Don't give up

2005/11/07, 16:15 | 固定リンク

11月7日 月曜日 日本晴 

 ゆっくりと、しかし確実に。精神が恢復していくのを感じている。こんなところにぽつねんと独りで居ることは、寂しくないと云えばウソになるけれど、今の俺にはとても大事な時間のような気がしてる。
 そんな時は、見計らったかのように、近所の皆さん(近所っつても、隣の家まで歩いて500メートルはあるけど)が宴に誘って下さる。あるいは都会から、心のこもったものが送られてくる。信じないかもしれないけど、俺はここの住所を知らず。だから、「何とかさんの家の隣」って云う住所で送られてくるんだ。
 今日の宴も心づくし。美味いものがテーブルの上にずらりと並んでる。そうそう。地元の方が裏庭に椎茸を植えて(かな?正確には菌を注入して)くれたんだけど、これが何とまぁ、ウソみたいに生えてくるんだよ。その成長加減ってのが、嬉し怖い。お、お前は一体何なんだよ?植物なのかよ?菌なのかよ?何でそんなに湿ってんだよ?(収穫直後は含んだ湿気で重い)何で香しいんだよ?どーしてそんなに成長するんだよ?お前の栄養分は一体何なんだよ?まったく、この世には不思議な事が沢山あるね。
 さて、宴に話を戻して、と。今日は某コメと夏に滞在してた時、はるばる大分県からやってきてくれたエンターテイナーIさんとも再会した。Iさんは我々歌手なんかが足元にも及ばない芸をお持ちなんである。本日は得意の津軽三味線を手に、「ヤサホーヤ」なんて即興で歌ってくれるのである。か、敵わん。しかも、一部始終はホスト役のKさんがジャパネットタカダで購入したヴィデオによって記録されていた。この状況が何が素晴らしいって、俺が最若輩者にあるところだ。人生の荒波を超えてこられた面々の前では、出る幕なし。で、津軽三味線ってのは魂の音がする。基調はCでチューニングされてるんだけど、使うポジションや響きが沖縄の三線とはまったく違うんだな、これが。絶妙なマイナー・ノートで出来てる。人生と暮らしの厳しさが、音階と演奏方法に見事に反映されてる。俺はIさんとセッションさせてもらって、その魂を浴びた。一言で書くなら、深い。うん。深かった。
 日付は変わって。今日は雲ひとつない日本晴れ。だから、何もせず、ぼーっとしてた。だんだん、気力が満ちてくる。「Don't give up」なんてアラレもない言葉が湧いてくる。さ、美味しい椎茸のパスタを喰ったら、音楽に向かおう。何にせよ、ありがとう。Thanks for EVERYTHING! 俺は一人で、そして独りじゃない。その事に深く感謝してる。

 

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by 山口 洋