sweetheart like you

2009/04/29, 14:54 | 固定リンク

4月29日 水曜日 晴れ 

 目覚めたとき、カーテンから漏れてくる朝の光が、これから始まる一日を祝福してくれてるようだった。こんな風に感じたのは、久しぶりだった。だから、体調は万全だとは云い難いけど、無理してでも起きようと思った。すべての窓を開けて、空気を入れ替える。頭の中にはディランの「infidels」の一節が鳴っていたから、それをCDプレイヤーにセットした。「What's a sweetheart like you doin' in a dump like this?」、スライ&ロビーのリズムセクションに乗っかって、流れるように紡がれる言葉と、前述の言葉の後に胸をわしづかみにされるマーク・ノップラーのギター。確か、このアルバムが出たのは、僕が大学2年の時だった。普段、ギターのフレーズをコピーなんてしないのだけれど、この曲だけは自分のものになるまで、何度も弾いた。それはやがて永い時間をかけて、自分の血や肉になり、ステージに立っていると、このフレーズの一部が勝手にポロポロと出てくる。あれから26年経っても、この曲は違う形で、僕に何かを語りかけてくる。「あなたのような素敵な人が、こんなところで何をしている?」。
 洗濯をして、掃除をして、雑務を片付けた。ヒドかった日々や、汚れていた家や、自分が息を吹き返していくようだった。たまには自分のために「餌」じゃないものを喰おう。庭先で中学生に声をかけられた。「コンビニはどこですか?」。丁寧に教えたら、戻ってきた彼らに「ありがとうございました」と云われた。些細なことでも、一日が少しだけ明るくなる。僕はその時、花をずっと見つめていたのだ。名前も知らないし、植えた覚えもないけれど、勝手に咲いてきた花。無言でいて、可憐で、「強ぇーなぁ」と訳もなく感動していた。中学生に優しく接することができたのは、この花のおかげだ。多分。
 新しいアルバムにたくさんの感想が寄せられている。「本当に一本のライヴを観ているようだ」とか「音がいい」とか。そんな言葉を聞くと、作って良かったと心から思う。喜怒哀楽は簡単にシェアできるものじゃない。けれど、決して過度に依存しあわない関係の中で、それは出来るんじゃないか、と揺れる花を見ながら思ってみる。今日は太陽を浴びていよう。

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by 山口 洋  

days

2009/04/28, 23:18 | 固定リンク

4月28日 火曜日 晴れ 

 新しいアルバムに感想を寄せてくれて、ありがとう。とても嬉しいです。引き続き、きかせてください。
 僕はARABAKIが終わってからと云うもの、完全にダウン。咳と熱が止まらず、「俺って豚インフルエンザ?」と思いましたが、メキシコには行ってないし、無茶がたたっただけで、ようやく今日あたり人間以下のところまで戻ってきました。ツアー再開までにはちゃんと治しておくので、どうぞご心配なく。
 渡辺圭一の「タマケン2009期間限定ブログ」も好評のようで、嬉しいっす。奴の前では肖像権も何もないので、気が抜けません。同じバンドにこれだけパーソナリティーが違う人間が居るってのが、ウチのバンドの強みでもあります。な、訳で、5/9の僕の福岡のライヴには「二人HW」として、渡辺圭一参戦決定です(ヒヒ、書いたら、もう逃げられんぞ、圭一)。それから5/8の熊本公演は師匠、野田敏、再び参戦です。チケットは残り僅かだそうなので、観たい人は急いでください。師匠、野田敏。遂に新曲を書き上げ、それを熊本のストリートで歌って、磨いているそうです。天晴、52歳。

