マイナス5度の世界、北海道旭川市にて

2008/11/30, 18:57 | 固定リンク

11月30日 日曜日 曇り 

 苫小牧まで俺を助けにきてくれた妹みたいなCと一緒に旭川を目指した。苫小牧も充分に寒かったけれど、札幌を過ぎたあたりから、生まれて初めて見るような「白い世界」が広がっていく。あまりに美しかったので、シャーッターを押すのも忘れて見とれていた。
 旭川は北海道の中でも特別に寒い。先だってマイナス20度を記録したばかり。ワンブロック歩いただけで、頭の芯まで痛くなる。もっとも、地元の人に云わせれば、今日の寒さなんて「寒い」とは云わないそうで。先日の八重山では道路で人が寝ていたけれど、この街じゃ一時間で確実に死ぬと思う。
 何度目だろう。ここアーリータイムスには歌があり、酒があり、食事があり、膨大な数のレコードがあり、会話があるっちゅー素晴らしい文化がある。ちなみに歴代の出演者の中で、俺はリクオの次に若いらしい(あり得ない)。今日は高校生たちも来てくれた。この文化を受け継いでいってくれるといいなぁ。
 北国の乾燥にやられて、喉は完全にイカれてしまった。プロとして申し訳ない。だから、インターミッションの間、楽屋で曲順を練り直して、普段はあまり歌わない歌を中心に、心を込めて歌った。寒さゆえ、人の温かさが身に染みて、じーんとしたよ。

 楽屋で着替えて、ハコに戻ったなら、そこには常連さんたちの助力のもと、温かくて、美味なるものが待っている。ミュージシャンは食べ物と会話に癒される。何度でも書くけど、素晴らしい文化だと思う。いつまでも受け継がれて欲しい。俺の想像をはるかに越える冬の間、どうかお元気で。新しいアルバムを作ったら、また戻ってきてもヨカですか?多謝&再見。

追伸
カキンコキンに凍った道。深夜、一人で遠い札幌に戻って行ったC。心からありがとう。

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by 山口 洋  

ツルの光、北海道苫小牧市にて

2008/11/29, 18:30 | 固定リンク

11月29日 土曜日 曇り 

 北海道にやってきた。10日あまりで、八重山から北海道まで移動すると、さすがに目眩がする。この国は本当に広いんだよ。
 苫小牧で30年以上に渡って、カウンターカルチャーを紹介し続けてきた店「アミダ様」には名物オーナー、ツルさんが居る。この人の奇人変人っぷりは是非に実際に会って確認されたし。俺は以前、店までの道のりを電話で尋ねているお客さんに向かって、彼が「fuck you!」と云い放ったのを見たことがある。とにかく、俺は彼が大好きなのだ。だから、無理なスケジュールでもライヴをやらせてもらいに来る。この日はPAが不調だったりしたけれど、俺も随分タフになったから、そんな事で凹んだりはしない。ライヴ中のツルさんの無謀なまでの突っ込みを受けると、ああ、苫小牧にやってきたなぁっちゅー感慨に満たされる。今日に至ってはいきなりステージに乱入されてしまった。あはは。多分、文章じゃ、あの男と店の魅力は伝わらない。もし、苫小牧に足を運ぶことがあったら、ひとつ勇気を出して、あの店の扉を開けてくれ。そこは文化と愛すべきキチガイどものワンダーランドだよ。

 多くの人の尽力と協力があって、今日のライヴは成り立っている。関わってくれたすべての人々に心からお礼を云います。本当にありがとう。これから厳しい冬がやってくるけれど、どうかお元気で。多謝&再見。

追伸
写真は志願してやってきてくれたnamiちゃんが撮ってくれました。ありがとう。

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by 山口 洋  

アナウンス

2008/11/28, 15:54 | 固定リンク

11月28日 金曜日 晴れ 

 気候の激変についていけなかったのか、戻ってきてから体調を崩し、見事なまでにダウンしていました。でも、休養十分、ご心配なく。明日からは厳寒の北海道に向かいます。この3年ほどの間、「on the road,again」と称して、北海道から八重山諸島まで、身体ひとつ、ギター一本で出来る限りの街を廻ってきました。その旅の中で僕にもたらされたもの、あるいは体得したもの、直視せざるを得なかった地方都市の現実と希望、エトセトラ。それらすべてが身体の中で発酵し始めているのを感じています。新しい曲の中にはそれらがぎゅうぎゅうに閉じ込められているはずです。それらを抱えて、来年は外国に飛んで、形にしようか、とアイデアを温めているところです。

