもなく。ただ、地球温暖化の今、こりゃあり得んやろ、と思ったのです。まだ具体的にアナウンスできる状態にはないけれど、我々も音楽をやる上で、出来ることを考えていきたい、と思っています。何故なら、音楽や誰かを愛することも、パンを喰うことも、何もかも、繋がっていると思うからです。

 「made in Aso」、自分の店(もちろんレコード店に限らず)で売りたいと沢山のオファーを頂いています。ほんとうにありがとう。できるだけ自分で足を運んで、上記のような事(音楽だけに限らす、いろんな事は繋がっていると感じられる場所)を広げていきたいと思っています。ある程度まとまったら、アナウンスするつもりです。引き続きどうぞ、よろしく。

追伸
書き忘れたっす。ベリー近日中に、次なる作品の「映像予告編」がこのサイトにアップされると思います。ストリーミングではなくダウンロードが自由にできるように、と考えています。愉しみにしていて下さい。

by 山口 洋  

ありがとう。

2007/10/29, 22:42 | 固定リンク

10月30日 月曜日 曇り 

 東京に戻りました。このシリーズ、実のところ俺様ツアー史に残るくらいハードな日々ではありました。それもこれも、スタートした時から下がらない熱。途中で、プロとして納得できないステージをやらかしたならば、潔くツアーを中止するつもりでいました。でも、本番と移動以外はホテルで蓑虫のようにじっとし、ステージに上がって、音楽に魂を入れ続けるうちに、ゆっくりと身体は快方に向かっていきました。それもこれも、多くの友人たちの励まし、尽力、そして何よりも足を運んでくれた人々がエネルギーをくれたからです。新しいアルバムを手に家路につく人々を観ていて、本当に報われる想いがしました。心から、ありがとう。

 「made in Aso」の通販サイトでも、全国からびっくりする位沢山の注文があって、嬉しい悲鳴を上げているそうです。スタッフがてんやわんやで発送しているそうです。手許に届くまで、もう少しだけ待っていて下さい。

 ありがとう、アゲイン。今日だけはゆっくり「おふとんの国」に帰還します。

by 山口 洋  

月の庭でルナティックに踊る、三重県亀山市にて

2007/10/28, 22:39 | 固定リンク

10月28日 日曜日 晴れ 

 三重県亀山市までの道中、「名阪国道(だったけ?)」と云う高速道路のようでそうではない、一般国道を走っていた。何か、腹に無理矢理入れておくか、と、とあるパーリングエリアに立ち寄った。今では考えられないことだけれど、そこには演歌が流れていた。食堂では由緒正しいおばさん達が働いていて、「みなさんの安全を心から祈っています。どうぞ、お腹一杯食べて下さい。おかわりは自由です(しないけど)」と記してあった。何だか、いいぞ、ここ。好きだぞ、俺。そこで食したものは正しい「おばちゃんの味」が」した。母を亡くした俺には沁みる味だった。そして、車に戻ろうとしたら、一心不乱にゴミを拾うおじいさんが居た。彼こそが、その食堂の支配人だった。彼は本気だ。嘘じゃない。その光景を観ていて、じんわり目頭が熱くなった。何だよ、居るじゃん、この国にもまだ、こんな人間が。

 亀山だ。オーガニック・レストラン「月の庭」だ。ここの店主マサルとは随分いろんな無茶もしたし、遅れてきた青春を共に謳歌もした。勝手だけれど、自分の家みたいにくつろげる。ハードだったツアーの最終日がここっちゅーだけで、俺は救われたような気分になる。でも、マサルは俺たちが会わなかった間、体調を崩していた。奴はこのライヴの2日後に入院して手術を受けるのだと。俺に出来ることは、魂を込めて音楽をやることだけだ。喉は完全にイカレてはいるが、魂を込めることはできる。美声じゃなくて(もともとそうじゃないけど)申し訳ない。でも、この場所が育んできたものと、気恥ずかしいけど、俺とマサルとその仲間たちとの友情と、素晴らしい食事と、エトセトラ。愉しんでくれたかい?何だか、昼間に続いて、歌っていて俺は目頭が熱くなった。

 マサルと俺はあまりにも無茶な生き方が、互いの身体に相当負荷をかけていたことを反省した。そして、奴が元気になったなら、新しいやり方で面白いことを続けていこうっちゅー話になった。云うまでもなく、ここはLand of music。代替わりした新しいスタッフたちも本当に素晴らしかった。ありがとう。本当に嬉しかったぜ。

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by 山口 洋  

old punk

2007/10/27, 22:29 | 固定リンク

10月27日 土曜日 曇り 

 クソっ、このホテル、ネット通じないぜ。でも、今日感じたことだけは書いておこうと思う。

 足を運んでくれた人には全く関係のないことなのだが、この加古川セシルで、俺が立っていた場所はどうしようもない「音の吹きだまり」だった。リハーサルの時からそれを感じてはいたが、本番で更にそれはヒドくなっていた。もっと詳しく云うと、「位相」が悪くて、音と音が微妙にぶつかり合う場所だった。自分が今、どんな音を出しているのか全く分からなかった。俺も長年やってきたから、どんな場所でもどうにかする自信があった。でも、幸か不幸か、お客さんは満杯で、自分の立ち位置を大幅に変えることは出来なかった。久しぶりに自分の頭の中に「ガツガツ」と音が聞こえてきて、デビュー当時の、いつも何かに怒っている自分が蘇ってきた。こんな事、滅多にない。ましてや、足を運んでくれたお客さんには何の関係もないことなのに。
 とにかく、一部では、自分の引き出しを全てひっくり返してみても、どうにも出来なかった。

 インターバルの間に、狭い楽屋で必死に考えた。俺は来てくれた人に「音楽の力」を持って帰って欲しい。願っているのはただ、それだけだ。セシルの店主、島田が目に涙を浮かべながら、俺に謝るのだった。いや、そうじゃないんだよ。稀に人生にはどうにも出来ないことが起きる。君たちがこのライヴを実現するために、どれだけ努力をしたのか、俺は肌で感じている。たまたま、運が悪く、気候とか、スピーカーの向きとか、お客さんの入りとか、いろんな要素が重なって、こうなっただけなんだ。だから、気持ちを入れ替えた。この場所で、俺が出来るかぎりのことはやってみよう。それがライヴなのだし、加古川に来た意味なのだから。