追伸
 ソウル・フラワーの奥野がやっているラジオに出演してきました。FM愛知にて5/9on airだそうです。来月は名古屋も行くので、オヤジ2人のボヤキ、是非どうぞ。

by 山口 洋  

ARABAKIにて

2009/04/25, 19:14 | 固定リンク

4月25日 土曜日 雨 

 ステージでも云ったけれど、毎年呼んでくれて、ありがとう。バックヤードでミュージシャンの友人たちと一年ぶりに「ここで」再会するのも、嬉しいものです。主催者の「東北に根付くように」、との想い、ひしひしと毎年伝わってきます。そして何よりも、あの寒空の下、ずっと待っていてくれたオーディエンス、本当にありがとう。

by 山口 洋  

一日限りのリハーサル

2009/04/24, 20:21 | 固定リンク

4月24日 金曜日 雨 

 4月だというのに、今年初めてのバンドのリハーサル。演奏してんのか、笑ってんのか。やっぱりバンドは愉しいっす。ぐひひ。明日、みなさんに会えるのを愉しみにしてます。会場、むっちゃ寒いので気をつけて。
 昨年、好評を博した渡辺圭一の期間限定ブログ「たまには喧嘩に負けてこい」が、急遽、トリオツアー終了まで復活することになりました。通称「タマケン2009」どうぞ、よろしく。

http://d.hatena.ne.jp/tamaken2009

 スタジオでは、クサナギ君への同情の声多数。「あんなんで、容疑者と呼ばれるなら、このバンド全員死刑やろ」。確かに。クサナギ君、がんばっ。

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by 山口 洋  

Long way for nothing

2009/04/23, 16:27 | 固定リンク

4月23日 木曜日 雲り 

 身の回りで、いろんな事が起きている。ひとつやふたつならまだしも、同時多発的に起きている。何だか、抗いようのない巨大な力が働いているとしか思えない。しばらく時間が経てば、「なーんだ、そんなことだったのか」と笑える日が来るのかもしれないが、当事者たちは、深く傷つき、悩み、苦しんでいる。乗り越えられない試練は与えられない。そんな事、頭じゃ分かってはいるし、何てこの世は不条理なんだ、と嘆いたところで、何も解決しない。自分が頑張っても、いや、頑張れば頑張るほど、どうしようもなくなることってのがこの世にはある。テレビをつければ、母想いのタレントが介護に疲れ果て、父の墓前で自らの命を絶ったのだ、と。彼女をそこまで追い込んだものは何だったのだろう?人気者が公園で泥酔して、裸でわめき散らしていた、と。そりゃ、そうだろう。僕だって、たまたま「逮捕」されなかっただけのことだ。オースターが云うように、人間の落下を止めることができるのは「愛」だけだと思う。それが親なのか、友人なのか、恋人なのか、場合によるだろうけど。けれど、人は一人で、そして独りではない。僕らには「不自由だと嘆くだけの自由」がまだ与えられていると思う。
 明後日のARABAKIには映像チーム(mood films)と組んで出演する。彼らから、映像の一部が送られてきた(写真参照)。彼らにはいつも全幅の信頼を寄せているから、僕が事前に注文を出したことはない。で、送られてきたのが以下の写真。「これって、すげー直球だよな」と僕が聞いたなら、「はい。ど真ん中直球(120km/h)で玉砕覚悟です(笑)」と。きっと、彼らは時代をこのように捉えているんだろうし、このようなものが必要だと、彼らは思ったのだろう。なので、僕も全力でそのステージに向かいます。楽しんでください。




