夜明け前

2010/02/28, 18:31 | 固定リンク

2月28日 日曜日 雨 

 神話を持たない部族は居ない

 そして、夜明け前が一番暗い

by 山口 洋  

シベリアン・ブルー

2010/02/27, 02:55 | 固定リンク

2月27日 土曜日 曇り 

 生きた死者と 消えない シベリアン・ブルー
 その最後の木が 切り倒されるまで

 魂で生きようとすると 挫折するのさ
 今鳴っているものだけが 音ではないのに

 風が誰かを連れ去るのを じっと見ている
 真実はそのままに シベリアン・ブルー

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by 山口 洋  

思考の海

2010/02/26, 19:09 | 固定リンク

2月26日 金曜日 雨  

 深い深いコンパッション。いつもそれを忘れないニンゲンで居たい。

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by 山口 洋  

物語

2010/02/24, 17:42 | 固定リンク

2月24日 水曜日 晴れ 
 
 生きていることは「物語」のようだと思う。その続きは、この木の枝のように未来に向かって伸びている。

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by 山口 洋  

2つの時計

2010/02/23, 14:11 | 固定リンク

2月23日 火曜日 晴れ

 良く似たふたつの時計が、違う時を刻んでる。

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by 山口 洋  

洛陽

2010/02/22, 20:06 | 固定リンク

2月22日 月曜日 晴れ

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by 山口 洋  

その言葉

2010/02/21, 13:29 | 固定リンク

2月21日 日曜日 晴れ 

 その言葉は自分を奮い立たせるには充分なものだった。

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by 山口 洋  

夜の道

2010/02/20, 23:28 | 固定リンク

2月20日 土曜日 晴れ 

 夜の道を走り続ける。必ずそれは明日に繋がっている。根拠はない。けれど、本当にそう思う。

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by 山口 洋  

その名前

2010/02/19, 02:27 | 固定リンク

2月19日 金曜日 晴れ 
 
 親である、オレの友人たちが、我が子の名前をつけた時の話を聞くのが好きだ。誰の話をどう聞いても、「ふーん」と納得する。それを語る時の、奴らの顔を見ているのが好きだ。多分、その時はモーレツな感動のもとに、願いを込めてつけてるんだもん。愛だよ。親の願い通りに、子供たちが育っているかどうかは不明だけど。オレは子供が居ないからその感覚は分からないけど、もし女の子が生まれたなら。冬だったら「雪」、夏だったら「千夏」にしようと思ってた。若い頃から、訳もなく。男だったら、うーん、「岩石」かな。
 オレの名前はじいさまがつけたらしい。俳句と絵をたしなむ、風流なじいさまが。洋と書いて「はるか」と云うアイデアだったらしい。その時に詠んだ俳句が遺ってる。このトシになると、とても嬉しい。何で「ヒロシ」に落ち着いたのか、オレは知らないし、もう知ることも出来ないけど、こんな凡庸な名前でも、悪くないじゃん、と最近は思う。ありがとね、と思う。走りながら、海を見ていたら思うんだよね。灘じゃなくて良かった、とか、湾じゃなくて良かった、とか。7つの海って、ソラで云える?オレはまだ観たことがないものが、4つもあるんだけど、死ぬまでには全部観たい、と訳もなく思う。それって、多分、自分の名前に引っ張られてるってのは、考え過ぎでもないと思う。

by 山口 洋  

課題

2010/02/18, 17:14 | 固定リンク

2月18日 木曜日 晴れ 

 本番のレースまで、あとひと月と少し。今日の15キロビルドアップ・タイムトライアルで、複数の巻物から拾い出した、サブフォー(4時間切り)のための全ての課題をクリアした。ここに至るまで、本当にいろんなことがあったけれど、やるべきことは全てやった。自分用にアレンジした練習メニューはかなりハードなものだったので、クリア出来て当たり前と云えば、それまでだし、所詮市民ランナーのレベルではあるけれど、良くメゲずにここまでやってこれたなぁ、とは思う。音楽以外にこれほど努力したことはない。後は気を抜かず、練習の質を落とさず、体調と故障に気をつけて、ピークを当日に合わせていく。
 ところで、スノボの國母選手の滑りはもはや人間業だとは思えなかった。どれだけ才能があったとしても、筆舌に尽くし難い努力がなければ、あんなことが出来るはずがない。何よりも守りに入らず、最後まで攻め続けたところにシビれた。格好良かった。トンがったチビッ子たちは彼に影響されて、スノボに夢中になるだろう。若者がみんな石川遼君みたいに品行方正だったら、それはそれで不気味だと思う。オレは彼が好きだ。