 相変わらず、音はそのままだった。でも、客席は暖かかったし、俺も出来るかぎりのことはやってみた。最後には「old punk」と云う言葉が頭に浮かんだ。確かに、今日のこの形は俺が望んでいるものじゃなかった。でも、この空間でしかあり得ないものにはなったと思う。俺は世界中のどんな場所でも、どうにかする自信があったが、それもまだまだだってことを教えられた。くしくも、今日は「made in Aso」の発売日だった。多くのお客さんがそれを手にしてくれた。嬉しかった。足を運んでくれた人の8~9割が手にしてくれたんだぜ。報われるよ。本当にありがとう。

 これが人生で、これが音楽なんだと思う。俺の旅もまだまだ、だ。オープニングで歌ってくれた二人と、一緒にやりたかったが、その余裕も俺にはなかった。だから、終演後、密かにやった。島田も、厨房でこつこつカレーを煮込んだ彼も、手伝ってくれたスタッフも、もちろん足を運んでくれた人々も、何もかも素晴らしかった。ありがとう。俺はまた旅を続ける理由が出来た。また、帰ってきてもいいかい?頼まれなくても、来年必ず加古川には借りを返しにきます。ありがとう。心から。多謝&再見。

追伸

 この話には続きがあって、手伝ってくれた人々と酒でも飲んでくれ、とわずかばかりの気持ちを島田に托してきたのだが、翌日、メールが来て、「全員で話し合って、これでモニタースピーカーを買うことにしました」と。泣かせる奴らだ。俺たちは多分ジョー・ストラマーの勝手な弟なのだ。ありがとう、ジョー。

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by 山口 洋  

made in Aso発売

2007/10/26, 17:40 | 固定リンク

10月26日 金曜日 雨 

 出雲のホテルで目が覚めた(強制的に起こされた)時はゾンビ以上、人間以下でした。トホホ。島根県、鳥取県、岡山県を抜けて、兵庫県加古川市に辿り着きました。

 さて。ホテルに初めての俺のソロ・アルバム「made in Aso」が大量に届いていました。どれだけ作品をリリースしても、この瞬間は嬉しいものです。前からアナウンスしていた通り、プレス工場から届いた日が発売日です。つまり今日です。ライヴ会場とネットのみの発売になります。詳細は
http://www.five-d.co.jp/heatwave/disco/071023madeinaso/
を参照して下さい。また、「うちの店で売らせろー」っちゅー音楽に愛と根性のあるレコード屋さんは遠慮なく連絡を下さい。

 前にも書いた通り、この作品、できれば「秋の名残り」があるうちに聞いて欲しいとです。理由はCDプレイヤーに入れた瞬間に分かります。もう北国はちょっと無理があるかもしれないけれど。1曲目でヴォリュームを決めてくれたなら、音の隙間からいろんな風景が見えてくると思います。リスナーの家で僕が歌ってるように楽しんでもらえると思います。

 紙ジャケット、それから阿蘇の四季の写真、約150枚が入ったCD-ROMがついた2枚組です。明日の加古川のライヴではもちろん手にしてもらうことが出来ます。それから、長野、岡山、鳥取、出雲で予約してくれた多くの皆さん、本当にありがとう。できるだけみなさんの手許に早く届くよう、スタッフには伝えておきました。enjoy yourself!

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by 山口 洋  

反戦、島根県出雲市にて。

2007/10/25, 04:15 | 固定リンク

10月25日 木曜日 晴れ 

 午前4時。さんざん飲んだ。正確な文章を書く自信、まるでなし。でも、今日は書き残しておきたいことがあるから、書く。

 まず、山陰にはずっとサポートしてくれている人々が居る。20年に渡って、だ。俺もそうだけど、奴らにだって浮き沈みはある。今回の担当者(この表現はどうだか)はメガネ屋のケンタ。奴と話していると、メガネ業界と音楽業界が抱えている問題はほぼ同じである。で、奴は魂入れて、この入魂の眼鏡を小さな町で売っている。決して安くはない。けれど、この眼鏡は素晴らしい。ごめん、俺も酔っていて、きちんと文章が書けないんだ。要するに、量販店とは違うやり方で、眼鏡職人に直談判して、技術を駆使して、この入魂のメガネを作って売ってるってことだ。それは俺たちの「羽根」の流れとまったく同じだ。一生モノなんだよ、多分。
 そしてケンジ。彼の店で俺は歌った。前から奴はタダ者じゃないと思ってた。奴は(俺の記憶が正しければ、今年)8/6に広島に居た。そして何がしかのメッセージを受け取った。居ても立っても居られなかった。その日のうちに奴は首筋に下記のタトゥーを広島で彫った。信じられん。俺とて、想いは同じだとも。でも、それを多分、一生首筋に彫ることはないと思う。何故に、それを背負って生きていくのか?ああ、面倒臭い。でも、彼は隠しようがないあの文字を背負って、息子の学校での面談にも行くのだ。俺はちょっとばかし、シビれた。奴はソウル・フラワーと一緒にこの街で演奏したいのだ、と。だから、俺は中川敬に電話した。留守電だったけど。そう遠くない未来にそれは実現するだろう。

 バカでも面倒臭くても何でもいい。それぞれまっすぐに生きることだと、俺は思う。ありがとう。もう、俺もこれ以上文章が書けんのだ。また戻ってくるぞ、出雲。その前にソウル・フラワーの出雲公演、実現すると、俺も嬉しい。ありがとう。

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by 山口 洋  

dune

2007/10/24, 19:00 | 固定リンク

10月24日 水曜日 日本晴れ 

 雲ひとつない空。砂丘、らっきょうの花、日本海、エトセトラ。鳥取から島根県出雲に移動。多分、みんなが考えてる倍くらいの距離だよ。でも、砂がね、砂浜がね、育った九州のそれと同じ色だった。それだけで嬉しい。

