七転び八起き

2009/03/05, 02:55 | 固定リンク

3月5日 木曜日 晴れ 
 
 ミキシングをしていると、脳味噌の何処かがずっと覚醒していて、疲れているのに眠れない。無理に酒を飲んで、ようやくうとうとしていた午前5時過ぎに電話が鳴った。すわ、誰か死んだか、縁起でもねぇ、と。でも階下で鳴っていたので、間に合わなかった。残されたメッセージを聞いてみると「ヒロシさん、生きるって何ですか?情熱って何ですか?教えてくださいよ」云々。こいつ絞め殺したろか、と思ったが、憎めない男なので、許した。普段はとってもナイスで、真っすぐな奴なのだが、その真っすぐさゆえ、精神のバランスを崩して疲弊すると、安定剤と酒と云う最悪の組み合わせでの酩酊状態で電話してくる。つーか、攻撃してくる。まったく。でも、僕は何となく、このバカタレの気持ちが分からんでもない。そんな質問に応えられるんだったら、もっと楽に生きてるだろうけど。僕だって、未だに突然夜中に「哀しみの河」を渡ることがある。渡りたくないけど、それはどうしようもなくやってくる。そしてたいてい堤防は決壊する。人に迷惑かけちゃいかんけど、自分でコントロールできない、どうしようもない感情ってものを人間は内包してる。伝えそびれたけど、砂漠にでも行ってこいよ。自分の小ささに気づいたら、案外どうでも良くなるもんだよ。

 そんなこんなで。夕刻。ミックスが完了した、と一旦は思った。自分のために陣中見舞いの牛タンや、ブラジル納豆(絶品)を喰ってみたりして。そして深夜になって、最終チェックに出かけた。それはいつも車の中でやる。随分前にモーガン・フィッシャーが教えてくれたのだけれど、運転しながら聞くくらいが丁度いいのだ。第三京浜と横浜新道を折り返すと全てを聞き終える。でも、全然納得できなかった。各曲は良くても、通して聞くと印象がバラけている。がっくし。残すは体力と精神力と締め切りとの闘いになってきたが、ここまで来たらやり遂げる。ま、とりあえず、もう風呂はいいから、あんた寝なさい。

by 山口 洋