確かな光、46歳になる。渋谷にて。

2009/12/26, 13:39 | 固定リンク

12月26日 土曜日 曇り 

 前夜。バーで。ライヴに向けて昂る気持ちを鎮めるため、静かに飲んでいた。日付が変わって、ロウソクのついたケーキが突然運ばれてきた。唖然。居合わせたお客さん全員で誕生日を祝ってもらった。何故か隣の席にはリクオが居たな。ありがとう。本当に嬉しかったよ。みんなの心遣いが。

 さぁ、今日はワンダフルなオカピー、おおはた君とライヴ。リハーサルをやるべきところと、本番に楽しみを取っておくところ。そのあたりをツーカーで理解してくれるから、とても楽しい。どっちみち二人とも本番になったら、どんな演奏をするのか自分でも分からないのだ。あはは。リハーサルを終えて、彼は渋谷の街のパトロールに出た。そして彼はエロ・ジャケ買いをしたと云うアナログ盤を三枚プレゼントしてくれた。ありがとう。
 この数年、エレクトリック・ギターを弾きたいという衝動はあまりなかった。でも、そう決定的に思わせてくれたのは彼の音楽だった。リハーサルは一度きりだったけれど、ステージに上がると、お互いのいい部分が自然に引き出されていく。いやはや、何だか、無茶苦茶楽しい。誰かとギターを弾くことって、こんなに楽しかったっけ。忘れてたよ、オレ。それにしても彼のポテンシャルは素晴らしかった。反応が速い。この国で、ギターと歌っちゅー楽器で、あれほど会話が出来る人間が居るとは思わなかった。
 アンコールになって、彼がヘンなフレーズを弾き始めた。不穏な空気。ううっ。ハメられた。ステージにケーキが運ばれてきて、オーディエンスとおおはた君による「happy birthday」の大合唱。だ・か・ら。最近、オレは涙腺弱いって云ってるだろ。でも昔だったら、照れて終わりだったけれど、素直に嬉しかったよ。これだけの人間たちに祝ってもらえることが。心からありがとう。生きてて良かった。史上最高の誕生日だったよ。

 楽器を握って何年になるんだろ。14歳の誕生日だったから、ちょうど32年だね。でもね、あの時の気持ちとまったく変わらずに音楽に向かうことができるなんてね。これ以上の幸福は何処にもないと思う。オレとおおはた君はただ楽しかっただけじゃなくて、音楽で「ひかり」を描こうとしてたんだと思う。オレがときどきマラソンコースで観てる、あの「ひかり」。それさえあれば、大丈夫さ。きっと。彼の歌で特別に好きなものがあって、オレは確かにギターを弾いていたけど、半分はオーディエンスみたいなヘンな感覚を味わっていた。その時、オレは「ひかり」を観てたんだと思う。もう何も考えていなかった。願わくば、年末の忙しい中、働いたお金でライヴを観に来てくれたオーディエンスにも、それが伝わっていますように。

 今日一日でどれだけの「おめでとう」を云われたんだろう。ひとりひとりにお礼を云います。本当にありがとう。沢山の、持ちきれないほどの、メッセージ、メール、電話、プレゼント、エトセトラ。本当にありがとう。おおはた君とはどんな形でか不明だけれど、また何かをやるでしょう。今回のライヴはマネージャーの発案だったんだけれど、奴に云いました。「お前と10年以上仕事してきたけど、今日がベストだ」って。ありがとう。来年出る、彼のニューアルバム。素晴らしいよ。そのツアーが始まったら、オレはフツーにファンとして観に行こうと思います。

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by 山口 洋