by 山口 洋  

壊れた暖房

2010/02/17, 16:49 | 固定リンク

2月17日 水曜日 曇り 

 一番寒い時期に暖房が壊れた。去年も壊れて、なかなか修理に来てくれなかった。灯油をボイラーで焚いて、パネルヒーターの中に温水を循環させる、外国で良くみかけるタイプのもので、ちゃんと動いていると暖かいのだが、動かなければ家中が厳寒。代理店がこの御時世であちこちに移動したらしく、ラチがあかない。オレはこの10日間くらい、ずっと文章を書いていた。セーターとダウンジャケットにマフラー、モモヒキ代わりにCWXをはいて、書いているが、それでも寒い。昨日あたりから、背筋がゾクゾクしてきた。この時期、風邪をひくのはマズイのだ。熱を出したらひと月は筋肉が回復しない。
 仕方ない。もっとも暖かい格好をするしかない。組み合わせを考え、布団をかぶって書いている。トイレにいくとき、我が身を観てみたら、着ぶくれして、冴えない巨大プードルみたいだった。言葉の響きがイマイチなので、「雪ん子」に変えた。布団を身体に巻き付けて、家の中を移動するときは「ジェニファー」と呼ぶことにした。くだらん。

by 山口 洋  

夢の続き

2010/02/16, 19:52 | 固定リンク

2月16日 火曜日 曇り 

 夢の続き。うちの犬がオレの夢に出てきたのと同じ夜。知人の夢に、オレは「サンドイッチ屋さん」になって登場したらしい。「音楽辞めて、サンドイッチ作っとるんよ」って。あはは。それはやらないし、出来ないだろうなぁ、多分。生まれ変わったら、何になりたいって、漁師になりたい。漁師じゃなくても、第一次産業。一人で海に出ていって、恵みをもらって家族を養う。大変だろうけど、やってみたい。でも、オレは魚が怖くて触れないんだけどね。
 今日から「ウインドスプリント」と云う新しい練習メニューを追加した。練習の最後に、50mくらい加速していって、全速力の70%あたりをキープして150mくらい走る。それを5本。筋肉に「ほれほれ、明日はちょっと厳しい練習をしますよ」。と刺激で伝える方法。確かに文字通り、風になったような気持ちで走れるから、オレは好きかも。これからは異常に長い坂道をゆっくり登って、帰りは足がもげそうになるくらいダッシュで降りてくるとか、その逆とか、いったいオレは何をやっとるんだ、みたいな練習に明け暮れる。全てはどのみちレース後半で「足にくる」部分を1キロでも後ろに遠ざけるか。ただ、それだけのために。
 仕事の合間にオリンピックを観ていて、アスリートって本当に凄いな、と感嘆する。この一瞬のために、どれだけの努力を積み重ねたのか。ダウンヒルの選手の目には雪面が一体どんな風に見えているんだろう、とか。スキーを自分がやるまで、モーグルっていまいち意味が分からない競技だったが、コブだらけの斜面をあのスピードで滑れることが信じ難い。アスリートと同じように、ミュージシャンもミラクルな仕事をしなきゃ、と心から思ったよ、オレ。

by 山口 洋  

2010/02/15, 13:50 | 固定リンク

2月15日 月曜日 雨 

 昨夜の夢に突然こいつが出てきた。「父ちゃん、父ちゃん、久しぶりだね、ワンワンワン」。オレたちは雪の中を転げ回って遊んだ。チョー無邪気だけれど、頑固なところは相変わらず。オレの暮らしにお前が居てくれたら、どんなに楽しいだろうな、って思うよ。でも残念ながら、住んでる世界が今は違うのさ。父ちゃんは毎日走ってるんだよ。多分、マラソン走ったら、お前より速いぜ。また会いに来てくれ。ありがとう。

