ボヘミアン・ブルー

2009/03/03, 17:10 | 固定リンク

3月3日 火曜日 雪 
 
 大切な人間を病院に連れていく。どんなに瀟酒な建物だったとしても、そこはほのかに死の香りがする。

 始めに一人死に、二人死んで、そしてとうとう誰も居なくなった。知らず知らずのうちに、そのことは深い影を自分に落としていた。振り返ってみれば、自分が悪かったことも多々あるし、どうしようもなかったこともある。簡単に書けば、「愛」が欠如していた。求めていながら、自分で壊すこともある。クリエイターにしてハカイダー。手に負えない怪物が自分の中に棲んでいた。だから、歌を書き始めた。稀にいい歌が書けたと思っても、それが自分を救ってくれる訳ではない。こうやってアルバムを作っていると「最悪」な時期にいい歌を書いていたりすることに気づく。かくも日々はアイロニック。人生をリハビリに例えるのはどうか、とも思うが、今は自立への最終段階に立っている気がしている。そして、自分には与えられた役目のようなものがあると思っている。答えは「道」の中にしかない。だから、行くのだ、と自分を奮い立たせてみる。

 帰りしな、都会の高速道路は積雪で凍結していた。北国の人がみたら、笑うだろうが、やがて高速道路は通行止めになり、渋滞は50キロを記録した。そんな時、ふとロックンロールの魔法は永遠だ、と思い、深く感謝する。それがなかったら、間違いなく、とんでもない人物になっていたことだろう。ややこしい道を来たのかもしれん。でも、後悔はしていない。ボヘミアン・ブルー。

by 山口 洋