飛ぶための羽根

2007/02/22, 18:17 | 固定リンク

2月23日 木曜日 天候不明 

 何だかんだと凄まじい勢いで日々は過ぎてゆくのです。モーレツに疲労が蓄積していたので、寝ました。とにも、かくにも寝ました。頭が痛くなるくらい寝て、結局音楽に復帰しました。昭和82年の作曲の続きです。昨夜、とある人物と話をして、普遍的なメロディーっちゅーもんが、過剰でも不足でもない「絶妙な位置」に落ちていることを学びました。また、やり直しです。普段自分の曲ではここまで詰めることがないから、この作業が俺にもたらしているものは大きいのです。長い間、音楽と携わることで、無意味なプレッシャーを取り除くことが出来るようなりました。「音と戯れる」。難儀な道だけれど、ようやくその入り口まで来たのかな、と頭痛と共に感じるこの頃です。

 はて、さて。ここからは羽根の話。
 もうずっと前の事だけれど、この国で音楽をやって生きていくことに辟易としていた時期がありました。世の中はバブル。でもどうしても、その考えについていけない。そんな時にネイティヴ・アメリカンについて書かれた本を読みました。目から全面的に鱗。「そっか、こんな生き方があるのか」。それからは日本語で書かれたそれらの本をよみあさり、じっとして居られなくなって、彼の地に何度も足を運び、現実と矛盾と色褪せない理念を学び、ヴィジョンクエストと云う「割礼」のような儀式もし、(中略)今に至ります。
 以来、ずっと僕の首には羽根がぶら下がっています。酔っ払うと、すぐ人にあげる癖があるので、もう何代目か不明ですが、風呂に入る時も、演奏する時も、眠る時も、ずっとぶら下がっています。装飾品を身につけるのはあまり好きではないのですが、これだけはもう身体の一部と化してしまったのです。生きていると、訳が分からなくなることがある。でも、これを見ると、あの「色褪せない理念」に立ち返ることができる。僕にとっては子供の頃から夢想してきた、飛ぶための羽根なのです。
 そんなに好きなら、作ればいいじゃん、とウチのスタッフであるチビが申しました。奴がヒートウェイヴの音楽の作り方に賛同してくれるジュエリー・ショップを探してきてくれました、俺はまだ行ったことがないけれど、話を聞く限り、その方のモノ作りの理念は素晴らしいものでした。羽根の裏側にひっそりと「espoir」と記してあるなら、そりゃ素敵だ、と思うのです。話が具体的になったら、またアナウンスします。

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by 山口 洋