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by 山口 洋  

知らない日本、鳥取県鳥取市にて

2007/10/23, 23:19 | 固定リンク

10月23日 火曜日 晴れ 

 俺がこのヤクザな稼業に従事していなかったら、一生、鳥取県には来ることなく死んだのかもしれん。ただ、このツアーは出来るだけ多くの街に自らの力で足を運んで、街を感じ、人と出会い、Land of music(音楽の場所)があることを感じたり、伝えたりしたかった。「山陰」と人はひとくくりにするけれど(俺も昨日までそうだった)、俺が知っている山陰と鳥取とはメンタリティーが微妙に異なるのだった。街をひとしきり歩いてみても、店でおばちゃんと会話を交わしてみても、それがどう違うのか、掴みかねていた。
 そんな気持ちのまま、俺はステージに上がった。フロアを埋め尽くしていた約10020人の観客はそれぞれにそれぞれの表情をしていて、余計混乱した。当たり前か。ただ、気持ちを込めていると、次第に開いてくる扉のようなものがあって、ほぼ柔らかな表情に変化していった。多分、これでいいのだ。
 after hoursと云うこのお店、一階は驚くなかれ、「天然温泉」。二階はafter hours、そして三階では少年がユニフォームを着て、トスバッティングに夢中になっていた。謎だ。でも、終演後、オーナーや手伝ってくれた人々と話していて、事情が飲み込めた。オーナーご夫妻はキャリア35年の現役ミュージシャン(大先輩だ)、で、実家が温泉を経営されてた、と。三階で見かけたトスバッティングはオーナーが息子さんとやっていたのだった。マスターのパンチョさんは「パンチョさん」としか呼びようのない愉快かつ豪快な人物で、この店もまた、鳥取の揺るぎない「Land of music」なのだった。想いのある人が続け、それを支える人たちがいる。この相関関係をステージに上がる前に、俺が飲み込めていたなら、、。
 来月、ここには近藤智洋がやって来るらしい。何処かで奴に会ったなら、この相関関係を伝えておこうと思う。奴も同じ、九州人だし、いつもは余計なお世話をしないのだが、どうせなら、それが分かってた方がいいに決まってるし。そんな訳で、近藤君、俺が完璧に把握してるうちに連絡されたし。

 お詫びを。会場にカメラを持っていくとを忘れたとです。なので、写真はありません。すまぬ。それから力を尽くしてくれた人々、本当にありがとう。東京に戻って、誰かが「鳥取に行きたい」と云ったなら、迷わずafter hoursのことを伝えておきます。心からありがとう。

by 山口 洋  

山脈を越えて

2007/10/22, 21:41 | 固定リンク

10月22日 月曜日 晴れ 

 山脈を越えて、鳥取市に辿り着きました。この街でライヴをやるのは初めてです。会えるのを愉しみにしとるよ。

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by 山口 洋  

life goes on、岡山県岡山市にて。

2007/10/21, 23:16 | 固定リンク

10月21日 日曜日 晴れ 

 これだけ長きに渡ってこの稼業を続けていると、応援してくれる人々にも子供が生まれ、ある子供はでっかくなり、そしてある人は亡くなり、エトセトラ。嬉しくも、哀しくも、そんな事の連続なのです。僕は多くても一年に3回しか、その街には行けんとです。だから、その変化が顕著に分かるとです。でも、続けることでしかないのです。そして、続けることが、ある意味ひとつの「才能」だと思い始めた今日この頃です。
 岡山県岡山市。この街にはずっとずっと(14年すよ)応援してくれている人々が居るとです。僕は去る者は追いません。よくもまぁ、やってくれてるなぁ、と今更ながらに思います。そして、彼等の想いを受け取るたび、もっとわがままに生きなきゃ(コピーライトは友部正人さん)と思うとです。そして初めての会場です。マスター、スタッフが多分手作りで立ち上げたこの店。blue blues。ヨカ場所ですたい。確かに楕円の建具はいびつだけど、でも、何か感じるとです。こんな場所を作りたかったんだろうなぁ、と。
 楽しんでくれたかい?確かに今日、この場所でしかあり得ない演奏でした。お店の人の想いとか、サポートし続けてくれる奴らとか、ちびっ子たちとか、云うまでもなく足を運んでくれた人たちとか。音楽とか関係なしに、会場を走り回るちびっ子たちに、俺はこの国の明日を観たとです。きっと、大丈夫さ。ありがとう、岡山。また、会おうね。

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by 山口 洋  

冠雪

2007/10/20, 19:37 | 固定リンク

10月20日 土曜日 晴れ  

 長野ー岡山っちゅーのは多分かなりの距離である。だから、朝早く無理して長野を出た。昨日は雨で何も見えなかったけど、今朝みたいに晴れたなら、それはそれは美しい街なのに。暮らしのすぐ側に自分を見渡す山があるってことは。ありがとう、長野。
 アルプスの頂きにはもう雪が。もうすぐ冬だね。

 それにしても。岡山はとんでもなく遠かった。二日で約1000キロの移動。嗚呼。今日は大人しく寝ます。明日の会場はマネージャーによると、とってもいい場所なんだそうです。是非。

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by 山口 洋  

Life is beautiful、長野県長野市にて。

2007/10/19, 23:40 | 固定リンク

10月19日 金曜日 雨 

 朝起きた瞬間にヤバいと思った。豪快に発熱していた。でもここでメゲてる場合じゃないのだ。初めての長野市なのだ。待ってくれてる人もきっと居る。だから秋なのに、冬みたいに着込んで、薬を飲んで、長野に着く頃にはどうにか微熱に下げた。
 会場に着いた瞬間、嗚呼、彼等は待ってくれてたんだ、と実感した。ならば、とことん今日のベストを尽くすまでの事だ。今、俺がこれを書いているテーブルの上に林檎が一個乗っている。それも彼等がくれたものだ。ラベルに「山口洋」と書かれた酒も乗っている。それも彼等がくれたものだ。ありがとう。
 ところで、neon boysって知ってるかい?テレヴィジョンとヴォイドイズを結成する前のトム・ヴァーラインとリチャード・ヘルがやってたバンドの名前だ。今時、誰にそんな話をしても知る奴は殆ど居ない。後にザ・ルースターズが「neon boy」っちゅーアルバムを出した。だから、今日の小屋(15年の歴史を持つ)はネオン・ホールっちゅー名前で、俺の前に花田裕之さんが呼ばれ、彼と一緒に居た楽屋に何故か「信濃の野菜」が差し入れられ、花田さんに「山口君、行った方がいいちゃ、長野」と云われ、今日、この日を迎えたのだ。アルテックのスピーカーって知ってる?名器なんだ。ネオン・ホールのメインスピーカーは映画館から譲り受けたアルテック。いや、俺も久しぶりに実物を観たよ。

 後半、多分息切れしたけど、俺は長野から確かなエネルギーをもらった。ヘイ!音楽は素晴らしいぜ。いろいろあるけど、Life はたまにbeautifulじゃん。そんな当たり前の事をスタッフやオーディエンスと分かち合った気がする。ありがとう。長野。ありがとう、長野、アゲイン。ブツも届いてないのに、俺のソロ・アルバム「made in Aso」をここで初売りできて嬉しかった。また戻ってきてヨカですか?次は池畑さんの飛沫を聞いて欲しかです。長野のみんなに。ありがとう。グラシアス。多謝&再見。
 