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by 山口 洋  

30キロレースペース走

2010/02/14, 21:00 | 固定リンク

2月14日 日曜日 晴れ 30キロレースペース走

 今日はヴァレンタインなんだってね。今年もらったチョコレートの数。現在0個。それって男として、どうなんだろうね。
  
 雨が降り続いたおかげで、休養も取れ、膝も少しづつ快方に向かっている。そろそろキツい練習に復帰しよう。30キロのレースペース走。読んで字の如し。30キロをレースペースで走り続ける。数ある練習の中でも、かなりキツい部類に入る。膝の具合も考えて、目標をキロ5分40秒、タイムを2時間48分に設定した。走り始めて、そのペースでは遅過ぎることを悟った。遅くてリズムが掴めない。すぐにキロ5分15秒に修正した。長距離レースペース走をやる意味。スタミナをつけること、自分のベストのペースを身体に覚えさせること、不測の事態に対応できるようにすること、補給のタイミングを知ること、エトセトラ。フルで4時間あたりのランナーは水以外にエネルギージェルを補給しなければ、確実に後半、低血糖状態に陥る。けれど、複数携帯して走るには重い。それゆえ、だいたいどのあたりでそれが枯渇するのか知っておかねばならない。喉が渇いたとき、既に脱水は始まっている。気がついてからでは遅い。だからと云って、補給しすぎるのも良くない。距離を重ねる度に、身体に起きる変化をできるだけ知っておきたかった。自分で決めたペースがまったく落ちないのが自分の特徴。おそらくそれはリズム感に起因している。スピードはないけれど、スタミナとリズム感はある。きっちりと5分15秒前後のラップを重ねていく。特定の筋肉に異変を感じたら、少しの間、走り方を変えて、恢復を待つ。その間もラップは落とさないように気をつける。10キロ毎に水を補給。15キロでエネルギージェルを補給。目標より、5キロあたり2分以上速く走っているが、まったく問題なし。そのままラップを落とすことなく、2時間36分でゴール。平均ラップ5分13秒。このままフルを持ちこたえれば3時間40分になる。けれど、ここから先の12キロで何が起きるかは未知数。4時間を切るために、ここまでで稼いだマージンは12分。まだ微妙だと思う。問題は28キロ過ぎから空腹になったこと。走る2時間前にきちんと食事をしていたが、空腹はまずい。それはエネルギー切れを意味している。人は脂肪を燃焼させながら走るのだけれど、極端に脂肪がなくなってしまった以上、エネルギーを備蓄する方法を考えなければという重要な課題を残した。
 忘れもしない去年の10月28日。初めて30キロを走った。25キロを過ぎた頃からまるで自分の足ではなくなったように感じた。正直に書くなら、あまりの辛さに泣きながら走り終えた。その時の記録、3時間11分。3ヶ月で35分縮めたことになる。しかも、まだスタミナは充分残っていた。努力すれば、必ず結果は出ることを知った。けれど、慢心はしない。何かアクシデントが起きたなら、相変わらず自分がボーダーラインすれすれのところに位置していることは間違いないと思っているから。 

 何だか暑苦しいマラソンブログになっちゃったね。悪い。
 ファンからの報告にもあるように、アシュレイ・マックアイザックがオリンピックの開会式で演奏してたんだってね。彼が元気なのを知って、とても嬉しい。僕が彼を初めて観たのは14年くらい前のこと。確かチーフタンズのコンサートにゲスト出演した時だったと思う。リーダーのパディー・モローニがツアー中、カナダのトイレでものすごいフィドルを弾く彼を偶然見かけて、ツアーに誘ったと聞いた。彼はステージにローラーブレードをはいて現れ、凄まじいフィドルを踊りながら弾いた。オレは完全にノックアウト。まるでフィドルを持ったジミヘンみたいだった。記憶が正しければ、そのまま楽屋でレコーディングに参加してくれるようオファーした。彼はスタジオにやってきて、信じられないフィドルを弾いてくれた。曲は「ホーボーマン」。ワンテイクで何の問題もなかったのに、彼は演奏を止めようとしなかった。目つきや風貌も含めて、随分と危うい男だった。魅力的だったけれど。あまりに演奏が素晴らしかったから、僕はお礼がしたかった。「何か欲しいものはないかい?」と聞いたら、彼は「ドラえもんが欲しい」と云った。僕はキディーランドに行って、一番でっかいドラえもんを買って、彼にプレゼントした。多分、身長150cmはあったな。翌日、彼のライヴに行ったなら、そのドラえもんがステージのド真ん中に置いてあって、彼はローラーブレードでそれに蹴りを入れながら、凄いフィドルを弾いていた。まったく、大した男だった。後に聞いた話だと、彼はドラえもんと飛行機に乗って帰国したのだと。元気だといいな、と思っていた。危うい男ゆえ。だから、そのニュースは特別に嬉しかった。また一緒に演奏したいな、心から。

