新しいルール

2006/04/21, 20:22 | 固定リンク

4月21日 木曜日 晴れ 

 いろんな人がこの山に来て、そして去っていく。たいていの場合、なごり惜しそうに去っていく。来る者は拒まず、去るものは追わない。人々は、いろんな想いや人間の残り香のようなものを残していく。それが嬉しい。大したものはないけど、出来るかぎりのもてなしをする。ま、かなりの放置プレイではあるけど。そこに会話が生まれる。まれに「仕事」に繋がることもある。けれど、それは「商売」以前に、「大切なもの」を見つめたものであることが多い。それがまた嬉しい。
 山に持ってきたのは、小さなマッキントッシュとギター、音を取り込むためのインターフェイス、それにマイク一本。この時代、これだけで、詩作から録音、そして都会とのやりとりまでをこなすことができる。素晴らしい。同時に、暖を取るために薪を割り、近隣の人々に家族のように接してもらい、美味なるものをたびたびごちそうになり、いつも自然に対する教えを授けられている。テクノロジーの恩恵と人々の想い。その中から「新しいルール」を学んでいるんだと思う。次のアルバムに収録するための曲の殆どは、この場所で書いている。だから性急なものには決してならないと思う。けれど、その中に、人として、当たり前の「祈り」を込めている。笑ってくれるな。特定の宗教のない俺だって、「祈り」たいことは山ほどあるんだ。そして、それらがこの時代を生き抜く多くの人たちに、「多少の毒と薬」として響かんことを願って。

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by 山口 洋