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by 山口 洋  

リレーション

2007/10/17, 23:08 | 固定リンク

10月17日 水曜日 晴れ 

 「Land of music」のドキュメントDVDと平行して、今年のリキッド・ルームでのライヴDVDも制作していた。それは俺たちにとってはひとつの確実な到達点であった日だから。つっても、プロジェクトの中心はライヴで映像を担当してくれた連中で、俺は話を振っただけ。俺は夏になる前に阿蘇でとっとと音源のミックスを終えていた。
 先だって、その編集がほぼ上がってきた。恐れ入った。もちろん彼等の才能を見越した上で、一緒にモノを作っていたのだが、その映像はかつて何処にもなかったレベルのものだった。素晴らしかった。触発されて、これに合うように、もう一度ミックスをやり直したくなった。ツアーとツアーの間。時間はなかった。でも、そうさせるだけの力が映像にあったのだ。だから、やった。肩がバリバリに凝ったけど。嬉しかったし、やって良かった。
 このところ、本当の意味でのリレーションを感じながら、活動できていると思う。大変なこともあるけど、ストレスフリー。それが世の中を少しだけハッピーにしていくのだ、と。「無意味に熱くなりながら」これを書いている。と、ここで、同じく「無意味に熱い男」からメール。熱いなぁ、相変わらず。いつも本当にありがとう。いつか、海風に吹かれながら酒飲みたいんだけどね。一緒に。それさえ叶わぬ我らの日々ってか。

 さ、ツアー再開です。「made in Aso」。長野に間に合いそうにないです。ごめん&残念。せっかく初めて行くってのに。えっと、プレス工場から届いた日が発売日です。それでいいじゃん。このアルバム、前にも書いたけど、ネット通販とライヴ会場、あるいは根性入れてCD売ってる信頼できる一部のレコード屋さんでしか手に入りません。なので、間に合わない会場では、入荷し次第、こちらから郵送するような形で「予約」できるようにしておきます。前にも書いたけど、アゲイン。何とか「秋」の匂いが残っとる間にみんなに聞いて欲しかとです。理由は聞けば分かります。

 これから、年末までかけて、また日本をぐるりと廻ります。近くの街に来たら、足を運んでみて下さい。俺は燃えとるよ。

by 山口 洋  

ミキシング

2007/10/16, 21:57 | 固定リンク

10月16日 火曜日 曇り 

 数日間、ずっと仕事場にこもってミキシング。映像チームの仕事に触発されて、もっと良くなるはずだ、と取り組んでいる。

by 山口 洋  

梯子を外す男

2007/10/15, 23:19 | 固定リンク

10月15日 月曜日 曇り 

 君は梯子を外されたことあるかい?俺はある。結局は俺に人を観る目がなかっただけの話だけど。
 ある男が俺に向かってこう云った。「これは正義のための闘いだ。一緒に5階まで梯子で登ってくれ」。「ふむふむ。確かにそれはヒドい。俺も黙ってはおれないから行くよ」。そうして二人は「違う梯子」を使って別々に5階に登った。で、俺は5階で一人戦闘を開始した。でもボコボコにやられた。到底勝ち目のない闘いだった。ふと気がつくと、奴の気配がしない。奴はとっくに逃げていた。おそらくはネゴシエーションの大金を懐に忍ばせて。おまけに登ってきたはずの梯子が外されていた。仕方がないから、俺は飛び降りるしかなかった。
 俺も人並みには苦労してきたはずだから、こんなゴミみたいな奴には騙されないと思っていた。しかし、俺も脇が甘かった。奴には「騙した」と云う自覚さえないのだ。多分。こうやって人は明日のための教訓を得る。

by 山口 洋  

不可能?

2007/10/13, 23:17 | 固定リンク

10月13日 土曜日 晴れ 

 爆裂気味な日々。気を抜くと風船が「パンっ」と割れて得体の知れない物体になるように、俺もそうなる可能性があるな、っちゅー危惧を抱きつつ、前向きに過ごしています。
 昨日は丸一日休みをもらい、じっとしているよりは「全く関係ないこと」をしたかったので、富士急ハイランドに出かけて、絶叫マシンに乗ったとです。アホか、お前。でも何度乗っても「フジヤマ」は傑作だと思います。単純さゆえ、恐ろしいことこの上なし。恐怖のあまり、途中からずっと笑いっぱなし。終わる頃には「俺、何のトラブル抱えてたんだっけ?」とO型にありがちな発想に至りました。これにてリセット完了。強制的だったけど、かなり効いたっす。

 さて、今日は都内で打ち合わせ三昧。俺が旅をしている間に、映像作品が続々と出来上がってきています。素晴らしいっす。同時に二つの映像作品が進行中なのですが(今月末にはトレイラー「予告編」をお見せできると思うんで、お楽しみに)、関わっている連中すべての見事なまでの才能と情熱に今日は打たれたとです。基本的に俺は何も口出ししません。監督が決まった時点で、それらは監督のものなのです。関わっている人間たちを繋ぐコア(核)な部分。そこさえ、通じ合っていれば、皆が自分の思った方へ思い切り舵を切るべきなのです。広がりが生まれます。不思議な調和が自然に生まれてくるとです。我々は「独立」の本当の意味を学んでいるところです。厳しいけれど、やりがいがあります。人生は一度きり。no regrets。誰も行けなかった場所だから、行くとです。爆裂気味だけど、ストレス・フリー。ハレルヤ。それもこれも皆さんのサポートがあってこそです。本当にありがとう。

 俺の初めてのソロ・アルバム、「Made in Aso」。もうすぐ詳細をアナウンスできると思います。現在、プレス工場に廻っています。発売方法もアナーキーなものになると思いますが、よろしくっす。次の公演地に間に合わせたいけど、難しいかなぁ。とにかく、出来たら、すぐに持っていきます。できたてホヤホヤの奴を。何とか、秋の名残りがあるうちに聞いて欲しかとです。理由?それはプレイヤーにCDをセットして、音が出てきたら、分かってもらえると思います。こんなジャケットっす。モノクロに金っす。楽しんで下さい。

 今日のミーティングのテーマは「それが不可能って誰が云ったん?」っちゅー事でした。多くの場合、云ったのは自分に他ならないのです。俺はスー・チーさんの目を観るたびに、自分なんて「まだまだやね」と思います。ありがとう。

