日々の記憶
2006/04/03, 22:59 | 固定リンク
4月3日 月曜日 晴れ
この3日間、空いている時間はキーラのリミックスに没頭していた。マルチトラックに記録されている24ch分の音を全部聴いて、俺がやることの意味を考えて、歌詞を読んで、作業を始めた。頭の中には「雨だれ」や「しずくに濡れる紫陽花の葉」みたいなイメージがあった。結局、曲の骨格は自分の演奏で作った。狭い仕事部屋だから、次々と楽器をケースから出して録音すると、足の踏み場がなくなっていく。哀しいけど、仕方ない。ヴォーカルのローナンはここに居ないけど、一緒に演奏してるつもりで、演奏を積み重ねた。そうやって作った土台に、彼等がマルチに残していた音を取捨選択して織り込んだ。そして編集して、完成させた。いい時代になったと思う。もうマルチテープを抱えて飛行機に乗ることもない。膨大なスタジオ代を請求されることもない。俺にあって彼等にないものがあるとするなら、それは四季の感覚だと思う。今の季節で良かった。春は嬉しいけど、切ない。気に入ってくれるといいけど。
1日は某家の花見にお呼ばれした。亡くなった母上が23年前に植えた桜が大木になって、我々を見守っていた。それだけでも充分にぐっと来る光景だった。この世にはなくなってしなうものと、受け継がれていくものがある。
2日は佐野さんのツアー最終公演を観させてもらった。頭の中に「江戸っ子」と云う言葉が浮かんできた。「粋」だ。幸福感に包まれた客席とステージを交互に観ながら、思考と表現とエンターテイメントの着地点について深く考えさせられた。20代、30代、40代、50代にそれぞれの、そして永遠の「someday」があるのなら、ロックンロールは不滅ってことになる。感謝。だから、友人達と下町で飲んだ。神社の夜桜がきれいだった。下町は東京で一番好きな光景だ。
3日。親類の法事で鎌倉に行った。ここのお寺の住職の言葉はいちいち心に染みる。お墓の上に桜吹雪が降り注ぐ。陽光と突風の中で、それは何かの映画みたいな眺めだった。
人の命は永遠じゃない。誰かが、そしていつか自分が死ぬのはとても自然なことだ。だから、今日出来ることに夢中になっていたい。
追伸
いろんな人からマキシシングル「No fear strikes back」をレコード屋さんに買いに行ったけど、売っとらん。とお叱りを受けます。はい、左様で。今のところ、ネットとライヴ会場のみの販売です。我々、いろんな新しいチャレンジをしつつ、出来る事から、一歩づつ進んでおります。ひとつひとつ現状を把握しながら、前に進んでおりまする。いろいろと不便をお掛けしています(特に地方在住の方)。申し訳ない。よろしくです。
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