それでも世界は美しい 

かつて少年だった君は死んだ
頑なすぎた君も死んだ
「未来」と云う言葉も消えた
確かに 君は大人になった

背負うものは減ることがなく
恋した時のときめきや
愛にしか語れない言葉が
遠くに霞んでゆく

あまりにも多くの薔薇が
手のひらをすり抜けてゆく

それでもこの世界は美しい
実らない日々の夢をどうか忘れないでくれ

俺に輝く鉛筆をくれ
この世界が崩れ落ちる前に
名もない花のささやきを
どうしても君に伝えておきたい

あまりにも多くの水が
橋の下を流れてゆく

それでもこの世界は美しい
憎しみの嵐が 今日も吹きすさんでいても
それでもこの世界は美しい
実らない日々の夢をどうか忘れないでくれ

君に感謝しよう
君に会いにいこう
無への長い道のり
ゆっくり坂をおりてゆこう

それでもこの世界は美しい
憎しみの嵐が 今日も吹きすさんでいても
それでもこの世界は美しい
実らない日々の夢をどうか忘れないでくれ

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by 山口 洋  

web通販開始

2009/04/22, 18:46 | 固定リンク

4月22日 水曜日 晴れ 

 全国のみなさん、お待たせしました。今日から「Live at Cafe Milton」、webでの通販開始です。

http://ads405.jp/

 モノの本によると人間の細胞は一年くらいかけて、すべて入れ替わるのだそうです。つまり、食べ物はもちろん、観たもの、聞いたもの、そして考えたこと。それらでヒトが出来ているとするのなら、完全に生まれ変わることができなくても、心の持ちようで、かなりの部分、自分を変えることが出来るのではないか、と。「live at cafe milton」を当のミルトンに奉納(この表現は正しいんだろうか?)してからと云うもの、身体と心はギシギシと音を立てています。まるで成長期に節々が痛かった時のように、ギシギシ、ミシミシと軋む音が自分から聞こえてきます。ここ数日、熱にうなされながら、体内から熱と共に、たまっていたネガティヴなものが排出されている感覚もあります。多分、それは好転反応のようなもので、この状態をやり過ごしたのなら、先日、宮城の帰りしなに立ち至った想い。- まっすぐ歩くための道 - が見えてくる気がしています。僕にとって、このアルバムは名実ともに、次のステージに行くために、どうしても出さねばならないものでした。文字通り「リリース」しなければならないものでした。すべての想いを詰め込んだので、「重かったり」「痛かったり」するかもしれません。でも、聞いてくれる人の心に、それぞれもたらされるであろう、風景を愉しんでくれたらと思っています。

by 山口 洋  

デラシネ

2009/04/21, 12:31 | 固定リンク

4月21日 火曜日 雨 

 このところ、僕にはイタコみたいにいろんなものが降りてくる。ステージに上がる前に、できるだけ「空っぽ」の状態にして、演奏を始めると、やおら何かが降りてきて、自分を振り回す。ミルトンの最後のステージで降りてきたものは、自分にもどうすることも出来なかった。ひょっとして、内包しているのかもしれないけれど、そいつは茶目っ気たっぷりで、それでいてちょっと「邪悪」で、ずいぶんと振り回されて、プロのミュージシャンとしては、それと格闘しなければならなかった。振り返ってみると、楽屋に居るときから、ヘンな耳鳴りがしていて、その予兆を感じてはいたのだけれど。
 関東に帰って、今僕が熱にうなされてるのは、風邪とも病気とも違う「気」みたいなもの(説明になってない)が理由だと思う。元気なのか、元気じゃないのか、自分でも良く分からない。
 先日のイベントで、八重山の連中に感銘を受けたのは、しっかりとしたルーツを持っていると云うこと、それを今の時代に昇華させようとしていること、そしてあれだけのルーツを持っているにも関わらず、どこかデラシネ(根無し草)で、流れ者で、ならず者だってところにある。こんな奴らがまだ居たんだ。つーことが多分、僕やリクオを励ましたんだと思う。自分にルーツがないから、と云って、もはや卑屈になることもない。彼らに比べると自分は本当にデラシネだと思う。帰る故郷も失くしてしまった。そのことが苦しかった時期もあるけれど、あのイベントの帰り道に、まっすぐな道が目の前に見えた気がするのだ。気恥ずかしいけど、それはバカみたいにひとつのことを続ける、あるいは想い続ける「愛」の道に、僕には見えた。
 あるミュージシャンの背後には「god」が見える。あるミュージシャンの背後には「ルーツ」が見える。そして自分には何もないから、訳の分からないものが降りてくるんだと思う。結局のところ、行くしかないのだ。

 今週は久しぶりにバンドに戻れる。受け取った何かを繋げていこうと思っています。でもって、「Live at Cafe Milton」、いよいよ明日からwebでの通販開始です。よろしく。

by 山口 洋  

love

2009/04/20, 20:42 | 固定リンク

4月20日 月曜日 曇り 

 引き続き、この数日間の余韻の中にいた。深夜、宮城からの帰り道。音楽を聞くこともなく、ずっと考えていた。「バカみたいにひとつの事を想い続けること」。それが「愛」だ、と云う考えに立ち至って、「こりゃ、熱出るな」と思ったら、案の定。でも、僕はそのような人間で居たいのです。

