the circle

2005/11/08, 18:27 | 固定リンク

11月8日 火曜日 晴れ 

 ネット社会のコミュニケーションを心の底からは信じていない。けれど、性善説にのっとってみれば、素晴らしいツールだと、同時に思う。バンドのサイト宛に、世界のいろんな所から時々メールが送られてくる。ブラジルだったり、南アフリカだったり。そして彼等は30年近く会っていない友人だったりする。そっか、奴は地球の反対側でがんばってんのか。距離感がつかめないまま、返信して、近況を語る。そして更なる旧友を紹介されて、空白の時間に起きたことを知る。誰かの父上が亡くなった。昔、さんざシバかれた先生が倒れた。エトセトラ。俺は一度も過去を振り返らずに生きてきた。そんな気持ちの余裕がなかった。けれど、不義理をして悪かったと、心から思う。多分、ネットがなければ、こういうリレーションがなかったことだけは間違いない。
 朝方。この家を設計してくれた建築士のご夫婦がやって来てくれた。彼等は地元の木材を使い、それを山から切り出し、現代の設計をして、それを地元の大工さんに施工してもらうと云う新しいやり方に取り組んでいる。つまり多くの住宅会社とは全く違うやり方を模索している。云うは易し、行うは云うまでもなく。どう考えても、その土地に家を建てるための木材は地のモノが良いに決まってる。仕事は地元に落とす方がコミュニティーがうまく回転するに決まってる。ただ、木材を例に取ると、商品にするには今植えたとして、ひ孫の代まで育てなければならない。そんな気が遠くなるような話だ。この国は戦時中に、後先考えず木を伐採した。それゆえ、ひ孫の代まで待てば、何百年と持つ家が建つはずだった木材が不足している。コストを考えると、輸入材に押されていく。林業は廃れる。技術は継承されない。外国の森は伐採されていく。悪循環。どこかで聞いた話でもある。
 音楽もネットも建築も何もかも。全ては同じところに繋がっていると思う。現代のツールをうまく使って、独りよがりでない、先を見越した仕事は出来ないのだろうか。自分だけ良ければいいと云う時代は終わった気がしてる。その昔、ネィティヴな人たちが当たり前に実践していたこと。ジェリー・ガルシアさん達が夢想したこと。 エトセトラ。夢想することを忘れなければ、いつか物事はthe circle - 円環を描く気がする。描かなかったとしても、俺は人間はそこまで捨てたもんじゃないと思いたい。
 それにしても、名も無い植物って、本当に凛々しくないかい?俺、勝ち目ねぇと思うもん。こんな風にまっすぐで居たいと思う。たとえ、ミドル・エイジと呼ばれていても、ね。
 新しい曲が沢山生まれてます。楽しみにしてて下さい。俺はすっかり元気に、しかもデブになりました。明日は渡辺某がやって来るそうです。じゃ、今から地元の方の宴にお呼ばれしてきます。ワン。
 

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by 山口 洋