ジョンの魂、そしてRun for マサル

2009/12/09, 18:11 | 固定リンク

12月9日 水曜日 曇り 

 ジョンの命日に、アナログ盤を持ってきてくれた人物が居た。彼の音楽は細胞の隅々にまで血や肉として入っているものだと思っていたが、ジョンが亡くなった齢を5つも超えて、あらためて聞いてみると、その才能、ヴィジョン、葛藤、軋轢、凄まじい人生に、あらためてのけぞるしかなかった。今も昔も一番好きなアルバムは「walls and bridges」。うちにあるアナログ盤は自ら命を絶った友人の形見だ。一番好きな曲は「nobody loves you」。昨夜、邦題を知って驚いた。「愛の不毛」。そりゃないだろうと、ライナーを読んでみたら、当時の東芝EMIの担当ディレクターは知り合いだった。今度会ったら、その邦題はないっすよと伝えておこう。「愛は不毛」ではない。ジョンはアイリッシュの血を引いている。今まで気づかなかったけれど、アルバムには自分がアイリッシュであることのアイデンティティーについて、切々と書いてある。そしてそこにもDonegalの文字が。そうだったのか、とジョンの命日に。導かれて、オレもあの土地にたどり着いたのか、と。一番好きな表情は亡くなる直前の「ダブル・ファンタジー」。ジョン40歳。穏やかでいて、強い意志がその目に宿っている。彼は「愛」に生きた人だと思う。母の愛への葛藤が、彼をあのような人物にした。シニカルなところはデッド・パンそのもの。そしてヨーコに出会って、紆余曲折があって、素晴らしい作品を我々に遺してくれた。逃れようのなかった「経験」。それに感謝しながら、作品に昇華することの素晴らしさを今更ながら教えてくれる。オレは曲を書き続けようと思ったよ。ありがとう。ジョン。

 そして今日は我が友、マサルの命日。もう一年も経ったんだね。あんたが居なくなって、オレは寂しい。いろんな人間に来ないか、と誘われたけど、まだ勘弁してくれ。泣いたら止まらなくなる。その位、オレは女々しい。だからあんたの魂のために走った。今日も海は穏やかだったよ。いつだって、あんたはオレの心の中に居る。いつだって会えるさ。あんたが大切にしてた家族や友人たちをこれからも見守ってくれ。この前とある人物に云われたんだ。イタズラ好きな友達がオレにはくっついていて、その男がオレに酒を飲ませて悪さをするってね。そんなの前述のジョンのレコードをくれた奴とあんたしか居ない。もうオレは酒に飲まれることもない。変わったんだ。だから、もう大丈夫さ。あんたと作った作品はメゲずに世界に伝えていくよ。ありがとう、マサル。
 
http://www.youtube.com/watch?v=bAn_GDrMEaI 

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by 山口 洋