愛の歌

2010/01/06, 19:06 | 固定リンク

1月6日 水曜日 晴れ 

 どうしてそこまで走るのか、と会うたびにいろんな人に云われる。去年のある時期に、生きることをゼロから真剣にやり直そうと思ったからだ。背負ってしまった過去や、過ちや、ダメな自分や、すべて受け入れた上で、何もかもゼロからやり直したかったからだ。トシを取ったから、やり直せないことなんて、オレはないと思ったからだ。最大のつまづきから這い上がろうと心に決めたからだ。でなきゃ、生きてる意味がない。自分を叩き直して、本物のひかりを獲得したかったからだ。ひとつひとつ、走りながら、しらみつぶしのように向き合って、ようやく大事なものが見えてきた。あぶり出しの文字のように。チャプター2の始まり。オレに何ができる?広義に云って、もう愛の歌しか書かないと思う。今日、誰かの美しい文章にあったのだけれど、国家さえ嫉妬するような本物の愛の歌。自由に生きよう。人は空を飛ぶことができるはずだ。長生きしたいという願望はない。でも、「ありがとう」と感謝して、笑って死にたい。「人は生きたようにしか死ねない」。本当にそう思う。願わくば、自分が両親の愛の産物であるとするのなら、生きたように後悔なく笑って死にたい。美しくありたい。どんな時も、まっすぐで折れない心が欲しい。自分を愛で満たして、誰かを心から愛したい。ただ、それだけだ。

 友人に「あんたみたいに暑苦しくまっすぐな男は観たことがない」と失笑された。オレもそう思うよ。暑苦しい。でも、今はクールには生きられない。仕方ないさ。

 ビルドアップ走を始めた。1キロごとにラップを10秒ずつ上げていく。最後は心臓が口から出そうになるくらいまで追い込む。ニンゲンの脳味噌は快楽を追求するように出来ている。それに抗う訳だから、正直しんどい。呼吸と云うよりは「あえぎ」以外のなにものでもなくなる。あー、こんな姿誰にも観られたくないと思いながら涙目で走っていたら、向こうから同じような顔をして走ってくる男が居る。何だよ、ヨシミじゃん。お前、仕事サボったのか?バカだな。奴が何を目指して、あんなに自分を追い込んでるのか、そんな野暮なことは聞かないけれど、あいつのド根性にはいつも励まされてる。

 さぁ、歌を書こう。

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by 山口 洋