 北海道の旅を終えたら、宮城県白石市のカフェミルトンで2days。それからリクオと二人で九州各地を廻ります。熊本公演では我が師匠、野田敏が参戦します。彼の復帰第一戦をどうぞお見逃しなく。そして、12/26。今年の集大成として、一夜限りのバンドのライヴを渋谷のduoにて。そこまで根性入れて、走り抜けます。来年初頭から制作活動に専念しようと思っています。数本を除いて、しばらくライヴはありません。苫小牧、札幌、旭川、白石、長崎、佐賀、小倉、熊本、福岡、そして渋谷。近くの街に来たなら、迷わず足を運んでください。

by 山口 洋  

ありがとう東北

2008/11/25, 22:37 | 固定リンク

11月25日 火曜日 雪 

 地元の連中が云う通り、カキンコキンに凍った道は怖かった。昼間は路面が黒いので、何処が凍っているのか素人の俺には判断できないのだった。彼らは本当に厳しい場所で生きている。でもそれがゆえのあたたかさを心にもっている。シャイネスとともに。この4日間、彼らに連れていかれて食したものは、どれもこれも素晴らしく美味かった。また来月、白石に戻ってくるかんね。つーか、次の公演地、北海道は-20度だって。こ、怖いよー。

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by 山口 洋  

山形にて

2008/11/24, 22:26 | 固定リンク

11月24日 月曜日 雪 

 山形の新しいハコで歌った。会場入りした時、そのPAを見て、目が点になったが、でも何の問題もないどころか、いい音だった。つまり、オーナーの音楽に対する愛がそれをいい音にしているのだった。山形のミュージシャンたちはそれぞれに彼らしか歌えない歌を奏でていて、それが嬉しかった。たくさんの人に支えられて、このツアーは続いている。いつも、この言葉しか浮かんでこないけれど、本当にありがとう。夜、降り始めた雪は深夜、この街を白く塗り替えた。寒かったけれど、悪くなかった。

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by 山口 洋  

寒いから、あったかい。秋田市にて。

2008/11/23, 01:29 | 固定リンク

11月23日 日曜日 曇り 

 開演前ホテルでくつろいでいたら、同じく東北を流れている花田裕之さんから電話をもらった。「身体、気をつけてね」。短い電話だったけど、とても嬉しかった。秋田は7年振り。ずっと前に種を蒔いてくれた人々が居たのに、来ることが出来なかった。だから、今回は自分で志願してやってきた。その7年前の主催者たち(みんな女性)はお母さんになっていたりして、とても嬉しかった。多分、苦労もしただろうけど、俺には到底たどり着けない表情をしていた。俺の以前のマネージャーは地元秋田で名酒を作っている。奴は音楽業界に居る時より、ずっといい顔になっていた。名酒、白瀑。うまい酒なんで、どうぞよろしく。苦労は人を育てる。そして今日のハコのオーナーは小坂忠さんのバンドのドラマーだった人だ。秋田。寒いから、あったかい。青森人、アキラがオープニングで歌ってくれた。奴の歌には北国に暮らす「ちんけな男(褒めてますから)」の風景、切なさ、そして憧憬がある。それは素晴らしいことだよ、と奴に伝えた。
 俺?曲が進むたびに、客席がいい表情に変わっていく。ライヴを終えて、楽器をアキラ号に積み込んでいたら、隣の店のポン引き氏が「明日はどこの街?寒いから気をつけてね」。何だか、ぐっと来たよ。秋田の友人達が連れていってくれた飲み屋が素晴らしくてね、漬け物とか、とんぶりとか、ハタハタとか。俺はこの国が抱えている現状とか、変わらない想いとか、音楽の持つ力とか、いろんな事を感じた。それは次のアルバムに込める。来て良かった。ありがとう、秋田。多謝&再見。