 「Live at Cafe Milton」。webでの通販は4/22からです。もうちょっとだけ待っていてください。
インタビュー第八弾、更新されています。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

Milton day2

2009/04/19, 15:51 | 固定リンク

4月19日 日曜日 晴れ 

 普段、絶対に「群れない」連中が、結果的に、この街と店に吸い寄せられて、共に音を奏でている。それが素晴らしかった。小さな街ではあちこちで音楽が奏でられ、オーディエンスは街の名産品を食べたり、飲んだりしながら、音楽を愉しむことができる。各地から集まったミュージシャンだけではなく、地元の人々もそれぞれのステージで演奏している。かつて、僕が世界のあちこちで観てきた、素晴らしき「音楽の祭り」と理念がほぼ共通していた。
 午前10時という殺人的な時間に白石城の広場でリハーサルをやって、何曲か演奏した。僕は吹いてくる風に身を任せているだけで、勝手にステージに上がっていって、誰かの知らない曲に加わっていた。気持ち良かった。それから、近所のお寺まで移動して、新良幸人と志田真木さんの踊りを観た。あれは何なんだろう。詳しくないから、ちゃんとは書けないけれど、あのような「タイム感」のものを、僕は未だかつて観たことがない。bpmが30くらいで、ゆっくりと、ゆっくりと時が流れる。二人のパフォーマンスが始まると、時空がちょっとだけ歪んで、そこから観た事のない風景が広がっていく。静かでいて、それでいて原色が散りばめられている。真木さんは踊っている間、ただの一度も「まばたき」をしなかった。何度も確認したけれど、もはや彼女は「ニンゲン」には見えなかった。この文章じゃ、どんな風景なのか、分からないよね?実のところ、僕もよく分からない。本当に目撃したのか、どうかも。それほどに摩訶不思議だった。また観にいこう。
 石垣島の白保が生んだ、大島保克と新良幸人、それから宮古島の言葉で歌う下地勇、それからリクオと俺。狭いにもほどがある、カフェ・ミルトンにパツンパツンのお客さんを詰め込んで、最後のコンサート。全員素晴らしかったのだが、特筆すべきは大島保克と新良幸人のデュオ。もはや、言葉が見つからず。僕は文章にできないから、是非観てくださいって、この二人が同時にステージに立つことは殆どないらしいんだけど。
 最後に本日限りのユニット、「デスペラーズ(要するに全員)」で「満月の夕」を演奏した。いやはや、何とも、言葉なし、三たび。彼らのことは今まで良く知らなかったけど、とても刺激を受けた。一言で書くなら「本物」。彼らの故郷は話を聞けば聞くほど、ドニゴールに似ている。ならば、行くぞ。

 「Live at Cafe Milton」。多くの人が手にしてくれました。何故、僕がこの盤を作ったかってことは、今日のライヴを観てくれた人には説明不要だと思います。そういうことです。そして、今日出会った「本物」の連中とは、これからあちこちでまた関わっていくことになると思います。どんな未来が待っているのか、まったく不明だけれど、「おーーーーっ」っとワクワクしながら、生きている。そのことに深く感謝したくなる一日。出会った人々、本当にありがとう。こんなに文章化できない日ってのも、そうあるもんじゃないけど、素敵だ。

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by 山口 洋  

Milton day1

2009/04/18, 18:30 | 固定リンク

4月18日 土曜日 晴れ 

 たっくさんのミュージシャンが集まって、そこかしこで音楽を奏でています。素晴らしい。ところで、友人が「ボブ・ディラン、最新インタビューでストーンズを語る」ってのを送ってくれたのですが、あまりに面白かったので。

What do you think of the Stones?

BD: What do I think of them? They're pretty much finished, aren't they?

They had a gigantic tour last year. You call that finished?