by 山口 洋  

ときめき

2010/02/13, 20:02 | 固定リンク

2月13日 土曜日 雪まじりの雨 

 それがミュージシャンであれ、何であれ、長い間、何かを続けていると、必ずすり切れてくるものがある。気がつかないうちに摩耗してしまうものがある。一番すり切れてはいけないのは「ときめき」で、「みずみずしさ」だと思う。長い旅は人にタフさをもたらしてくれる。けれど、それらを失うくらいなら、タフさなんて欲しくない。走ることは、それを僕に教えてくれた。タフでなければ走れないけれど、ときめきがなければもっと走れない。何かが確実に変わった。いつだって、人は新人になれる。新しい気持ちで走れるし、歌えるはずだ。演奏しているとき、みずみずしく居たい。一音一音の減衰していく儚さに、ときめいていたい。それはいつか「光」になって、人の心に伝播していく。そう、笑うなよ。僕は本当にそう思う。

by 山口 洋  

簡素に生きること

2010/02/12, 19:07 | 固定リンク

2月12日 金曜日 曇り 

 昨夜、マラソンの師匠、ゲンちゃんにばったり会って、いろんな話をした。彼はオレが知る唯一の3時間を切るアスリート。組織に頼らず生きてきた彼の言葉には説得力がある。いわく、「マラソンタイツやサプリメントに頼るの、嫌になってきたんですよね。生身の身体で走り、食生活に気をつけて、それで何処まで行けるかってことじゃないか、と思うんですよ」、と。なるほど、と思った。もともと、互いに群れたいと思って始めた訳がなく、独りで自分と向き合って、己と闘う。それが目的だったはずなのに。貧血になり、低血糖になり、膝を痛め、その度にサプリだ、ランニングタイツだ、と生きていくことが煩雑になっていく。けれど、そんな日々にオレも違和感を感じ始めていたのも事実。ギターを弾くことが、アンプにシールド一本が一番太い音がするように、生ギターは心で弾くことが大切なように、簡素に生きることの方が遥かに重要だと思う。今は仕方がないと思う。タイツがなければ確実に故障するし、サプリがなければ貧血、低血糖は間違いなし。ただし、ゆくゆくはそんなものがなくても、走れる自分になりたい。別れ際にゲンちゃんがこう云った。「ヒロシさん。レースはせめて生身の足で出てくださいよ」。分かった。身体と相談して考える。

 夕暮れの海沿いの道。かなり追い込んで走っていた。1キロ4分30秒くらいか。息も上がってくる。こんな姿、誰にも見られたくない。ガゼールのようにゆっくりとジョギングする男を抜いた。こやつ、タダ者じゃないな、と思ったけど、オレには余裕がなかった。最後はギリギリまで追い込む。後ろからヒタヒタと追ってくる足音がする。でも振り返る余裕はなし。「ヒロシさん」。振り返ると、笑顔のゲンちゃんだった。はは。

 もうひとつ。酒の話。あの飲み物には魔力がある。生涯、あの液体にオレはどれだけの金を使ったことだろう。どれだけの失敗を重ねたことだろう。致命的なものも含めて。でも、学んだ。家には酒を置かない。外でもビールしか飲まない。飲め、と云われれば未だに何処までも飲める。でも、もういい。自分をリラックスさせるためには飲む。けれど、酩酊するのはごめんだ。もういい。奴には魔力がある。自分の心に潜んだ澱のようなものが、突然出てくる。たまに自分が悪魔のような言葉を吐いたりする。それが嫌でたまらなかった。そのような感情が自分に潜んでいるのも認めるのも嫌だった。だから、ひとつひとつ向き合って、解決した。酒の魔力によって出てくる「知らない自分」は実のところ「本当の自分」だってことを認めた。長い道のりだった。簡素に生きたい。

