王子と鮨と枝豆とカフェ、富山県高岡市にて

2006/09/02, 23:32 | 固定リンク

9月2日 土曜日 晴れ 

 唐揚げ王子こと近藤智洋と、富山県高岡市に行く。二人とも充分な睡眠不足だったが、機中で眠れない俺は、王子に間断なく喋りかけて睡眠を妨害した。ふふふ。ところで、富山は空が広かった。このところ、空港から一歩外に出た時の感想と云えば、そればかり。でも、空が広いってのは、それだけで充分な財産だよ。
 主催してくれた渡辺君が富山湾の魚が美味な鮨屋に連れていってくれた。唐揚げとカレーライスが大好きな王子は鮨にも目がなかった。そして、その喰い方は子供のようだった。ふふふ。一通り美味なるネタを頂いて、「最後に何か?」と大将に聞かれた王子が間髪入れずに放った言葉は「あ、あの。トロ下さい」だった。
 たんぼのど真ん中にあるこのカフェはイングリッシュ・ガーデンと共にある。そしてゆくゆくは、老人たちが畑で働きながら暮らせる施設を目指しているのだそうだ。いつも無口なマスターは音楽を心から愛していて、我々の好きなようにやらせてくれる。渡辺君は地元に音楽が根付くように、仕事をしながら、力を尽くしてくれている。「こんなたんぼの真ん中に人は来るのか?」。第一、ここにはバスさえも走っていないのだ。でも、前回と同じようにその心配は杞憂だった。続々と車がやってきて、ほぼ地元の人々によって会場は埋め尽くされた。俺も週末ごとの旅に慣れてきたし、王子と共に俺は演奏することを心から愉しんだ。
 ガーデンには花が咲き乱れ、周囲の畑では作物が生の光を放っていた。眩しかった。その地に住む人たちにとっては、至極当たり前の光景なんだろうけど。マスターの夢も、渡辺君のヴィジョンも、着々と育っているように俺には見える。地方都市のたんぼの真ん中に、人々が音楽を愉しむために集う場所がある。嬉しいと云うか、羨ましいと云うか。地元の青年が育てた「枝豆」を喰った。わざわざ朝、収穫してくれたらしい。俺が今まで喰ってきた「枝豆」は何だったんだろう?。地元のシンガーたちとセッションしたんだけれど、それぞれに「おおらか」な歌だった。確かに空が広かった。

 心地良い疲れと共に、ホテルに帰って爆死。空や、想いや、ガーデンや、シンガーや、枝豆や、鮨や、喰らった数々の食べ物や、人々の顔や、くだらない歌や、エトセトラ。いろんなものから力をもらった。ひとこと、ありがとう。力を尽くしてくれた人たち、足を運んでくれた人たち。アルバムを完成させたら、また届けにきます。それまで、お元気で。会えた人も、会えなかった人も。多謝&再見。

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by 山口 洋