BD: Oh yeah, you mean Steel Wheels. I'm not saying they don't keep going, but they need Bill. Without him they're a funk band. They'll be the real Rolling Stones when they get Bill back.

by 山口 洋  

前歯装着、これで笑える、宮城県蔵王町にて

2009/04/17, 20:42 | 固定リンク

4月17日 金曜日 曇り 

 昨日は久しぶりにライヴをやった。心地よい疲れだったが、一滴も飲まず、一目散に帰り、山積みの仕事をうりゃーと片付けて、睡眠不足のまま、早朝から、400キロ車を走らせた。昨日、ライヴ中に話したように、僕の前歯4本は「仮の」歯だったのだ。今日は遂に「本物」が装着される。しかし、歯科衛生士さんたちは何故にあんなに優しいのだろう。僕は主治医のことを尊敬の念を込めて「エロ歯科医」と呼んでいて、もちろんその腕たるやプロフェッショナルの極みのような人物なのだが、あの歯科医院に衛生士さんたちの存在がなければ、きっと人造人間を造る「ショッカーの秘密基地」のように感じるに違いない。「キーン」とか「プシュ、プシュシュシュ」とか、おおよそニンゲンを恐怖に震え上がらせるには充分な音に満ち満ちている。基地に咲いた六輪の花。だから、僕はエロ歯科医にお土産を忘れても、衛生士さんには絶対に忘れない。かように、僕は卑しい。
 冗談はこのくらいにして。ホンモノの歯はびっくりするくらい装着感が違うのだった。ニンゲンとか職人とかプロフェッショナルって本当に凄い。感嘆。これで噛める。笑える。よーし、どんどん喰って大きくなるぞー。これにて上の歯は治療完了。次は下の歯だーー。蛇足だけど、歯型を取るための「固いガム」みたいなものを「外される」ときの「あぐぐぐぅ」という恥辱感が結構好きだ。

 それから僕はまた車をかっ飛ばして、明日のイベントのリハーサルを能楽堂にて。日本中からわらわらと人々が集まってくる。今から恐怖の前夜祭が行われるらしいが、せっかく歯もきれいになったことだし、それを酒で汚すのはやめておこう。じゃ、明日、みなさんに会えるのを愉しみにしています。もちろん、新しいアルバム、手にしてもらうことができます。

インタビュー第七弾、今夜中にはアップされるそうです。
昨日のライヴのこと、語ってます。

http://d.hatena.ne.jp/theRising/

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by 山口 洋  

吉祥寺にて

2009/04/16, 00:31 | 固定リンク

4月16日 木曜日 曇り 

 久しぶりにステージに立った。だから、キンチョーした。でも、音楽をやってるのは愉しかった。毛穴とか細胞が時間の経過と共に喜んでいくのが分かった。そして、たくさんのオーディエンスの向こうに、自分が歩いていくべき道がぼんやりと見えた。心から、ありがとう。新しいアルバム、楽しんでね。

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by 山口 洋  

納品完了

2009/04/15, 16:53 | 固定リンク

4月15日 水曜日 晴れ 

 ぱんぱかぱーん、アゲイン。本日、午前9時32分、レーベル(NO REGRETS)に「Live at Cafe Milton」が無事納入されました。明日のライヴにも滑り込みセーフ。公約通り、明日はめでたい日なので、「001」からシリアルナンバーを入れさせてもらいます。直売店には今日発送したので、週末には確実に届いていると思います。問い合わせてみてください。webでの通販は「ads405」にて、4/22発売開始です。その他、詳細はもうじき更新されるであろう、インタビュー第六弾で語ってますから、そちらを参照してください。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/

 明日のライヴは「Live at Cafe Milton」からの曲が中心になると思います。家に帰って、新しいアルバムを聞いて、「同じ曲でも、場所が違うと、ぜんぜん違うやんけー」ってとこを楽しんでくれると嬉しいです。ひっさしぶりぶりのライヴなので、柄にもなく、ちょっとキンチョーしております。開演までのBGMは最近心にヒットしてるものを用意しておきます。飲んだり、食べたりして、ゆっくりくつろいでください。以上、モンチッチからでした。スタジオにお返しします。

