冬京

2005/11/16, 23:23 | 固定リンク

11月16日 水曜日 晴れ 

 まるでブレード・ランナーのような街になってしまった冬の都で、俺が生まれた頃の東京を描いた映画を観る。何とも云えず、複雑な気分になる。我々は何を得て、何を失ったんだろう?そして今日のこの風景も、やがてノスタルジアと共に眺められる日が来るんだろうか?俺は来ないと、思う。何故なら、この風景からは人が暮らしている姿が見えてこないからだ。街の樹木には電飾が施され、人々は携帯のカメラでそれを移す。それは本当に美しい光景なのだろうか?見上げた空には東京タワー。高度成長も、バブルも凋落をも見守ってきたはずの彼の姿だけは凛々しく都会の空に突き刺さっていた。

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by 山口 洋