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by 山口 洋  

怪傑アキラと江戸中、秋田市にて。

2008/11/22, 14:49 | 固定リンク

11月22日 土曜日 雨 

 秋田道はチェーン規制になった。以前、東北を舐めてかかって、ヒドい目に遭った俺に、東北人が追い打ちをかける。いわく、「どんなに運転が上手くても、雪道だけは無理です」とか、「アイスバーンではチェーンは何の意味もありません」とか、いろいろ。そこに怪傑青森人アキラ。「ヤマグチさんを待ってる人が居る以上、東北人として、僕が責任持って送り届けます」。アキラは青森から7時間かけて、4wdを駆使して、仙台近郊に居る俺を迎えにきてくれた。俺とて、運転には自信がある。でも雪道はまったくの素人だ。北海道のタクシーの運転手さんみたいな、ドリフトする距離まで考慮した上での運転などできるはずもなく。よし、その厚意の上に乗っかろうではないか。かくして、 アキラとヒロシ。男二人の旅が始まる。
 アキラのおかげで無事秋田に着いて、今夜の飲み屋を探した。その店「江戸中」は凛とした佇まいで秋田の街に立っていた。創業70年、老舗のおでん屋さん。ボロボロになるまで使い込まれたヤカンや漆塗りのカウンター。リーズナブルなそのプライス。付け足して70年守り続けた、その秘伝のタレ。俺が求める究極の飲み屋の姿がそこにはあった。俺とアキラ、かなりカンドー。秋田に行かれたら、是非行かれたし。「江戸中」。

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by 山口 洋  

寒いにも程があるぜ、仙台。

2008/11/21, 00:07 | 固定リンク

11月21日 金曜日 雨 

 東北道の紅葉は長野のそれとはまた違っていて、壮絶に美しかった。どう違ってるかって、紅葉の深さのベクトルが違う気がする。気候って、絶対に精神構造に影響を与えるよな、とか。キューバに社会主義が残ってるのは温暖な気候ゆえだよな、とか。

 八重山から帰ったばかりの俺に仙台の初冬はこたえた。温度としては大したことがなくても、環境の激変について行けなかった。でも今日にしかあり得ない感情が胸の中には確かにあった。楽しんでくれたかい?これも旅の醍醐味のひとつだよな、と。ありがとう。仙台。また会おうね。
 

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by 山口 洋  

曲を書く

2008/11/19, 16:40 | 固定リンク

11月19日 水曜日 寒風 

 関東寒っ。八重山をぐるぐる移動しながら、一年中泡盛を飲んで暮らしたら、どんな俺になるのか夢想してはみたが、結局巨大な鉄の塊に乗っかって、ワープするしかなかった。空しい。これから俺は冬の東北と北海道に乗り込むことになっている。ままよ。なるようにしかならん。今年が終わるまで俺は走り続ける。哀しみなら溢れるほどあるが、昔の自分ほどひ弱でもない。
 

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by 山口 洋  

南の島の光と影

2008/11/18, 00:46 | 固定リンク

11月16~18日 

 俺は「asylum2008」の出演を終えて、石垣島に行った。今年、俺に与えられたわずか3日間の「休日」だったから、「仕事」ではなく、何の迷いもなく、八重山に飛んだ。静かに道を叩く雨の音を聴いて、刻々と色を変える空と海を眺めて、島に暮らす友人達と裏返るくらい飲んで、またしても名酒「白百合」に脳味噌を破壊されて、コンピュータも写真もシカトして時間を過ごした。沖縄にも石垣にも光と影がある。それはある意味に於いて、切なさを伴っているのだけれど。それでも、このエリアには素晴らしい文化や人々がずっと営んできた「暮らし」がある。沖縄で一緒に演奏した新良幸人君があまりにナイスな人物だったので、あのような人物を育んだ白保という小さな集落に行って、自分の目と足で、取材をしたりもした。とあるおばぁが語った言葉はそのまま俺の人生哲学にあてはまるものだった。あのアホな総理大臣に聞かせてやりたい。与えてくれた光と影は、また俺の新しい音楽に取り込まれることだろう。古くからの友人達、新しく出会った友人達、あのイベントに関わった連中、しばし仲違いしていた友人達。本当にありがとう。心から愛と敬意を込めて。多謝&再見。

by 山口 洋  

再び処置なし、那覇にて。

2008/11/15, 00:16 | 固定リンク

11月15日 土曜日 晴れ 

 「asylum2008」、那覇市の桜坂劇場にて、アゲイン。素晴らしすぎて、言葉なし。こんなに笑ったのは久しぶりだ。連夜の飲み過ぎで、処置なし、アゲイン。午前6時、俺は公設市場の机の上で、雨がアーケードを叩く音を聴いていた。関わってくれたすべての人に感謝を。  

