九州シリーズ最終日、佐賀にて

2006/09/20, 23:40 | 固定リンク

9月20日 水曜日 晴れ 

 まずはプロとして、どうかと自問自答しながら、来てくれた人にお詫びしたい。この日の俺の喉の状態は自分でもかつて経験したことのないほど、ひどいものだった。情けなかったし、恥ずかしかった。けれど、どうにもならなかった。一期一会のお客さんにとって、スケジュールがタイトであろうが何だろうが、何の関係もないことなのに、俺は音楽に心を込めることしかできなかった。楽器は換えがきくけれど、喉だけはどうしようもない。今後もこんなスケジュールで続けていたら、いつかその生身の楽器からは永遠に音がしなくなると思った。だから自分をきちんと管理して、自分の想いを伝えられる状態でいたい。歳を取ったことは素直に認めたくないけれど、ただ「体力」まかせでがむしゃらに走り続けることはもう止めようと思う。そんな事を今日のライヴから教えられた。

 地元に沢山協力してくれる人々が居た。タウン誌の編集長、巨漢のトミー(彼はコメディアンなのか、ミュージシャンなのか、プロデューサーなのか、何なんだろ?全部かもな)、素晴らしいブルースバンド「佐野マサル&スマイリーボーンズ」、そして逞しくなった大森洋平、それにつくす。みんな、ありがとう。まずは地元にメディアがあること。タウン誌の編集長は本当に音楽好きです。巨漢トミーは「on the road, again」で出会った日本奇人変人列伝の中でも5本の指には入ります。その奇妙キテレツな人生、居てくれるだけで和む空気、ダテに体重が俺の2倍あるわけじゃないっつーか。「佐野マサル&スマイリーボーンズ」。ブルースをその魂から演奏できる数少ないバンド。実際、久しぶりに俺もバンドと演奏したんだけど、貸してくれたギターでワシワシとリズムを刻んでんのは本当に愉しかった。音楽続けるのも楽じゃないけど、まだ何処かの空の下で会おうね。根拠はないけど、きっと大丈夫さ。君たちが独自の音楽を続けてる限り。大森洋平。初めて会った時はヒヨコみたいだっだけど、すっかり逞しくなって。故郷を遠く離れたこの地で、あれだけ受け入れられてるってのは素晴らしいよ。

 佐賀の街は、地方都市にありがちな苦境に立たされてるように見える。けれど、「笑い」を忘れず、アホみたいに音楽に熱中し、そこに集まってくるお客さんが多数居ることが、俺たち旅ガラスをひどく励ますのです。同じく地方都市からやってきてくれたレコード屋さんが、可能な限り九州シリーズに帯同してくれてました。己の利益だけでなく、それぞれがそれぞれの道を磨き、複合的にガッツを込めて活動していくこと。それは、いつか資本主義を越えて、人の心を繋いでいくことだと、俺は確信しています。俺にできること、まずは休養。で、アルバム作って、ベストの体調で戻ってきます。それまで、どうかお元気で。多謝&再見。心からありがとう。

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by 山口 洋