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by 山口 洋  

ファンタジー

2007/10/11, 19:44 | 固定リンク

10月11日 木曜日 曇り 

 都会に戻りました。どうしても、明日一日だけは休んで、アホになりたかったので、走り回っとります。何だか、異常に慌ただしい日々なんだけど、自分の好きな事しかやっていないので、ストレスはゼロです。まわりくどい道を選んだんだろうけど、これで良かったのだ、と実感しとるとです。来年の2月には、本分である曲を書くことに専念できそうです。でも、会場に足を運んでくれた人々の沢山の表情から、サポートしてくれた人々の日々の中から、滞在した多くの街の風景から、消化しきれないほどの何かが、俺の身体の中でフツフツと発酵し始めています。

 いろんな人と話をしたとです。旅の中で。自分の親を介護しながら、働いている人の日々。本当に頭が下がります。それも一人や二人やないとです。大勢居るとですよ、旅をしていると。世襲で屋敷にしか住んだことのない政治家に、彼等の日々がどれだけ過酷なものか、想像つく訳ないないすか?それでも彼等(友人たち)は音楽が好きとです。ないと、生きていけんとです。だから、心に「Land of music」です。
 一方、介護を職業にしている人々にも沢山会いました。彼等の過酷な仕事内容と報酬を聞いて、顎がはずれそうになったとです。今時、マクドナルドのバイトの方がよっぽど身入りがいいです。なのに、何ですか?「介護は儲かる」。そんな発想で、労働者からピンハネして御殿に住む。そんな経営者が許されていいとですか?例えば、介護だけを取っても、とんでもない現実がこの国には横たわっとるとです。
 ファンタジー。本当の意味での。「がんばれ」とかそんな安易なものではなくて、酸いも甘いも踏み越えて、響くだけの本物のファンタジー。それがある種の人にとっては必要だと思うとです。
 
 

by 山口 洋  

無垢にして強力。古都京都は拾得にて。

2007/10/09, 02:29 | 固定リンク

10月9日 火曜日 晴れ 

 ダメだ。身体がクズだ。云うこときかず。でも街は昨日あたりから急にキンモクセイの香りがする。秋だね。温暖化でも確実に秋はやってくる。京都と云えば、ずっとずっと永きに渡って俺たちをサポートしてくれている、ええい、もう実名だ。その名もホシハラ・サユリ。俺はツアーの食事にもはや食傷していた。お願いします。俺はつまらない男なんです。美味しい白いご飯と、味噌汁と、漬け物と、そんなんでいいんです。でも、それを喰うのは流れ者には難しいとです。京都なら絶対に喰えるはずだと。奴なら絶対に分かってくれるはずだと。何せ、人間は喰ったもので出来ているのだから。霜降りの牛肉を喰わなくても何ともないケド、美味しいご飯と味噌汁を喰ってないと、俺は確実に弱る。ザッツ・日本人。お願いします、サユリ姫。
 そこで連れて行ってくれたのが、烏丸丸太町にある「十二段屋」。ご飯と味噌汁と、ダシ巻き卵と、おばんざい一品と、漬け物。それだけで1800円が高いのか、安いのか、それは読者の想像に任せます。でもね、俺は蘇った。本当に美味かった。
 それから俺たちは共通の友人を弔うために、彼の店があった場所に行って、線香を立てて、祈った。それぞれのやり方で。彼は末期ガンに冒されていたが、「来年あたり、ここで歌ってよ」と云ったまま死んでしまった。ずっと、心の何処かに澱のようなものがあった。だから、どうしてもここに来たかった。M君。約束は果たせなかったけど、あんたの云ったことは忘れととらん。

 拾得。ここにはテリーさんと云う、素晴らしいオーナーが居て、35年も元酒蔵であるこの店を守っている。もはや、言葉はなし。俺は彼が大好きだ。流れ者たちと「35年!」もつき合ってきたんだよ。信じられる?でも、ライヴはタフなものだった。楽しんでくれたかな?だと、いいけど。俺のギャグはすべりっぱなし。だから、演奏に魂を込めた。このシリーズは今日で終わり。だから、喉が壊れても、いい。多分。テリーさん。サユリ姫の言葉を借りるなら「無垢にして、強力」。俺はこのツアーで何かを掴んだつもりでいたけれど、まだまだ、途上の道。今日はそれを思い知った。ありがとう。京都。

 沢山の「交通安全お守り」をもらっとるとです。ツアーの間に。神様が混乱するんじゃねーか、っちゅー位に。ありがとう。

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by 山口 洋  

the Hobo Jungle tour

2007/10/08, 19:43 | 固定リンク

10月8日 月曜日 曇り 

 ほぼ涙目で京都に辿り着きました。今日はゆっくり寝て、明日の京都公演で燃え尽きます。このシリーズはかなりハードだな、と最初から分かっていたので、一生懸命ツアー前に喰って、脂肪をつけてましたが、見事に蓄えがなくなりました。でも身体が軽くて、キレキレです。
 さて。12月。旅三昧だった今年の締めとして、リクオと何カ所か一緒に廻ります。「the Hobo Jungle」ツアーです。旭川のアーリータイムと云う小屋で、突然、ここでリクオとやったらいいかも、と、いつも直感がそう云ったので、酔った勢いで、すかさず奴に電話したら、どうせなら、気になるところに全部行こうぜ、っちゅー話になりました。リクオは楽器で会話できる数少ない男です。長い旅路で鍛えられたピアノは、他に類をみない次元に達しています。おそらく、各会場でそれぞれの「音楽の奇蹟」を起こせると思います。是非、観にきて下さい。詳細はスタッフがnewsにアップしてくれると思います。とりあえず、日程とコメントだけでも。

the “HOBO JUNGLE” tour
【出演】山口洋(vo&g.)、リクオ(vo&pf.)

