フライと驟雨

2006/11/11, 21:03 | 固定リンク

11月11日 土曜日 雨 

 数日前から、季節はずれの大量のハエの攻撃に悩まされていた。別に俺に危害を加えなければ殺生はしないが、奴ら、どうやらモニターと俺の身体が好きらしく、仕事中に気が散って、ウザいったらありゃしない。とうとう堪忍袋の緒が切れた。俺はキンチョールを手に片っ端から虐殺を敢行した。ちょっと心が痛んだけど。ウイリアム・ブレイクの詩に「蝿」というとても好きなものがある。殆ど今日の俺の心境と同じ。魚さんのメロトロンの名演をEQしながら、ふと目に入ったその屍は、もの哀しかった。すまん。フォーギヴ・ミー。
 山は昨日からずっと雨。土砂降りだと、ミックスも不可能になるほどだけれど。たまに雨が小休止して、遠くの景色が霞んで見える。まるで水墨画の世界に居るようだ。誰もこんな絵を描けないだろう。何か気候の急な変化がある度に、季節は冬へと歩みを進めていく。多分、今日から山の暦は冬。みんな何処へ行ったのだろう?もう麓へ買い物に下りることも、殆どなくなった。今は郊外店のけばけばしい看板すら見たくない。ただあるものを喰らう。締め切りまで余裕はまるでないんだけれど、心は穏やかに。そんな日々。

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by 山口 洋