表情考

2009/02/05, 14:15 | 固定リンク

2月5日 木曜日 曇り 

 「おー、愛と希望と忍耐」という歌詞がサビになるアラレもない歌に取り組んで、はや2週間。轍にはまったまま日々だけが過ぎていく。昔だったら、頭をかきむしって「俺って、このまま一曲も書けないまま死んでいくんじゃないだろうか」みたいな恐怖感に襲われるところなのだが、これが無駄な芸歴と云うものなのか、ヘンな焦りは殆どなく、ただ、点と点が突然線になって、光を放つ瞬間をじっと待つことができるようになった。これらが光を放たなければ、今年の活動は何も決まらないのだ。あはは。ままよ。焦らずたゆまずじっと歩こう。多分、道そのものが答えなのだ。

 たまにテレビをつけると、芸能人と呼ばれる人たちの表情にぎょっとする。異様に鼻筋が通っていたり、異様に肌が白かったり、異様に二の腕が細かったり。どんなに笑顔を浮かべていても、僕には能面よりも無表情に見えることがある。というか、怖い。先日、「オードリー・ヘップバーンは晩年の方が魅力的だったと思う」、とのたもうたら、居合わせた女性陣に「そんな事云って、目の前に若くてきれいな女性が歩いていたら目を奪われるくせに」と秒殺されたのだが、確かにそうかも、と思いつつも、人の美しさとはそんなものではない、と思うのだった。あのような表情の人たちが若者の憧れとなり、次から次に無表情な人間が量産されるのだとしたら、それは僕にとってホラー映画に等しい。大地に必然があって河が刻まれるように、人の顔には皺ができる。それでいいではないか、と僕は思う。なーんてことを書きながら、どうにかならんのか俺の歯並び、と思ってる時点で僕も洗脳されてるのかもしれんけど。でも、どう考えても、ある種のスポーツ選手の歯は白すぎる。

by 山口 洋