12/8(土)札幌 LIVE&BAR くう
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~sphere/

ここの店の経営方針とピアノは素晴らしいとです。即決。


12/9(日)旭川 アーリータイムズ 0166-22-2461
http://www.early-times.com/

この店のマスターとリクオの話をしているうちに、このツアーが決まりました。
古くて良く鳴るピアノがあるとです。

12/11(火)新潟 Gioia Mia (ジョイア.ミーア)
http://www.niigata-gioiamia.com/
【オープニングアクト】クマガイマコト

この夏、久しぶりに新潟に行ったとです。でも正直なところ、その小屋は好きではなかった
とです。楽屋にクマガイ君と云う男が僕を訪ねてきてくれ、是非、僕の店に来て下さい、と。
彼の店は新潟のLand of musicやったとです。で、シンガーでもある彼がジョイアミ−アを
紹介してくれたとです。当日はクマガイ君も歌ってくれます。

12/12(水)郡山 ラストワルツ 

随分前に「歌の宅配便」で行ったことがあります。中川敬と。よかハコでした。
また帰ってこれて、嬉しかです。

12/14(金)福島県いわき市 clubSONICiwaki 
sonic-iwaki@sonic-project.com
http://www.sonic-project.com/users/sonic-iwaki/sonic-keitai/info.htm

【オープニングアクト】あぶらすまし、サカモトトシユキ、他1組
山口洋、リクオ出演は20:00頃予定

リクオ、オススメの場所です。愉しみにしとります。

12/22(土) 富山県高岡市 カフェ・ポローニア
【オープニングアクト】Marilyn & Chiyorilyn 

もう地元の皆さんには説明不要っすね。ケーキが絶品。田んぼの真ん中にある素晴らしいカフェです。 

12/21(金)金沢 もっきりや  076-231-0096    
 http://www.spacelan.ne.jp/~mokkiriya/

ヒロシ、初登場です。
メロメロポッチも忘れとらんけん、ご安心を。

12/23日(日)東小金井 The Champloo 海風
出演 山口 洋 /リクオ
ゲスト 小川美潮

12/24日(日)東小金井 The Champloo 海風
出演 山口 洋 /リクオ

http://umikaji.parasite.jp/

前回、同輩のオーナーの心意気に感銘を受けたので、再登場です。
初日は小川美潮さんが来てくれます。多分、15年振りに一緒にステージに立ちます。
嬉しい。飲みながら、喰いながら、ゆっくり楽しんでください。

そしてもう一本。これは俺のソロです。

山口洋(HEATWAVE) MILTON AGAIN
 
12/16(日) 宮城県白石市 CAFE MILTON

ここにはポルトガル語を話す「音楽の神様」が棲んでます。
また演奏できて、本当に嬉しいっす。

それから1月には入魂の作品を携えて、いよいよバンドでツアーをするつもりです。
詳細はもう少し待っていて下さい。
多謝&再見。

写真を撮影してくれたのは和田直美さん。場所は渋谷のBYGにて。

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by 山口 洋  

あるべき映画館、広島市横川シネマにて

2007/10/07, 23:05 | 固定リンク

10月7日 日曜日 曇り 

 前日から悪い弟、ボンバー石井と行動を共にしていた。こ奴、アホなのか真面目なのか、20年経っても理解できんのだが、人並みはずれた正体不明の情熱と、好きが高じすぎて、かの「シベ超」に出演したっちゅー謎の経歴を持っている。
 ボンバーが広島イチのダメ男なら、この横川シネマを切り盛りするM君も見事なダメっぷりである。が、しかし、奴らがタダのダメ男じゃないのは、繰り返し書くなら、正体不明の情熱を持っているところにある。
 この映画館、俺が住んでた街にあった「香椎セントラル」っちゅー映画館に酷似していて、裏通りを歩きながら、漏れてくるポルノ映画の音声にどれだけ胸を高鳴らせたことか。古い人間だと云われようが何だろうが、ドームで野球を観る気にはならんし、映画もこんな場所で観たいのだ。

 俺は前日のポレポレで、掴んだ何かがあった。さすがに喉のコンディションは良くなかったが、ギターと共に音楽を表現することが、新たな地平に達した実感がある。歴史を重ねた小屋に、絶妙なPAマンの手腕と共に音楽が伸びてゆく。嗚呼、気持ち良かった。続けていると、稀に褒美がもらえる。ありがとう。

 この映画館で上映されているものは、M君こだわりの作品ばかりである。俺は会えなかったが、売店には由緒正しきおばちゃんも居るらしい。街に根ざす文化。アンテナに引っかかった人は是非、足を運んで欲しい。手伝ってくれた多くの人たち、本当にありがとう。無事、10周年を迎えたら、「横川シネマ祭り」やろうな。

 広島にはもう一軒、「スリムチャンス」っちゅーイカれたクラブがある。広島に行く度、「ヒロシ's night」が催される。それは身も凍るようなDJイベントなのだが、何故か足を運んでしまう。はっきり云って、ライヴの5倍はキツい。怪我もすれば、コップも割れる。ちょっと前、記録係のOが撮影したものを観たのだが、恐ろしい光景だった。最近、「オクノシンヤ night」が朝まで行われ、ボロ布と化した奥野は翌日のライヴに遅刻したらしい。ひひひ。かく云う俺も午前2時以降の記憶が飛んでいる。上半身裸の男達と無数のハグをしたところまでは覚えてるんだけど。

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by 山口 洋  

続・音楽の神様が棲む場所、広島県福山市にて

2007/10/06, 23:05 | 固定リンク

10月6日 土曜日 晴れ 

 この街に21年存在しているポレポレにはつくづく音楽の神様が棲んでると思う。ここに来る度にいろんな事を教えられる。ずっと前、初めて来た時、俺は若過ぎて「ポレポレ」の意味さえ分からず、空廻った(それはそれで気合い入ってたんだけど)。次に来たとき、「ん、何か棲んでるかも」と思った。3回目に藤井一彦と来た時、「こりゃ、何だか、とんでもねぇな」と思い、今日は楽屋代わりのホテルで、「よっしゃー、今日も福山の夜空をノリノリで焦がすぜ」とか思いつつ、ステージに上がったのだけれど、まったくもって、それは俺の「先入観」であって、今日には今日の「ポレポレ」があったのだった。何曲目かで、俺は完全に無理のない状態に入った。ポレポレがこうだ、なんて決めつけていたのは俺で、ポレポレが変われば、俺も変わる。月日や天気や歴史や、もろもろ。いろんなものに引っ張られて、変わっていくのだ。だから、今日の俺と、今日のポレポレを結ぶ何か一点が見つかったら、後は流れに運ばれていけばいいのだ。力技でねじ伏せることはない。今日のステージで何だか、今までとは違う「何か」を見つけた。それは後に大きな財産になると思う。ゆうさん(オーナー)。いつも本当にありがとう。来てくれた人。本当にありがとう。しんどかったけど、旅を続けてて、良かった。明日は明日でしんどいんだろうけど、その種類が変わる気がする。そっか、こういう事なんだ、と。