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by 山口 洋  

ネコ、まっしぐら

2009/04/14, 17:32 | 固定リンク

4月14日 火曜日 曇り 

 ヒロシ・レコード(NO REGRETS)、新しいアルバムの発送準備に総出で追われております。ネコの手も借りたいとは、こんな状態の事を云うんでしょうが、肝心の野良猫は悠然と歩き回るだけで、手伝ってはくれません。レコード会社や音楽事務所のソファーにふんぞり返って、「あれやっといてね」みたいな暴言を吐いていた頃とは隔世の感がありますが、紆余曲折の末、たどり着いた場所には何の後悔もありません。
 随分前、頼み込んで、漁師さんの舟に乗せてもらったことがあります。第一次産業に生きる、口数の少ない、褐色に焼けた、男の目の中に、「じーん」と何かを感じたからです。晴れた日の朝早く、男はたったひとりで漁に出る。嵐の日は酒を飲み、ひたすら待つ。自然の恵みに感謝し、敬意を払いながら、家族を養っていく。近くのことはもちろん、遠い海を見つめるそのまなざしに、正直、「勝てねぇ」と思いました。
 代々、林業に携わる男は、祖父の代に植えられた木を売って生活しています。輸入材に押されて、見通しが明るいとは云えません。それでも、彼は彼の孫の世代のことを見据えながら、今日も黙々と一人で山に入るのです。
 この時代に、思い切り好き放題に生きて、新しいアルバムをみなさんに届けられることを、心から嬉しく思っています。もうすぐ、です。

インタビュー第五弾です。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

in a groovy kind a way

2009/04/13, 13:34 | 固定リンク

4月13日 月曜日 快晴 

 この日々に欠けてるものは何なんだろう?と、二日酔いの頭で考えた。グルーヴだ。間違いない。誰かが云ってたけど、ブーツィー・コリンズの目覚まし時計はリズムマシンだって。そりゃ、さすがにキツいけど、早朝からミーターズだろ、ともう一人の自分が云うので、試しにかけてみた。「早朝ミーターズ」。どんぴしゃだった。身体が動く。「ロックンロールは腰で考えるんだ」って云ってたのは、どこのどいつだ。音楽の街、ニュー・オーリンズが育んだそのリズムにはたまらない訛りがある。コンピュータには絶対演奏不可能。毎日毎晩、共に演奏することによって磨かれた独自のグルーヴ。ここにたどり着くまで、この人たちに何があったんだろう。喧嘩したり、ゲロ吐いたり、エトセトラ。その上にグルーヴがあって、オーディエンスが踊る。日々の垢を踊って発散させる。何だか、忘れてたよ、この感覚。これは友人、アンディー・ホワイトが書いた一節。

If words are the six strings of guitar
and the guitar is the story of today
well I must be the dictionary's tightrope
c'mon look me up in a groovy kind a way

You asked me what I did
and what I wanted to do
this is the only way
that I can explain to you
and it's true

by 山口 洋  

Live at Cafe Milton#4

2009/04/12, 22:44 | 固定リンク

4月12日 日曜日 晴れ

 インタビュー、その4です。

http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

徒然

2009/04/11, 19:20 | 固定リンク

4月11日 土曜日 快晴 

 「月日は百代の過客にて、行き交う年もまた旅人なり(うろ覚え)」これで合ってるっけ?街を歩いていたら、突然これが頭に下りてきて離れなくなった。
 「ばっさり行ってください」と云ったのは俺で、挙げ句の果ての、ロックンロールとはほど遠いモンチッチ・ヘアーにも慣れてきた。今はモンチッチと渡哲也の中間くらいか。まだ上だけだけど、歯並びがいいって自分にもなんだか慣れてきた。未だ「サ行」はうまく発音できないけれど。結局のところ、時がいろんな事を解決していくんだ、と実感する日々。
 今日の陽射しは殺人的で、問答無用に差し込んでくる。その生命力に呆れながら、苦笑と共に励まされたりもするのだった。たぶん、「答え」は道の中にしかない。

