日別アーカイブ: 2013年6月9日

継続する志、富山県高岡市にて

6月9日 日曜日 曇り 高岡市の田んぼの真ん中にあるカフェ、「ポローニャ」で地元の人たちのためにライヴが行われるようになって8年、何と39回目になる。続けることが一番の才能。なかなかできることではない。 僕はいつものように勝手知ったる場所に迎え入れられ、新曲ばかりを演奏するのでいつもより入念にリハーサルをし、開演を静かに待った。 ところが、PAが不調でどうにもならない。僕もいろんなことを経験してきたが、ここまでのトラブル(きっとオーディエンスには分からないだろうけどね)は体験したことがない。おそらく電源にまつわるトラブルで、僕にもPA屋さんにもいかんともし難かった。誰のせいでもない。 残された方法はたったひとつ。生音で演奏することだけ。でも、何だか途中から燃えてきた。オレはプロフェッショナル。持っているもの全てを使ってでも音楽の奇蹟を伝えるのが役目。果たしてそれが出来たのかどうか、それはお金を払って来てくれたオーディエンスの判断に委ねる。でも、僕はこのライヴのことをきっと一生忘れないと思う。主催者W君とも話したけれど、どんなに心を砕いていても、人間には「慣れ」ってものが出てくる。自分たちに「慢心」がなかったかどうかチェックが必要で、今後続けていく上でも試練が与えられたのだろう、と。 でも、嬉しいこともたくさんあった。 いつも支えてくれる女子チームは福島のために、自分にできることを続けてくれていた。ほんとうに嬉しかったよ。オレは思うんだよ。その人が被災したかどうかとか、福島の人であるかどうか、とか。そうじゃなくて、その人が何を考え、志が何処を向いていて、どのように生きようとしているのか?僕にとってはそれが全て。昨日の金沢チームは(北陸以外ではあまり報じられていないけど、地元じゃ大ニュースだよ)地元の公園を破壊から守るために、身を粉にして動いていた。一銭にもならないことのために、未来のために、それが出来る人をオレは尊敬するし、そのような人間たちを繋いでいくのが旅芸人としてのオレの役目でもある。 それから、このカフェで8年前最初にコンサートをやったとき。触れると棘が刺さりそうなくらい尖った若者が最前列に居た。彼は僕のラジオ番組のリスナーだったのだが、まぁ、その、何と云うか、ひどい態度だったのだよ。僕もほぼ彼のような人間だったから、その気持ちは分かる。奴は8年経って、いろんな人生の経験を重ねてやってきてくれた。嬉しかったよ。こういうのがギフトだね。重ねた年月と経験は奴の顔と目に刻まれていた。だから、あんまり話す必要はないんだけどね。 最後に。カフェを一人で切り盛りしているヨーコちゃんが庭に咲いてる花をくれた。前回は金沢まで福島のためにお店で集めたお金を届けてくれた優しい女性。その心遣いが嬉しかった。オレはその花を助手席に乗せて、東京まで持って帰った。今、俺の両親や犬や猫の写真の前で、きれいに咲いてるよ。ありがとう。 高岡のみんな。いつもありがとう。新しいアルバム出来たら、届けに来るぜ。

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