 今日はね、もうひとつ嬉しいことがあったんだ。この場所に俺を連れてきたのは佐藤千賀子っちゅー、この街に住む女性だ(写真参照)。もう随分と前のこと。いつだった失念したけど、彼女が写真を撮ってるのを知った。その写真、とても好きだった。だから、ポレポレで写真展やんなよ、と何度も云ったのだが、何つったって、根がシャイ。なかなか、事が前に進まない。でも、彼女から連絡が来て、ようやく決心がついた、と。いや、俺も嬉しかったし、彼女が撮影したこの街の風景(尾道だったりもするんだけど)、俺は好きだ。佐藤も俺もまだまだ前に進む余白がたっぷりあるんだな、これが。次も頼むぜ、佐藤。俺は今日、掴んだもの、もう少しでっかくして還ってくるからさ。佐藤千賀子、写真展。明日まで絶賛開催中です。是非。

 おっと。明日は広島の横川シネマでライヴだ。待ってるぜ。

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by 山口 洋  

しまなみ海道を行く

2007/10/05, 18:38 | 固定リンク

10月5日 金曜日 晴れ 

 疲れ過ぎて眠れない。そんな日は無理にあがいても仕方がない。朝早く、松山を出て、海沿いの一般道をゆっくりと進むことにする。4日間、過ごした四国に今治で別れを告げて、「しまなみ海道」を行く。この道、確かにあり得ないし、観たこともない。穏やかな瀬戸内海に浮いた小さな島々を次々と渡る。もう少し元気があったら、道草するんだけど、残念ながら俺には福山で仕事が待っていた。対岸の尾道は小さくて、いい街だ。懐かしい日本の香りがする。
 
 さ、明日からは中国シリーズです。世の中は明日から3連休なんだってね?福山のポレポレには「音楽の神様」が棲んでいます。ん?来れば分かるよ。広島の「横川シネマ」は古き良きあるべき映画館です。じゃ、待ってるよ。

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by 山口 洋  

Monk、文句なし。愛媛県松山市にて。

2007/10/04, 23:06 | 固定リンク

10月4日 木曜日 曇り 

 ういーっす。タラモアデューが全身に廻る。でも書き残しておきたいことがあるので、書きます。前後不覚でも、お許したもれ。

 この24時間、俺の身に起きたことを書きます。でも、これには俺の主観が入ってることをお忘れなく。

 昼。ホテルの掃除のおばさん(多くの場合)がやってくる。俺はホテルの多くの顧客とは違うサイクルで生きているので、そればかりはどうしようもない。俺の仕事は夕方からなのだ。でも大抵、「部屋の掃除どうするんですか?」ちゅー理由で起こされる。今日の担当のお姉さんは多分フィリピン人だった。日本語もあまり通じなかった。だから、英語で話した。でも話してる間に、何だか俺たち、通じ合った。いい時間だった。俺は掃除は必要ないっちゅーことと、タオルだけ換えてっちゅー話をして、またおふとんの国に戻った。
 ところで、このホテルには温泉が付属していた。素晴らしい。それは午後3時から使用可能だった。だから、満喫して、会場に向かった。
 Monkと書いて何と読む?セロニアスだろ、多分。そこは長きに渡って、この街で良質の音楽を提供してきたに違いない。楽器の銘柄を見ただけで、それは分かる。不思議なもので、そこはそんな音がする。無理に頑張っても、ラケンロールな音はしない。郷に入りては郷の音を。最近、俺はそう思う。でも出せなかった。それは俺の不徳の致すところ。まだまだ修行が足りず。長旅の間に充分な引き出しを持っているつもりだったが、まだまだやれることはある。小さな音でもダイナミクスとか、グルーヴとか、出せるだけの可能性がある。それをMonkから教えてもらった。また修行を積んで、帰ってきてヨカですか?あなたたちのホスピタリティーはサイコーでした。ありがとう。

 会場は10024人のオーディエンスが埋め尽くしていた。正直云って、誰も来なかったらどうしよう、と思った。8年前、この街でライヴを観たから、今日来ましたと云うオーディエンスが居た。たった一人だけれど。その時のスタッフSとSも来てくれた。みんなにそれぞれの人生があった。それでいいんだよ、多分。SとSにこうやって会うと、特別な感情がある。なおかつ、8年前、打ち上げの二次会はこの店だったと。うーん。ごめん、全く記憶にない。あの時の客が一人だったとしても、俺は嬉しい。Sは妹みたいで、Sは弟みたいだ。すまんが、こいつら可愛い。来てくれた人、ありがとう。楽しんでくれたかい?

 ホテルに戻る。午前1時。温泉に入る。午後3時に入った温泉と様相はまるで違うものだった。ヒドい状況だった。みんなが、自分が使った椅子を、あるいは洗面器を、元に戻せばいいだけの話だ。でも、本当にヒドかった。地震でも起きたのかよ?明日、朝早く。あのフィリピン人のお姉さんが「仕事」でそれを片付けるのさ。だから、「仕事」なのかもしれん。でもあまりにヒドすぎるだろ?ヒドすぎるだろ?

 俺は哀しくて、嬉しい。人の世はいつもそうなのかもしれん。だから、続けることでしか、ないんだと思う。Monk,文句なし。俺、修行を積んで、また戻ってきてヨカですか?いつの日か、俺、バンドでここに来てヨカですか。しょーもない夢と云うなら、何とでも云ってくれ。でも、たかが、それだけの事が難しいことも、身を持って知っている。でも、ここにある楽器は本物だった。多分、彼等は「本気」と書いて「マジ」だと思う。だから、そんな些細な事が俺を動かすのです。ありがとう、松山。あのフィリピン人のお姉さん、世界の何処かでまた会う気がしてるよ。ありがとう。あんたの笑顔はサイコーだったぜ。松山、また戻ってきます。多謝&再見。

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by 山口 洋  

ボヘミアンの言葉

2007/10/03, 20:17 | 固定リンク

10月3日 水曜日 曇り 

 沢山のトンネルを抜けて、愛媛県松山市に移動しました。本当に久しぶりです。いい街です。旧いものと新しいものが、うまく融合しています。街を見下ろす丘の上に城があります。前回演奏させてもらった松山劇場にも立ち寄ってみました。みんな元気かな?時間があったら、明日、是非ライヴに来て下さい。

 昨夜、それも深夜。友人たちと多分、5食連続のうどんを喰いました。今回のベストうどんだったんだけど、さすがに食い過ぎました。何事も熱中すると、とことん入り込むのが自分の悪い癖だと、今更ながらに悟りました。

