職人技

4月28日 土曜日 晴れ

じわーっとこころを動かされることがあって、そのときラジオからジャクソン・ブラウンの「these days」が流れてきた、出来すぎの土曜日の朝。

ずいぶん前に山の家を整理していて、親父が使っていたモンブランの万年筆を見つけた。たぶん40年ちかく前のもの。彼は数学者で、論文はタイプライターで書いていたけれど、最後にサインを入れるために使っていたんだと思う。字にも彼のメンタリティーが滲みでていて、僕も自分の字を書こうと幼いながらに思っていた。

ネットで見つけたところで、修理してもらったけれど、すぐに壊れた。というか、正直その人物があまり好きになれなかった。でも、残念なことに、そこでかなりの改造をされてしまっこともあってか、修理を引き受けてくれる人は見つからなかった。

時間をかけて、ようやく埼玉に素晴らしい職人さんを見つけた。blogに書かれた修理履歴。愛情とこだわりを持って仕事に取り組んでいることがよくわかった。

何度かやり取りをして、すべてをお任せした。そう思わせてくれるだけの誠実さがあったから。そして、今朝、ひと月ぶりに親父の万年筆が戻ってきた。

なんだか、うまく言葉にならないのだ。ひとことでいうなら感謝しかない。おかんの形見の筆入れにいれて、一生たいせつに使おうと思う。

こうやってじわーっとこころを動かされるような、寡黙だけれど、情熱のこもった仕事がしたい。そう思って、明日もステージに立とうと思う。一本の万年筆からいろんなことを教えてもらった。

一生使えるものって素晴らしいね。

親父とおかんの形見がいつもカバンに入ってるのは悪くない。

 

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ついしん

先日の国立でのイベントのこと書かせてもらいました。

 

 

 

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職人技 への1件のコメント

  1. Satoko より:

    とっても素敵ですね。時間がゆっくりで、確かで…
    荒吐までは届かないけど明日から少しだけ久しぶりの東北です。
    慌てない旅をしてきたいと思います。

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