by 山口 洋  

a thousand days

2010/02/11, 14:43 | 固定リンク

2月11日 木曜日 雨 

 雨。こんな日は無理をせず、休養日に充てよう。
 好きな音楽の話でもしようか。家では、うるさい音楽は聞かない。テレビも見ない。そんな時、ここ数年いつも流れているのが、Mitchell Froomの「a thousand days」。彼が古いピアノで自作の曲をポロポロと弾いているだけの作品。深遠。いい音楽を聞いていると、眠気が襲ってくる。朦朧とした意識の中で、僕は過去や未来に旅をする。やがて、はっと我に返って、自分のやるべきことを始める。彼の音楽は雲のようで、雲の隙間から差しこむ一筋の光のようで、何もないけど、何もかもがある。優れた短編小説、あるいは映画みたいだ。僕が映画監督だったら、全編にこの音楽を使うだろう。どんな暴力的なシーンでも、愛をささやくシーンでも、この音楽は人間の心の深さを伝えてくれるだろう。
 僕の脳味噌は特別に「オトコ」脳のようで、同時に二つのことができない。ひとつのことには猛烈な集中力を発揮するけれど、音楽を聞きながら、かかってきた電話に対応することもできない。でも、この音楽だけは特別。大切な手紙を書くこともできる。と云うよりは、流れていた方が心の深いところから、文章をしたためることができる。いつか、ギター一本でこんなアルバムを作ってみたいと思う。
 今まで何人の人にこのアルバムをプレゼントしたことだろう。多分10人くらいか。「ありがとう、素晴らしかったよ」という意見が返ってきたことは一度もない。どうしてなんだろうね。パダ・オ・リアダ(ショーン・オ・リアダの息子)が雨の日に、亡き父のピアノをつま弾いている作品がある。それと並んで、生涯忘れられない作品のひとつ。
 先週の日曜日。一緒に20キロのレースを走ったマスイぴょんが「本当に苦しいとき、ヒロシさんの竹田の子守唄、頭の中で歌うんすよ」と云ってくれたが、僕の場合、これまではベタだけど「born to run」とか「london calling」だったのだけれど、本当に苦しいときに「a thousand days」が頭の中で流れるようになったら、すごいだろうな、と思う。それは主観と客観が入り交じって、どっちがどっちなのか、もはや分からない。そんな心境だと思うから。主観すなわち、客観。そんな場所にいつかたどり着きたい、と思う。

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by 山口 洋  

結局

2010/02/10, 15:49 | 固定リンク

2月10日 水曜日 曇り 

 で、結局。二日間、走った。バカみたいに。今一度、大切なものが見えてくるまで。ゴール寸前で、追い込みすぎてヨレヨレになっていたら、街の友人が額に汗して働いていた。挨拶したけど、互いに照れくさかった。でも、そっか。君たちがこうやって、ここをいつも走れるようにしてくれてるのか。ありがとう。心から感謝するよ。尊い労働だよ。いつかバーで会ったら、一杯おごらせてくれ。

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by 山口 洋  

試練

2010/02/08, 12:54 | 固定リンク

2月8日 月曜日 晴れ 

 半年かけて、細胞を全部入れ替えた。物理的にも、云うまでもなく精神的にも、生まれ変わりたかった。と云うより、それしか道がなかった。過去とひとつひとつ対峙した。出来ることはすべてやった。それはそれで半端ない道程だったけれど、もし何も気づかず、教えられることなく、あのまま生きていたことを考えると、ぞっとする。恐ろしい。こうしか出来なかったけど、これで良かったのだ。まっすぐに遠くを観て、歩けるようになってきた。心が澄んできて、強くなった。ステージに上がると、自由を感じるようになった。人々がそれを受け取ってくれるようになった。余程の事がなければ、もう怒らない。心から感謝した。出来事に、注がれていた沢山の愛に。そして、ある時期から「ひかり」が見えるようになった。それはいつも手に負えないし、ある人にとっては実体がなく、現実的ではないものかもしれない。でも、それは力強くオレを励まし続けた。「さぁ、こっちに来い」と。ようやく時が来たんだと思った。そして、ドアを叩いた。けれど、それは開かなかった。
 さすがに落ちた。けれど、まだお前には足りないものがある、そう云われている気がする。変わるために与えられた試練。それはまだ終わっていないのだろう。受け入れよう。楽な方に行く気はない。
 王さんの言葉、再び。「努力は必ず報われる。 もし報われない努力があるのならば、 それはまだ努力と呼べない」。納得、アゲイン。

