88の煩悩、徳島県阿南市にて

2009/07/17, 16:10 | 固定リンク

7月17日 金曜日 曇り 

 四国に滞在して思ったこと。ここには人の繋がりが残っている。それはお遍路さんにまつわる文化なのかどうか、オレには分からないけれど。今日演奏させてもらったgogo music cafeはカフェに演奏スペースやスタジオが併設されていて、美味しいご飯を食べてる場所に、ひっきりなしにギター教室の生徒さんが現れるという、都会ではおおよそ考えられない空間。おじいさんが古賀政男を習ってたり、真面目なOLらしき女性がマイケル・シェンカーを習ってたり。おまけに僕らの世代にとって伝説のギタリストNさんが何故かお店にいて、フツーに料理を作ってたり、PAをやってくれたり、エトセトラ。お遍路の文化と、サーファー文化、音楽文化、ヒッピー文化の名残り、エトセトラ。それが絶妙にミクスチャーされている。そしてみんな良く働いて、太陽の陽射しを浴びて、声がでかくて、よく笑って、よく遊ぶ。ホテルに帰って、テレビをつけて、ふと考え込む。何だか、オレの都会生活はおかしいんじゃないか、と。このお店のオーナーと、50歳の農家の主人がやってるというバンドの音を聞かせてもらった。「波にのれーーーーー」と歌われるNさんプロデュースの音源を聞いて、それは確信に変わった。彼らは今をときめくディーゼル・ジャパンの社長の大のお気に入りなんだそうだ。それも何だか分かるなぁ。この音はこの生活からしか生まれないだろう。
 四国を五カ所。88にはほど遠いけど、オレも煩悩をたっぷり抱えて、プチお遍路をしてるような気分ではある。四国は人との関わりについて、繋がりについて、多大なインスピレーションを与えてくれてる。現実を見つめた上で、明るくまっすぐに生きること。そんな彼らに比べて、昨日のオレの音楽は暗かった。さ、明日は高松だ。阿南市、もう忘れんぞ。本当にありがとう。

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by 山口 洋