飢餓状態

2009/12/04, 15:50 | 固定リンク

12月4日 金曜日 晴れ 

 異変その1。
 頂き物のローストビーフの塊を観た瞬間。「これを塊のまま、今すぐ喰いたい」と云う衝動に駆られた。気づいた時には、まるで原人みたいに両手でそれを抱えて、手も洗わないまま、立ったまま、むさぼり喰っていた。完食。普段、オレは好んで肉を喰わない。まして、レア状態のものは好きではない。しかし、「原人喰い」したレアのローストビーフは美味かった。狩りをした後のご褒美みたいな感じだった。
 
 異変その2。
 夜中に突然、「シュークリームが喰いたい」と云う衝動がやってきた。もう日付が変わろうとしているのに、老舗のお菓子屋のボンに電話して「シュ、シュークリームが喰いたいんじゃー」と云って、電話を切った。ボンは家路に着いていたのに、わざわざ会社まで戻って、シュークリーム一式を持ってきてくれた。(ありがとね!!)箱を開けて、オレは2個、原人喰いした。オレの普段の食生活を知っている人が観たら、失神したかもしれん。オレは甘いものはまったく喰わない。もう何十年も喰いたいと思ったことがない。しかし、シュークリームは美味かった。砂糖が全身に廻っていくのが分かる。

 いまどき、こんなに飢えてるのは市橋容疑者と断食中の渡辺圭一とオレくらいだと思う。思うに、身体中の脂肪は全部燃えてしまったんだと思う。脇腹にあるほんのわずかな贅肉を除いて、もう何もない。マラソンの師匠ゲンちゃんが、「とにかく、喰ってください。ご飯だったら2合くらい。この運動は一日に軽く1000キロカロリー以上消費しているので、それ以上の補給をしてください」。うーん、なるほど。何だか、原人級の食欲が湧いてくる自分がそんなに嫌いじゃない。

 これまでは解剖学とか運動生理学だったが、これからは栄養について学ばなければ。グリコーゲンやアミノ酸。それらを身体に取り込んで、効率良く使わなければ、必ず後半バテる。ガソリン切れ。これまでに読んだあらゆる巻物によると、相当無茶なスピードで前進しているし、自分が掲げた目標にも着々と近づいている。ただし、これからは自分の身体に「燃料」をちゃんと補給しなければ危ない。実際、明後日は三度目のレースなのだ。今日あたりから考えて食事をして、きちんとガソリンを入れておこうと思う。実験だ。

 嫌いだったものも、きちんと身体が欲するようになる。それもまた面白い。身体は相変わらず固いままだけれど、毎日のストレッチで少しづつ柔らかくなっている。昨日、見せてもらったゲンちゃんのマラソン日記はオレが今、克明に記録しているものとほぼ同じだった。ラップ、その日の目標、天候、体調、エトセトラ。それらをデータ化すると、いろんなものが見えてくる。初マラソンで4時間を切ったからと云って、何がもらえる訳でもないけれど、多分、駆り立てられているのは、「達成感」とその先にある光のようなものだと思う。

 月末にある今年最後のライヴ。小坂忠さんの曲の譜面が送られてきた。その中に「I believe in you」と云う曲があって、「またか」と思う。オレもまったく同じタイトルの曲を書いているところだったからだ。何だかねぇ。本当に不思議だ。

 12/26のライヴ。おおはた君からメールをもらった。彼の演奏は本当に素晴らしい。一緒にやってみたいと思う数少ないミュージシャンのひとり。まだ彼の音源が届いていないから、どんなライヴになるかは不明だけれど、是非観に来てください。HWとはまた違った音楽の風景を描けると思うから。

by 山口 洋