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day#016、信頼

9月3日 木曜日 雨 どうしてこれから行く先々でこんなに豪雨なんだろうと不思議に思ってたんですよ。答えは台風。苦笑。山の中ゆえの情報弱者。まぁ、こういう欠点はあります。どうして気づいたかって、風の吹き方が普段と違ったからです。あと鹿たちの鳴き声がヘン。なんだか違う。違和感を感じて調べたなら台風だったと。100年前の農民はたぶんこうなる前に気づいたな、と思うわけです。だって、天気予報ないんだもん。 麓の小さな町にレンタカー業もやっているクルマ屋さんを見つけました。あまりにも不思議だったんで、「誰が借りるんですか?」って聞いたら、温泉旅館に住み込みで働いてる人が休みの日に借りるんだと。なるほど。ニーズあるところに仕事あり。そこで、軽自動車を奇跡的に借りることができました。ただし、今貸し出し中で戻ってくるのは今日。すでに土砂降りだと思われ。麓までどうやって行くか、それが問題。まぁ、バイクで福岡にいくよりかなりマシかな、がんばれ、オレ。 ところで。ほとんど僕の娘であってもおかしくない世代のシンガーからとつぜんの便り。南阿蘇にいるんですって。え?ほんと?じゃ、行くね、と、バイクでブーン。 彼女、なんと畑にいました。えっと。まず、それが誰かなんて詮索はなしでね。伝えたいのはそこじゃない。あなた、なにしてるの?なんで畑にいるの? そこにはうちの母と同じ名前の和子さんがいらっしゃって、育てている無農薬の作物をぜんぶ、初対面の僕に紹介してくれるのです。生まれがなんと僕が育った隣町。目がキラキラしてて、作物が好きでたまらないのが溢れ出してる。これまでの人生がすべて顔に書いてあって、「うちになってる作物、いつでも取っていってちょうだい!」。そ、そんな。早速もいで食べさせてくれた野菜の旨さたるや。 思わず「男手が必要なときはいつでも飛んできます!」なんて言ったりして。もちろん約束は守るけど。和子さん、素敵すぎ。70を超えてらっしゃるけど、ぜんぜんそんな風には見えないし。スピリットが素晴らしくて。大地に生きてらっしゃって、なにより人生を楽しんでらっしゃる。 ふと思う。ファーマーのともだちや和子さんが作ったもの。こころして食べるよね。もちろん無駄にはしない。生育してる場所を実際に見てるから。どれだけたいへんなことなのか、想像できるから。「いただきます」の意味を毎回噛みしめる。それが僕の地肉になる。もっと言えば歌になる。 で、彼女。一人でレンタカーを借りて、被災地を回って支援金を手渡してきたんだって。オフィシャルには一言もたぶん言わずに。南阿蘇は10年前の震災のときに支援にやってきて、こうやってリレーションができていったんだって。 和子さんと彼女、母娘みたいに素敵だったよ。これから藍染めを習うんだって言ってた。智慧が受け継がれていくのって素敵。 嬉しかったんだよね。世界にこんな2人がいることが。損とか得とか、そんなことじゃない。思いやりと愛。人と人。法律じゃなくて、信頼が世界を創るっていくこと。 ポケットの中に和子さんのオクラがひとつ。さぁ、どうやっていただこうかな。

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