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by 山口 洋  

i shall be released

2009/04/10, 12:49 | 固定リンク

4月10日 金曜日 晴れ 

 とても深い目をしたピアニストが「欲することと、願うことは違う」と云った。欲すると、所有しようとするから辛くなる。音楽とは「願い」なのよ、手放すのよ、と。そっかー、瓶に詰めたメッセージを海に流した。誰かが忘れた頃に手にするかもしれないし、誰にも読まれることなく漂流するだけかもしれない。諦めとも、無常とも違うその感覚。でも、そんな風に生きていくのは、とんでもなく難しいよね。まだまだ修行中です、はい。

 来週から、いよいよライヴに復帰します。みなさんに会えるのを愉しみにしています。4/16のスターパインズ・カフェには新しいアルバム、間に合う(はず)です。頼むぞ、業者。魂入れた新しいアルバムがみなさんの手に渡っていくのを観るのは、嬉しいもんです。気軽に遊びにきてください。

インタビュー、第三弾です。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/
プチ・特設サイト、オープンしました。
http://www.five-d.co.jp/heatwave/disco/090422milton/index.html

by 山口 洋  

Live at Cafe Milton#2

2009/04/09, 14:21 | 固定リンク

4月9日 木曜日 晴れ

その2です。近いうちに特設ページも出来るんで、お楽しみに。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

Live at Cafe Milton #1

2009/04/08, 23:04 | 固定リンク

4月8日 水曜日 晴れ

是非。
http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

born into a light

2009/04/06, 20:31 | 固定リンク

4月6日 月曜日 晴れ 

 どうやら昨夜はやってしまったらしい。激しい二日酔い。一歩も動けないall or nothing、ゼロかゲロ。仕方がないから、買ってあったショーン・ぺン監督の「into the wild」をDVDであらためて見、ライアン・アダムスの新作を聴いた。
 ショーンのその映画は、映画館で観たときとまた違う印象 - 深さを感じさせた。「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かちあった時だ」。その台詞が前にも増して胸に刺さった。そういえば、石橋凌さんに会うと、僕はショーンに関する質問しかしない無礼な男だ。彼がショーンの二作目「クロッシング・ガード」にオカマの役で出演しているからだ。ジャック・ニコルソンと堂々と渡り合っている素晴らしい演技だ。映画を見終えて、僕はこう思ったのだ。このような男(ショーン)と本気で仕事がしたい、と。僕に音楽を作らせて欲しい、と。彼が作った4本の映画に僕はどれだけ励まされてきただろう。主人公は多かれ少なかれ、自分とひどく似ていた。見終わって、即ハッピーになんて、なる訳がない。でもじっくりと時間をかけて、結果的には、僕をもう一度奮い立たせる。きっとこの世では「少数派」かもしれないが、このような作品を必要としている人々が居る。筑紫哲也さんが遺してくれた言葉、「少数派であることを怖れるな」と合わせて、二日酔いの中で、ひどくポジティヴな気分になって、そして吐いた。

 一方、ライアン・アダムスの新作は今の僕には、心のド真ん中に直球を放り込まれたような作品だった。1曲目で「we were born into a light」と歌い、2曲目で「go easy, go easy , but go」と歌い、3曲目で「fix it!」と云われるに及んで、完全にKOされた。参りました。久しぶりにエレクトリック・ギターを弾きたいと思った。僕はリスナーであり、そして表現者でもある。ならば、自分がやるべきことは何なのか、この二つの作品が教えてくれたのだった。

by 山口 洋  

the blood brothers

2009/04/05, 11:54 | 固定リンク

4月5日 日曜日 晴れ 
 
 せっかく新しいアルバムを作ったのに、作ることでエネルギーを使い果たして、しばらく現実逃避をしていたので、これから本腰入れてがんばります。どうぞ、よろしく。この「Live at Cafe Milton」、「Made in Aso 」とおなじく、ライヴ会場とwebでの通販、それから本腰を入れてこの時代と向き合っているお店での販売になります。ライヴ会場は4/16のスターパインズ・カフェから(めでたい日なので、僕が直筆でシリアルNo入れるつもりです)、web通販は4/22あたりから、お店での販売は4月下旬あたりからの販売になると思います。なんにせよ、詳細が決まり次第、このサイトでお伝えしますから、しばしお待ちを。