by 山口 洋  

5度目のレース完走

2010/02/07, 12:20 | 固定リンク

2月7日 日曜日 晴れ 

 朝5時に起きて、体調を整え、5度目のレースに向かう。これまでずっと一緒に走ってきたヨシミが遂にリタイア。でも幼稚園の園長さん、マスイぴょんが居たので、共に20キロにエントリー。彼は何度もフルを走っている。4時間ちょっとのタイムも持っている。ところで、もう誰かと競うことには興味がなくなった。頭にあるのは3/28の初めてのフルマラソンで4時間を切ることだけ。敵は自分自身のみ。フルで4時間を切るためには1キロを5分40秒で走り続けなければならない。でも、それはギリギリのタイム。自分の能力と照らし合わせ、マージンを稼いで、キロ5分20秒に決めた。今日はそのタイムで20キロを走ると、どの程度の疲労があり、どれだけの与力があるのか。それをチェックするために出場した。
 ところがどっこい。スタート直後から集団のペースが速い。4分40秒ペース。仕方ない。付いていくか。二ヶ月前なら到底無理だったが、楽々とは云えないまでも、余裕を持って付いていけるようになった。並走していたマスイぴょんが15キロ過ぎで苦しそうになってきた。悪いけど先に行くね。結局、そのペースをほぼ落とすことなくゴールにたどり着いた。1時間36分。平均ラップ4分50秒。このままフルを走りきれたなら、タイムは3時間23分になる。あはは、でも、それは無理だね、絶対に。
 「走った距離は裏切らない」と云ったマラソンランナーが居たが、本当にそうだと思う。今日は天気も良く、最高に気持ち良かった。日々の練習のおかげで、キツさとも友達になった。先月の20キロは5キロの砂浜走を含んでいるので、単純な比較にはならないが、10分の記録更新。しかも、先月より、走っていることが抜群に楽しかった。人生と同じように、天候もあれば、周囲の状況にも引っ張られる。その中で、己の能力を理解して、黙々とラップを刻み続けること。マラソンに於いては自分がウサギなのかカメなのか、それを知る必要がある。自分がウサギだと勘違いしたら、必ず後半失速する。オレにスピードはない。トップで折り返してくる連中とは靴音が違う。彼らの音は地面とはたくような音がする。でもカメにはスタミナと根性と粘りがある。それさえ理解していたなら、必ず目標は達成できると、オレは信じている。
 街の連中が続々と走り始めた。誰とも競うことはないと思う。1キロでも5キロでも10キロでもいいと思う。この大会を継続してくれている人々に感謝して、自分のために走ってくれれば。きっと何かがもたらされる。

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by 山口 洋  

メトロポリスの偶然と必然

2010/02/06, 21:37 | 固定リンク

2月6日 土曜日 曇り 

 「今の自分のすべては、自分のこれまでの思考の結果である」。と云ったのは仏陀。「想像力がすべてだ。それは人生でこれから引き寄せるものの予告編なのだ」。と云ったのはアインシュタイン。オレはその人と、確かに夜の世田谷通りですれ違った。互いに車だったから、ほんの一瞬だったけれど。膝がガクガクと震えた。新しい曲に「偶然を必然に変えることができるのなら/この世は生きるに値する宇宙/そして光さ」と書いた。オレはいつも偶然なんてないと思って生きている。誰が操っているのか知らないけれど、宇宙はそれを知っている。だからこそ、まっすぐに歩いていくしかないと思う。

by 山口 洋  

季節

2010/02/05, 23:22 | 固定リンク

2月5日 金曜日 晴れ 

 これ(写真)って梅?走った帰りに、あまりに見事に咲いているのを見て、思わずカメラを取りに帰った。て、ことはもうすぐ春が来るってこと?

