each word's a beat of my heart

2009/08/19, 15:14 | 固定リンク

8月19日 水曜日 晴れ 

 走り始めてどの位になるんだろう?二ヶ月くらいか。雨が降らない限り、多分4,5キロくらいをゆっくり走る。スポーツクラブでマシンの上を走るのは(走ったことないけど)、何だかハムスターみたいで嫌だ。なにがしかの「絶大な効果」があったとは思えないが、走っている時は何も考えない。それだけでも今のオレには充分。昔から走るのは好きだったけれど、すぐに膝が痛くなっていた。それも友達のアドヴァイスで、ランニングシューズを買うことで解決した。獣神サンダーライガーみたいな見かけが本当に好きになれないけれど(シンプルなデザインのもの、誰か作ってくれないかな)、テクノロジーは時に素晴らしいとも思う。何処に行くにも、このシューズを持ち歩いて、いろんな街を走っているうちに、時折襲われていた膝痛もまったくなくなった。
 昨日、都会に戻り、夜の街を走ってびっくりした。足取りが軽いのだ。この一週間ほど、山の中を走っていた。アップダウンもきついし、標高も1000メートル近かった。気づかなかったけど、ちょっとした高地トレーニングみたいなことをやっていたんだろう。なるほど。時間が全てを解決するとはこういうことか。疵もこんな感じで、癒えていくのかもしれないね。
 Mink DeVilleのヴォーカリスト、Willy DeVilleがNYの病院で亡くなったと。膵臓ガン。58歳。まだ学生だった頃、友達の家でよく流れていた。「each word's a beat of my heart」、マーク・ノップラーのギターが素晴らしい「southern politician」。そんな曲がとても好きだった。魅力的な悪党。誰かの歌じゃないけど、憎みきれないろくでなし。長田弘さんが「宝島」のジョン・シルヴァーについて「正義派の退屈さをわたしは宝島によって学んだ」と記しているのだけれど、まさにそのような人物だった。思い立って、彼のレコードを引っぱりだして、驚いた。彼の肩の上にはジョン・シルヴァーのフリント船長(鳥のあだ名)よろしく黒いオウムがとまっていた。あんたのファンは遠く離れたこの国にも居るんだよ、と。今夜はいつものバーにレコードを持っていって、マスターにかけてもらおうか、と思う。R.I.P。
 山の家から持ち帰った、母が遺した本を読んでいる。この人はオレと同じように、本に傍線や書き込みをしながら読む癖があるのだが、反応している部分の3分の1くらいがオレと同じ箇所で、オレがビビっときた箇所にはまったく無反応。なるほど、こうやって理解できたりすれ違ったりしてたのか、と今更ながら苦笑している。
 さ、明日から北海道。函館、札幌、旭川と廻ります。みんなに会えるのを愉しみにしています。

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by 山口 洋