 ところで、昨日不思議な話を聞いたのです。27年前に死んだ、僕の父親が、とある人物のところに来て、話をしたがっている、と。この手の話を盲目的に信じている訳じゃないけど、過度にオカルティックだとも思いません。実際のところ、居なくなってしまった自分の家族の存在をガーディアン・エンジェル(守護天使)として、身近に感じることも多々あった訳だし。ただ、父親に関しては、生前、言葉を交わさなくてもお互いを深く理解しあっていた、と云う意味で、没後は彼がやり遂げられなかったたくさんのことを、自分が「豊かな復讐」という形で - こんな俺だって、人の役に立ちたいという形で - 勝手に背負ってきたとは思っています。ま、背負いすぎかもしれないけれど。彼を結果的に滅ぼした戦争(父は満州で幼少時代を過ごし、侵略、虐殺、引き揚げ、価値観の崩壊、 そのほかもろもろが彼に決定的な影響を与えた)についても、僕なりに身近な人間を愛する(それがうまくいかないことも多々あるけど)という形で、生きてきたのかな、とも思います。
 ところで、父親が何か俺にメッセージがあったのか、と聞かれたら、どうやらそうではないらしく、「今はあいつに何も云うことはない」とか「今度のアルバムには本当に魂が入ってる」とか、のたもうたそうです。何だよ、意味分からねーよ、と苦笑しながら、何のかんの云って心配してんじゃねーの、と、とある人物の勧めにしたがって酒を供えたならば、玄関で音がして、どうやら僕の側に帰ってきたようです。推測だけど。僕の唯一の心残りは、一度も酒を酌み交わしたことがないってことなので、blood brothersは静かに乾杯しました。Life goes on!

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by 山口 洋  

雪を求めて三千里

2009/04/04, 17:43 | 固定リンク

4月4日 土曜日 晴れ 

 毎年桜が咲く頃になると、ディランの歌みたいに「ブルーにこんがらがって」どうしようもなくなる。理由は分かっているのだけれど、避けようがないのだから、どうしようもない。この季節特有の生ぬるい風から遠く離れたかった。車にスキーを積んで、午前3時に家を出た。雪を求めて三千里。滑ってる時は何も考えないから楽なのだ。閉鎖間際の寂れたゲレンデには誰も居なかった。一番の急斜面をバカみたいに繰り返し滑っていたら、居眠りが趣味のリフト係のおじさんがパスを見せろとは云わなくなった。そのスキー場は何故かどこに侵入しても怒られない。季節外れの新雪が積もる林の中に突っ込んで、いつか自分は迷子になった。それはそれで悪くなかった。
 外国人に会った。彼も僕と同じように、ひとり雪を求めて放浪しているらしい。人のことを云えた義理じゃないが、「なんでそんなことしてんの?」と聞いたら「渇いてるんだ」と確かに彼はそう云った。
 僕の第二の故郷でもあるアイルランドはドニゴールのDと云う街にたどり着いた友人から連絡があった。「早く戻ってこいよ」とみんなが云ってる、と。何だか、訳もなくじーんとした。今すぐ飛ぼうにも自分のパスポートは切れていた。
 とある家族が僕を受け入れてくれた。それは「保護」とか「捕獲」と云う状態に近かった。にんじん抜きのカレーとか、手巻き寿司とか、他愛のない会話とか、思いやりとか、エトセトラ。目を丸くして、その光景を見つめていた。素晴らしかった。13歳の女の子の目に映るこの世界が、希望に満ちたものでありますように。
 深夜の高速を飛ばしながら、自分の血に流れる「手に負えない感情」について考えていた。それが自分に歌を書かせてきたし、きっとこれからもそうだろう。そして癒してくれるのは結局、時間でしかないし、永遠に向き合うことでしかない。都会が近づくにつれて、空気は生ぬるくなった。しばらく居ない間に桜は満開になっていた。ネガティヴな感情はいくぶん薄れていた。さぁ、道を歩こう。

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by 山口 洋  
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