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by 山口 洋  

処置なし、那覇にて。

2008/11/14, 00:15 | 固定リンク

11月14日 金曜日 晴れ 

 「asylum2008」、沖縄県那覇市の桜坂劇場にて。素晴らしいイベント。俺は楽しみすぎて、飲み過ぎて、処置なし。
 

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by 山口 洋  

アナログ盤のすすめ

2008/11/12, 14:23 | 固定リンク

11月12日 水曜日 曇り 

 何を今更と云われても、自分が暮らすスペースで、アナログ盤を聴くことができる環境を整えてからと云うもの、豊かな時間を過ごしています。まず、旅をしていて、それぞれの街でレコードを探している時間が愉しい。今時、レコード屋なんて酔狂な職業をやっている輩には「こだわり」があって、豊富な商品知識を持っている。その会話がまず愉しい。掘り出しものを見つけたら、思いがけず嬉しい。家に帰って、針を落として、曲が飛ばせないのがいい。稀に忍耐を強いられるけれど。ミュージシャンがそのアルバムで表現したかったことが、CDとは違う形で伝わってくる。そして、音が耳に優しい。適度に盤や針のゴミを取ってやらなきゃならないのも愉しい。時間が来たらひっくり返すのも愉しい。要するに音楽に能動的に関わってんのが愉しいってことです。
 我が家のテレビをたまに観ると画面に「アナログ」っちゅー文字が映し出されます。しかも14型なので、画面が小さすぎて映画なんて観る気にもなりません。うーん、こりゃ買い替えるか、と先日電気屋に行ったのですが、あまりの高性能、高画質っぷりに映っていたタレントの毛穴まで見えそうで、俺の日々には必要ないわい、と買わずに帰ってきました。でもね、芳醇な音楽を聴いていると、スピーカーの間に風景が見えます。それは、自分の心象風景と微妙にリンクしていて、そこからインスパイアされることも多いとです。便利になって失われること、そこには気をつけていたいです。今日は近所の店で昨日買ってきたアル・クーパーのアルバム(700円)を聴きながら、これを書いています。充分にリラックスしたら、自分の音楽に向かいます。

by 山口 洋  

失うことの幸福

2008/11/11, 18:30 | 固定リンク

11月11日 火曜日 曇り 

 ある人が「失うことの幸福」について語っていた。明確に言語化されて、はたと思い当たった。最近、自分を楽にさせたこの感情は何なのだろう?家族であれ、モノであれ、金であれ、ペットであれ、何であれ。堪え難い喪失感の先には「失うことの幸福」がある。物質や存在が目の前から消えてなくなることは、即ち「喪失」ではない。所有できないことを知ることによって、所有できる感情(幸福)が人間にはあると思うのだ。

by 山口 洋  

2008/11/10, 21:09 | 固定リンク

11月10日 月曜日 曇り 

 枯渇していた「はず」の俺の泉から、ようやくいろんなものが湧いてくるのを感じている。とても嬉しいのだけれど、それぞれが何の脈略もなくて、未だに形になって結実しない。「冬の朝、レッドロビンの生け垣」って、それ何?みたいな。たぶん、どこかで刷り込まれた言葉やメロディーが俺のフィルターや経験を通して、新しい形になって出てくるんだろうけど。山に降り注いだ雨が、ミネラルを含んで、泉となって湧き出て、やがて海の生物を養うように、そのように豊かであれば嬉しいんだけれど。
 何にせよ、この数年に渡る股旅の中から掴んだもの。それらがいよいよ飽和して、溢れて来たんだっちゅー実感がある。最近ありがちだった内側に向かうエネルギーではまったくなくなっていて、ひかりとなって外に溢れたがっているのが、とても嬉しいのだ。本格的な冬を前にして、俺の心の冬はようやく終わりそうな気がしている。

by 山口 洋  

good music

2008/11/09, 15:48 | 固定リンク

11月9日 日曜日 冷たい雨 

 休日です。幸福です。裏返るくらい「おふとんの国」に居ました。満足するまで、寝て、テレビをつけたら「相撲」が始まっていました。九州人にとって、お相撲さんが街を闊歩するようになると、それは本格的な冬の訪れを意味します。
 頭からいろんな雑務を追い出して、長野で買ってきたアナログ盤を聴いています。売る人に愛があると、聴く側も何だか、「ながら聴き」ができないものです。

