soup of the day

2005/09/14, 23:21 | 固定リンク

世の中には形容できぬほど、卑劣かつ下劣な連中が居て、シンプルに暮らしたいだけの俺の毎日を遮り続けてきた。簡単に書けば、「家政婦は見た」的な脚本が軽く3本は書ける数年間だった。永きに渡る理不尽な行為にさらされているうち、俺はタフになったし、本当に大切にしなければならない事を見つけるに到った。今や、憐れみを込めて、礼が云いたい気分ではある。いつも何かをやろうとすると「ん?」みたいな事が起こる。けれど、最近はこう思うのだ。
「ま、仕方ないよ。相手にしても意味のない連中のすることだから。それよりも美味しいお茶を飲もーぜ、とりあえず」。俺の尊敬する人がまれに発する言葉がある。「人間ちっちゃいねー」。あるいは写真を見て、「顔、出来てないねぇ」。この言葉はひどく重い。人の顔には全てが書いてある。それは自分で作るもんだ。たまに鏡を見て、ぞっとすることがある。気をつけなきゃ、ね。
雑務に追われつつも、創作の日々。もう俺は自分の事を吐露したいなんて思わなくなった。俺みたいな人間の事はもうどうでもいい。どっちに転んだって、云いたいことはたったひとつなんだから。それよりも今日のスープの事を考える。soup of the day。外国に行くと、胃袋が小さい俺はこれで夕食が事足りる。大抵の場合、パンがついてる。人の身体は喰ったもんで出来てる。ってことは精神も同様。だから、その日のスープを大切にしたい。昨日、俺はとっても美味いスープを喰った。それには愛がこもってた。その愛が俺を作る。それはひとつの立派なハピネスだと、俺は思う。

by 山口 洋