人間の空洞

2007/06/28, 21:57 | 固定リンク

6月28日 木曜日 晴れ 

 打ち合わせ三昧。一度に沢山の人に会うと、確かに「人あたり」する。でも、それもまたlife。その中途にて、これを書いている。日々は生易しいものではない。
 今村昌平とマーチン・スコセッシの時空を超えた会話を聞いた。現代人の心に巣食う、「人間の空洞」についてのものだった。かくもややこしく、かくもクズ同然で、かくも美しく、そして愛すべき「人間」を描くってことがどれほどの事なのか、深く考えさせられた。俺もまた「人間の空洞」について、違う角度から考え続けているのなら、「人あたり」している場合ではないのだった。個人的に日本映画最高だと思えるシーンは、多分高校時代に観たはずだが、「復讐するは我にあり」で、三国連太郎が倍賞美津子を襲うシーンだった。かくも醜く、かくもエロティックで、同時にひどく美しかった。今村昌平が貧乏をいとうことなく、一心不乱に「人間の空洞」を追い求めるその眼差しは、確かに俺を励ますのだった。かつて、マーチン・スコセッシが受け取ったものと、それは似ているんだと思う。さぁ、俺は自分の道を行こう。

by 山口 洋