 このツアーは肉体的には過酷なものでしたが、ひとつの確信を僕にもたらしてくれました。実際の季節とは逆行するけれど、長かった冬を抜けて、何かが確実に芽吹き始めています。年末の一回きりのバンドでのライヴに向けて、それを形にしていくつもりです。これから廻る地方都市でのソロ・ツアーはもちろん、12/26、是非足を運んでください。life goes on!

by 山口 洋  

信州午前6時

2008/11/08, 17:13 | 固定リンク

11月8日 土曜日 氷雨

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by 山口 洋  

あたたかい夜、長野にて。

2008/11/07, 02:04 | 固定リンク

11月7日 金曜日 木枯らし 

 長野の街に木枯らしが吹いていた。もう冬だね。この街の人々は一般的に云って、とてもシャイだと。でも、その理由も何となく分かる気がするし、それでいいじゃん、とも思う。昨夜は友人T君にすっかりもてなしてもらって、調子こいて飲み過ぎた。肌寒い夜に焼酎のお湯割りは最高だもんね。長野は今日「コタツ開き」なんだって。コタツに練炭を入れる日。俺は一度それに入ると、二度と出てこなくて堕落してしまうので、自分じゃ持っていないけれど、憧れるよなぁ、その風景。
 これまた寒い新潟の街からクマガイ某がやってきたので、一緒に演奏することにした。ネオンホールは前にも増して、いい音になっていた。今や失われし、ヒューマンタッチのあたたかい音。ここのスピーカーは古いアルテックなんだよ。T君夫妻とその仲間たち、そしてオーディエンスのおかげで、俺にしてはあたたかいライヴになったと思う。それはこの街と君たちが俺にもたらしてくれたものだよ。心からありがとう。昨日のレコード屋さんが来てくれたのも、嬉しかったなぁ。打ち上げには、T君の母上と、仲間達が美味しいものを作ってくれた。染みたよ。
 どうか、元気に寒い冬を乗り越えてください。あたたかくなったら、また会おう。それまでどうかお元気で。多謝&再見。

追伸
 筑紫哲也さん、あなたは僕らにとって指針というか、父親のような方でした。心より感謝します。ありがとうございました。R.I.P。

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by 山口 洋  

長野への道

2008/11/06, 17:53 | 固定リンク

11月6日 木曜日 晴れ 

 日本全国津々浦々。無味乾燥極まりないのが高速道路。
 けれど、この時期の長野に至る道のりは本当に美しい。長い冬の試練に耐えるために、神様が信州の人々に褒美を与えたとしか思えない色彩。右に紅葉、左には頂きに雪をかむった山脈が見える。最高だ。美しい。身体は疲れていたが、その風景に心洗われた。川面に映る山脈の紅葉。できれば、こんなに急いで移動したくない。芭蕉があれだけの句を詠めたのは、歩いていたからだと思う。とかく現代人は急ぎすぎだよ。
 最近、長野にはちょくちょく来ていたのに、俺は善光寺にすら行ったことがなかった。ぷらぷらと歩いているうちに、何だか元気になってきた。町中から山脈が見えるってのは、何でこんなに落ち着くんだろうね。ところで、いい感じのレコード屋を見つけたから入ってみた。最近、家じゃアナログ盤を聴くことが多いから。店主がね、「失われしレコード屋の親父さん」でね。しばらく音楽談義に花を咲かせた。幸福だったなぁ。レコード屋に必要なのは、音楽への愛情と「商品知識」。「この人知ってますか?」と嬉々として語る彼の顔を見てたら、幸福な気分になった。いつまでも残って欲しいよ、こんな店。

