無表情という表情

2006/03/20, 21:43 | 固定リンク

3月20日 月曜日 晴れ 

 今日も休日を謳歌するつもりだったが、携帯電話が壊れた。ウンともスンとも云わなくなった。「今時、なんでそんなダッサイ携帯使ってんの?」って良く云われてたから、相当時代遅れのやつだったんだろうね。多分。俺は新しいもんが格好良いと思ってるあんたの方がダサいんだよ、と思ってたけど、確かに店に行ってみると俺のはダサかった。ははは。でもどこかの宣伝で見たんだけど、携帯は話せて、メールが出来りゃそれでいいんである。だから、その旨店の人に伝えて、タダの携帯に換えてもらって、待ち合い室で待ってた。随分待ってた。目の前に「C」って女性雑誌があったから、観た。俺はね、驚いたよ。その文章にもコピーにもモデルの表情にも。俺は日本語がこんな事になってるのも知らなかったし、モデルは殆どアンドロイドみたいな顔をしてた。同じ顔なんだ。同じ表情なんだ。そして微妙にメスの匂いがページから立ち上ってくる。可愛いけど目に「光」がない。「力」もない。蝋人形みたいなんだ。没個性っちゅー個性。怖かった。本当に怖かったんだってば。そういや、こんな顔した若い女の子がいっぱい街に居るなぁ、と。
 自分が若い頃の事を語り出したら終わりだと、良く人に云われる。でも、「俺とお前は違うんじゃ」ってのが自分を支えてたことだけは間違いない。「〜に似てる」とか、「〜風」とか「〜系」とか云われるのが一番癪にさわってた。あの手のものを作ってる連中が俺たちの世代だとしたら、相当な罪だと俺は思う。「〜系」から外れる事の恐怖感を煽って商売してるのだとしたら、かなりサイテーだよ。気分が悪い。でも、世の中で起きてる事、知ることが出来て良かった。心底、気分が悪かったから鮨屋に入った。大将の煮ても焼いても喰えないようなオヤジギャグを聞いて、何だか救われた。確かに「いーです、いーです、イーデス・ハンソン」級だったけど。

by 山口 洋