久留米のland of music

2007/11/12, 20:18 | 固定リンク

11月12日 月曜日 晴れ 

 何のかんの云って、疲労が蓄積していた。九州シリーズはイベンター「つくす」が帯同してくれている。だから、楽だ。小倉から福岡へ向かう「つくす号」の中で、すっかりくつろいでいたら、その一報はもたらされた。先日、俺のソロ・アルバムを置いてくれている店を紹介した(第二弾は近日中に、すまんね。)中に、久留米のサウンド・コスモっちゅー店があったと思う。商店街の中にある、アニメとロックに滅法強いレコード屋。彼等は時間が許す限り、バンドであれ、ソロであれ、素晴らしい品揃えで、ライヴ会場に現れ、レコードを売ってくれていた。最近、新しい場所に店を移して、営業を始めたばかりだった。移転祝いにインストア・ライヴをやるか、なんて軽口を叩いているところだった。一報によると、明け方に全焼したと。嘘だろ?おととい佐賀で会ったばかりだぜ、と。あれだけ気合いを入れて、仕事に没頭してる奴にそんな仕打ちはある訳ないだろ、とにわかには信じ難かった。
 急遽、我々は久留米に向かった。果たして、野次馬に混じって、彼等は立ち尽くしていた。2階は抜け落ち、一階の店舗は水びたし。おそらく商品は全滅。現場検証のため、彼等は立ち入ることさえ許されず。早朝の出火当時、店は無人で、火の気はまるでなかった、と。俺はかける言葉がなかった。でも奴らは確かにこう語ったのだった。「火事ごときでレコード屋は止めません」、と。「明日から商店街のワゴンを借りて、とりあえずこの通りで店を復活させます」、と。何だか、どっちが励まされてんのか分からなくなってきた。奴らはそれほど自分たちの仕事にプライドと愛情を持っているのだった。俺の疲労は何処かに吹き飛んだ。最近ライヴで「火を絶やさないでくれ」なんて事を口走ってる以上、俺も闘わなきゃいかんのだ。おまけに「しばらく、still burningは聞きたくないです」と奴らはギャグを飛ばすのも忘れなかった。もし、近郊に住んでいる人が居たら、仮店舗 - とりあえずワゴン - で店を再開する奴らのところで、CDをゲットしてやってくれ。俺も気合いを再注入して明日から九州ツアーを再開する。

by 山口 洋