風の匂いと「soup of the day」

2006/05/08, 23:44 | 固定リンク

5月8日 月曜日 曇り 

 母親の命日。強がってはいたけれど、男にとって母親の不在と云うものは、「無償の愛」がもう存在しないってことを意味するものでもあって、それを受け入れるのは、結構難儀なことだったりもする。リリー・フランキーさんの「東京タワー」に「男は母親を失って初めて一人前になる」って書いてあったけど、本当にその通りだと思うよ。この季節の風の匂いとか、緑の芽生えとか、いろんなものが無意識のうちに、あの出来事を想起させる。それは女々しいことだと、頭から追い払おうとしてたけど、仕方ねーだろう、どうせマザコンなんだし、と苦笑しながら受け入れる。結局のところ、前に進む力ってもんは、時の流れでしかないのかも。いろんな想いがいろんな人たちから送られてきて、嬉しかった。
 ロフト30周年でin the soupに呼ばれて、ライヴ。ロフトに初めて出たのは多分85年だったかな?世話好きの兄貴、スマイリー原島氏が福岡に住んでる俺たちを呼んでくれたんだと思う。随分緊張したのを覚えてるよ。何にせよ、30年ってのは凄いことだよ。in the soupを観てると、いろいろ逡巡してた頃を思い出す。でも相変わらず自分たちも逡巡してるからして、何も気の効いたことは云えないんだけどね。いくつになっても、音楽の深遠さにはまっていくばかり。それは悪いことだとは思わない。出来はともかく、俺は音楽をやってることが愉しい。何故か、飲んでる席には世話好きスマイリー兄も同席してて、いろんな世代のミュージシャンと音楽とバカ話に終始してた。さて、帰るかと思ったら、ポケットの中には800円しかなかった。銀行くらい行けよ。2つのバンドの「soup of the day」。楽しんでくれたかい?

by 山口 洋