 ニンゲンは自由を求めているけれど、その自由は誰でも耐えられるものではない。そして、他人と云う現実。当たり前だけれど、自分の他に、他人の気持ちがある。自分が望む距離が近くても、他人から見た距離は気が遠くなるほど遠いことがある。その逆もまた、しかり。巡る季節の中で、それらに翻弄されながら、前を向いて歩いていくんだと思う。自分の役目を胸に。

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by 山口 洋  

王さんの言葉

2010/02/04, 22:52 | 固定リンク

2月4日 木曜日 晴れ 

 砂でできた城に住む者には、見てはいけない夢があるのだろうか?この世にはどんなに努力しても、決して開かれることのない鉄の扉があるのだろうか?そんなとき、某所でこんな言葉を見つけた。「努力は必ず報われる。 もし報われない努力があるのならば、 それはまだ努力と呼べない」by 王貞治。あまりにも直球で、的確で、奥が深くて、心が動いた。
 
 膝の調子が悪くて、しばらく長い距離を走れなかった。おそるおそる21キロ走ってみる。長距離に対する耐性は既に失われていた。けれど、仕方ない。壊れたら意味がない。王さんの云う「努力」には「忍耐」も含まれている。もっと云うなら「他者への思いやり」と「深い感謝」も含まれていると思う。オレは諦めない。

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by 山口 洋  

今年初めての雪

2010/02/03, 22:26 | 固定リンク

2月3日 水曜日 雪 

 飛行機の窓から、その昔実家があったエリアを見つめた。オレの少年時代は誰かの手に渡ってしまったから、そこに行くことは二度とないだろう。故郷に居ても、今回は何故か墓参りに行く気になれなかった。冷たい納骨堂からいつか出してやりたいと思うが、その墓を何処に作ればいいのか、オレには分からない。バカボンドのツケ。昨日のライヴに、死んだ母親が来ていたと、誰かが云った。ふーん、そうか。オレがまだ伸びていることを、感じてくれたらいいけど。

 東京は雪が舞っていた。しんしんと。オレにとっては今年初めての雪。スキーに行きたいけれど、今は気持ちがそれどころではない。あれだけ詰め込んだ技術も、パウダースノーの感触も、何もかも忘れてしまうのだとしたら、それはちょっと切ない。
 ツアーはそれなりに過酷なものだけれど、ステージに上がる日々の緊張感は好きだ。生きてる、と思う。それゆえ、解放されると、妙に切ない、アゲイン。上がっている気持ちを鎮めるのもミュージシャンの技量のうちなのだろう。オレは今から深夜の坂道ダッシュに出かける。坂道をダッシュで駆け上がって、ゆっくりと降りてくる。上がって、下がる。それはそれで悪くない。

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by 山口 洋  

九州ツアー最終日、福岡にて

2010/02/02, 22:08 | 固定リンク

2月2日 火曜日 曇り 

 九州を駆け抜けてきたツアーも最終日。確かに体力は前と比較にならないほど、向上してる。ただし、喉だけは別。この日は空気が乾燥していて、本当に辛かった。ただし、気持ちが自由なことは変わらない。それぞれにそれぞれの風景を受け取ってくれれば、それでいい。
 このツアーは自分の歴史の中でも、実りあるものだった。中空に風景を描く方法。自分が自由で居ること。肉体と精神で突破すること。決して強制しないこと。一音一音が儚く、切ないこと、人は必ず生まれ変われること、エトセトラ。忙しい中、足を運んでくれて、本当にありがとう。楽しんでくれたかい?全行程に帯同してくれたイベンター「つくす」のヨネとアヤコ。本当にありがとう。単に集客と云う意味ではなく、互いに蒔き続けてきた種がいろんな場所で芽吹いてきたのを感じてるよ。never give up!

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by 山口 洋  

故郷を走る

2010/02/01, 18:19 | 固定リンク

2月1日 月曜日 雨 

 小降りになるのをストレッチをしながら待って、故郷を走る。あまりにもコースが整備されているので、ついつい飛ばしてしまうのだが、膝はまだ爆弾を抱えている状態。無理は禁物。横を実業団の選手たちが駆け抜けていく。おそらく、キロ3分台の前半で走っているんだろう。美しい。その靴音からして、響きが違う。力強いのだが、柔らかい音だ。道にリズムを刻む。ままよ、オレは鈍馬だ。壊れないように自分の道をいこう。
 明日で九州シリーズも最終日。どのライヴも実りのあるものだった。そして、社会の変化も感じとった。ツアーを続けて、オレは自分の役目をはっきりと自覚した。オレたちにしか作れないものを作ろう。それを日々の中で聞いてもらいたい。願わくば、音楽には力があることを忘れないで欲しい。故郷の空気や食べ物をしっかり摂取して、明日は中空にespoirを描きます。是非、来てください。

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by 山口 洋  
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