 沢山のプロジェクトが同時進行している上に、俺はいつも旅の空の下。なので、移動日は都会とのやり取りに追われます。そんな時に英語でメールを書かねばならないのは閉口します。喋るのはまだしも、書くのは本当に大変です。いつだったか、「英語がエスペラントじゃねぇってことを英語であいつらに伝えたい」と名言を吐いた男が居るのですが、同感です。

 旅の間、一人で飯を喰わねばならない時は本を読んでいます。いくつかの本物のボヘミアンの言葉は、時に飯よりも重要だったりするのです。いわく、記憶が正しければ「山への道を尋ねるものは、頂きには登れない」。まったく。思うに、モラルも生き方も、誰に教えられるものでもないと思うのです。コンパッション - 思いやりを持てば持つほど、孤立するのがこの世の中だとしても、それでも風のように自由に生きる方法は僕はあると思っています。ありがとう。

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by 山口 洋  

land of うどん、香川県高松市にて

2007/10/02, 03:23 | 固定リンク

10月2日 火曜日 晴れ 

 空いた時間を使って、俺の初めてのソロ・アルバム「made in Aso」ジャケットのやり取りをしています。明日には完成するでしょう。デザイナー渡辺圭一、相変わらず素晴らしい仕事です。リリース日、とか、あまりそんな事は考えていません。出来るだけ早く、と。ソロ・ツアーの次のクールに間に合うといいんだけど。遅くとも、今月中には何とか、と考えています。このアルバム、webでの通販とライヴ会場のみの販売になります。それから、阿蘇の四季の風景も楽しんで欲しかったので、撮りためていた写真の中から、四季に分けて、150枚くらいのオリジナルサイズ(でっかいす)の写真が収録されたCDRがついています。2枚組です。受け取った人に好きに楽しんで欲しかったので、敢えてスライドショーにはしていません。楽しんでくれると、嬉しいす。詳細が決まったら、またアナウンスします。何人かの友人に聞いてもらったのですが、「まるであんたが俺の部屋で歌ってるみたいだ、風景と共に」と。嬉しかったっす。

 と、ここで時間軸は、ずれて。ライヴを終えて、さんざ飲んで、宿に戻りました。ローリングストーンズをバカみたいに愛している店主が経営する店、ruff houseはサイコーの店でした。店主は多分、シャイなのです。何だよ、そんなにギター好きなら、自分の店なんだから一緒に演奏しようぜ。でも、そうしないのがきっと彼の流儀なんだと思います。後に知ったことですが、彼の店のi tunesには4万5千曲入っていました。青森のヒロシ(52)危うし。それをまた声高に主張しないのが、この地に住む人々のメンタリティーなのかな、と。この街に来たなら、ただ飲むだけでもいいから、この店に来てみて下さい。サイコーだよ。確かなるLand of musicです。

 えっと、4食続けて、うどんを喰っています。深いです。新参者の俺がどうこう云えるものじゃないです。明日、5食目を喰ったところで、松山に向かいます。すごいです、この食い物。手伝ってくれた人々、本当にありがとう。香川、また帰ってきます。必ず。みんな仕事でも何でもいいけど、この街に来たら、ruff houseに寄ってみてね。奴らの音楽バカっぷりはかなりサイコー。俺はロニー・レインを聞いた時点で、それを確信したっす。ありがとう、高松。また戻ってくるぜ。っつーか、酔ってキーが打てねぇ。

 高松。みんな、気軽に俺に声をかけてくれて構わないんだぜ。来てくれて、本当にありがとう。楽しんでくれたかい?

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by 山口 洋  

讃岐じゃー

2007/10/01, 18:11 | 固定リンク

10月1日 月曜日 曇り 

 陸路で四国に入りました。何度もこの地には来ているけれど、いつも飛行機。自分の足で入るのは、また格別です。マネージャーから来た情報だと、倉敷まで行って、瀬戸大橋から入るのがよろし、と。しかし、ん?と思ったのでした。神戸のすぐ側に明石大橋があるでないか。よって、昨日の神戸のライヴで「どっちが近いん?」と云う俺の問いかけに客席は「圧倒的に明石に軍配」ってことで、今日の行程と相成った訳です。それもまた、このツアーのおもろいところでもあります。
 昨夜も飲み屋で友人に語ったんだけど、自力での陸路移動をしているのには訳があります。その昔、どんと氏と「のぞみ」に乗っていた時、彼は「この乗り物は速過ぎる。人間は単位時間あたりに移動してよい距離ってもんがある」、と。まったく同感で、その地で演奏するには自力でじわじわと近づいて行った方が、いろんな光景が見えてくるのです。さすがにバンドでは経費上の問題があって、そうはいかないけれど、せめてソロツアーでは、その場所で演奏する意味を車窓から感じ取りたいのです。ギターも複数運べるしね。ただ、化石燃料をバカみたいに消費するのは心がかなり痛いんだけれど。

 さて、明石大橋す。知らない道を行くのは興奮します。よくもまぁ、こんなでっかいもの作ったなぁ、とか。淡路島ってこんなにでっかいんだ、とか。緑が豊かだなぁ、とか、鳴門の渦じゃー、とか、瀬戸内の光景って美しいなぁ地中海みたいだなぁ、とか。穏やかな海岸だなぁ、とか。この国にはFUCKなことも沢山あるけど、風景は本当に豊かで美しいのです。これを北海道の友人たちに見せてやりたい、と何度も思ったとです。

 香川県高松す。讃岐す。初めて来ました。これで晴れて、四国も全県制覇です。47都道府県のうち、ライヴをやっていないのはこのツアーで行く鹿児島県と鳥取県を除いて、俺の記憶が正しければ、残すは「福井県」だけになりました。福井県、難攻不落です。話を戻して、と。聞きしにまさるうどん屋の多さにまずは驚きます。歩き回った挙げ句、一軒の店に狙いを定めて食します。松田優作の言葉を借りれば「何じゃーこりゃー」。俺が今まで喰っていたうどんは何だったんだろう?殆ど炭水化物、しかしこの異様なまでの美味さは何なのだ?しかも値段もアンビリーバブル。本屋のおばちゃんもナイスだし、ホテルも信じられないくらい安いし、道往く人々とぶつかっても「すいません」じゃなくて「ごめん」って言葉が返ってくるし。うーん、瀬戸内。明日の期待が膨らみます。本当は夜の高松を満喫したいのですが、昨日喉を痛めたので、大人しくしておきます。四国のみなさん、是非明日、遊びに来て下さい。明日演奏する店の前を通ったら、ギネスの看板が出ていました。やる気倍増って、分かりやすくてすいません。

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by 山口 洋  
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