 じゃ、明日はネオンホールで。

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by 山口 洋  

この惑星の未来、名古屋にて。

2008/11/05, 02:01 | 固定リンク

11月5日 水曜日 晴れ 

 名古屋にたどり着いて、オバマ氏当選の一報を聞く。素晴らしい。
 ずっと前から写真を撮るのが好きだったけれど、人にカメラを向けることが出来なかった。多分、怖かったんだと思う。けれど、この頃、landscapeと同じように、人の顔には全てが刻まれているから、撮りたくて仕方がなくて、新しいレンズを買った。この子の名前は「希(のぞみ)」。名前が示すように、そのような未来が訪れることを祈るし、我々大人にはそのような世界を創る責任がある、と無垢な顔を見ながら思う。
 できたての新しい歌を歌ってみた。ぜんぜん歌えねーじゃん、お前と、自分で突っ込みながらも、同時に可能性も見いだした。ありがとう、名古屋。また来ます。多謝&再見。

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by 山口 洋  

Run for MASARU!

2008/11/04, 21:10 | 固定リンク

11月4日 火曜日 晴れ 

 岡山を朝早く出て、三重県鈴鹿市の病院に我が友、マサルを訪ねた。薬で痛みを取ってボーっとしている事よりも、痛みがあったとしても、生きていることを実感する事を選んだ奴の目はとても澄んでいた。
 プライベートな事を書くのはどうか、と躊躇したが、あまりに素晴らしい光景だったので。
 NYシティーマラソンを素晴らしいタイムで完走した友部正人さんのゼッケンに「Run for MASARU」と書かれていた。マサル、その写真を観て、号泣。しかも秒殺。俺まで泣くのはどうかと思ったんで、笑ってごまかしたけど、ヤバかった。グっと来た。でも、マサル、それってあんたの人徳だよ。俺も残りのツアー、全力を尽くすぜ。ありがとう。

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by 山口 洋  

命とblue bluesと、岡山市にて

2008/11/03, 00:46 | 固定リンク

11月3日 月曜日 曇り 
 
 何はともあれ。トークショーを挟んでの4連ちゃんは堪えた。4日連続ってのはこのトシには限界なのかもしれん。
 前日、山口のゆかりの場所を訪れて、何とか岡山にたどり着いて、ぶっ倒れた。主催者も俺を放っておいてくれたので、時間が許す限り寝た。
 友達の子供たちが、会う度に大きくなっていく。それって当たり前の事なんだろうけど、子供の居ない俺にとってはドギマギする場面でもある。俺ってこんなに成長したっけ?応えはまぎれもなく「否」だね。レンズを向けると、彼らはいろんな表情をする。イノセントでいて、なおかつ残酷でもある。でも、それも含めて、何も悪くない。やっぱり新しい曲のタイトルは「life goes on」でいいのだ、とこの街で思った。ありがとう。

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by 山口 洋  

moonbeamとdirty old man、山口市、月光荘にて。

2008/11/01, 01:52 | 固定リンク

11月1日 土曜日 曇り 

 そもそも、ここでライヴをやることになったのは。俺の記憶が正しければの話だが。
 去年の末に、三重県が誇るかの「月の庭」でライヴをやった。そこの店主マサルは良く「人を拾って」くるのだが、その帰り道に俺が「拾った(失礼)」のが今日の「月光荘」の主人、T君だった。彼はいかに「月の庭」の理念が素晴らしいかっちゅーことを俺に語った後、「僕の店にも来てください」とのたもうた。聞いて、びっくり。彼の店は、26年前に死んだ俺の親父の最後の職場である「山口大学」の目と鼻の先にあったのだった。
 この店は「月の庭」の流れを受け継いでいて、オーガニックな料理を魂込めて作っている。実際、俺も食べさせてもらったが、どれも素材の味が生きていて、心がこもっていて、素晴らしく美味かった。
 「繋がる」って言葉を簡単に使うべきではないとは思うが、いろんな想いが必然として繋がっていた。客席には俺の親父も居た。そして確かに繋がってはいるが、店主T君も、俺も、そこでバイトをしている山口大学の学生諸君も、おそらくオーディエンスも、どこかに辿り着いた実感はないのだと思う。だから、訳もなくまた明日の道をすり減らす。それがいいのだ、と帰りしな、夜空を見上げながら思った。ありがとう。想いは受け取ったよ。また来ます。それまで、どうか元気で。多謝&再見。

 追伸
近隣の皆さん。是非、月光荘を訪れたし。美味しいものは心も元気にするよ。

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by 山口 洋  
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