グレッチ、お前の出番だ

2009/10/29, 15:12 | 固定リンク

10月29日 木曜日 曇り 

 これからはレースに向けて、クールダウンの時期。小雨の中、ゆっくりと10キロ走った。

 さぁ、いつもはクローゼットに超ハードなケースと共に「格納」されているグレッチを引っぱりだして、メインテナンスを施そう。このギターはheatwaveの歴史そのものだ。何回か軽い浮気はしたけれど、アマチュアだった頃から、ずっとこの一本だけを弾き続けてきた。ヴィンテージ・ギターとしての価値があろうがなかろうが、そんなことはどうでも良くて、オレは彼女を墓場まで持っていくだろう。
 この数年間、エレクトリック・ギターを弾きたいと云う衝動がまったくなかった。出来るだけ身軽に旅しなければならなかったこともあるのだが、日本中をヤイリのギターを抱えて旅をしているうちに、エレクトリックとアコースティックの違いが、そもそもどうでも良くなってきた。気がつくと、アコースティック・ギターなのにエレクトリック・ギターのような音がしたりして、必要は確かに発明の母でもあった。でも、今回のツアーは弾こうと思った。去年まで、オレは一度も彼女を病院に入れたことがなかった。他人に触られるのが嫌だったからだ。でも、もう限界だった。フレットはすり減り、あちこちにガタが来ていた。「この人ならヒロシさんでも絶対信用できると思う」と日本一、いや世界一かもしれないグレッチ専門のリペアマンを紹介してくれたのは、川村カオリちゃんだった。グレッチ入院の日にはわざわざ立ち会ってもくれた。そしてグレッチは完璧に息を吹き返した。このギターには少しだけ彼女の想いも入っている。だから、魂を解放するために弾いてみようと思う。

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by 山口 洋