逃げる勇気

6月17日 金曜日 曇り

(昨日の続き)
福島県相馬人M (妖怪人間ヴェムみたいで嫌だーと本人が申しております)と毎日恋人のように連絡を取り合っております。おっさん二人して、状況に頭を痛めています。故郷を離れなければならなくなることが、帰ってこれなくなるかもしれないことが、仕事を失うことが、どれほどの事なのか、僕なりに理解しているつもりです。でも、どう分析しても、置かれている状況は厳しいと云わざるを得ません。特に小さな子供を抱えている方々は「逃げる勇気」について考えて欲しいと心から思います。不要な被曝は避けて欲しい。それは取り返しのつかないことだからです。その代わり、被災していない僕らは声を上げ、行政を動かし、僕らも動き、彼らをサポートするシステムを早急に構築する。仕事、住居、コミュニティー、エトセトラ。

生まれて一度も街を離れたことがない。そのような方がたくさん居るのだと聞きます。流れ者の僕らが唯一伝えられるのは、知らない土地へ行っても、うー、簡単にはいかないけれど、でも何とかなるものです。僕は26歳まで福岡で暮らしていました。今でも育ててくれた街を愛しています。実家はもうないので、帰る場所はありません。育った家は人手に渡ってしまったので、どうなっているのかも分かりません。あまりに変わっているのもショックなので、近づきません。ときどき胸がきゅーんとはするけれど、でも、心の中にあの光景は生きています。だから、何も失われることはないのです。永遠に。被災した、あるいは放射能によって奪われた故郷。それとこれとは状況がまったく異なります。でも、僕は故郷は心の中にも持てることを伝えたいのです。どうか、「逃げる」と云う勇気について考えてください。

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逃げる勇気 への1件のコメント

  1. ボブ・マリ より:

    福島市に住んでいます。

    これから多方面,多領域,のことが同時に考えられ,すすめられないといけないと思っています。しかも長い期間にわたってです。
    希望を持ち続けるためには,失われたものを追慕し,心のなかにおさめていくことと同時に,新しい営みが創出されることが不可欠です。個別の補償も大事だと思いますが,新しい産業,新しい雇用が創出されなければ,この地域の希望ある未来はありません。
    むかし,「空中都市008」というNHK人形劇がありました。新しいパラダイムのもとに新しいまちがつくられることを望みます。エコロジカルなエネルギー,多世代間の豊かな交流,伝統芸能と新しい芸術,個を大切にしつつ他者を思いやる社会,など理想を描いて実験的なことをやっていく,そういうまちに,さまざまな職種,さまざまな専門家の知恵と体験を投入していくことがすすめられれば,私たちは希望を描くことができます。
    福島のあの新しいまちはおもしろい,ということでたくさんの人が移住を希望する,そういう21世紀のゴールドラッシュみたいなことが起こることを夢見ています。

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