ツアー初日、大阪にて

2005/11/26, 22:34 | 固定リンク

11月26日 土曜日 曇り 
 
 ツアー初日。午前中の新幹線で大阪へ。車内ではメンバー全員がMDやipodで曲を「身体に入れ」る恒例の風景。新しい曲やアレンジが「身体に入って」初めて、その場でのフレキシブルかつスポンテニアスな演奏が可能になる。一番最初に「それ」を終えて、爆睡体勢に入ったのは渡辺某だった。へへ。
 バンドにはいろんな時期がある。言葉に例えるなら、初期衝動、怒り、安定、破壊、突発的事件、瞬発、停滞、倦怠、奇跡、不安、調和、暴走、楽しみ、その他もろもろ。このメンバーはおそらくその全てを理解している。その上で、今は単に客席や気分が盛り上がることよりも、細かいニュアンスを含めて、音楽の表現の可能性を追求している時期だと云える。聞く人にとっては、バンドに「安定」を感じているかもしれないし、事実そんな部分もあるけれど、実のところ、全て何処に音楽が進んでいくのか不明のまま「綱渡り」の状態で演奏することを楽しんでいる。今日はエンジニアS氏との初仕事と云うこともあって、各人のダイナミクスを全員が把握しようと耳をダンボにして演奏していた。それは書けば簡単なことだけれど、意外と難しいのだ。でも、バンドが確実に前を見据えていること。それが何よりも嬉しかったし、新しい曲たちは人前で演奏することによって、そのポテンシャルと改良の余地があることが明確に見えてきた。とは云え、心のどこか奥底には「サーチ&デストロイ」の精神が流れているからして、相互理解が度を越えたきたら、また誰とはなしにブチ壊すのだろうけど。きっと。そんな風に「学んでる」のか「学んでない」のか不明な、我々の音楽から何がしかのハピネスを持ち帰ってくれたら、こんなに嬉しいことはない。
 今夜の白眉は某曲の演奏中、渡辺某が俺のところにやってきて放った言葉「ヒロシ、この曲のテーマが思い出せん」だった。あんまり可笑しかったので、そのままその言葉を魚に伝えた。奴とは長い間ステージに立ってるけど、ここまで大物だとは知らなかった。ワン。

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by 山口 洋