不安

2010/03/27, 23:24 | 固定リンク

3月27日 土曜日 曇り 

 心の中には「不安」しかなかった。こんな身体で走れるのか。まっすぐ歩くことさえ困難な僕が。無様な姿をさらしたどうしよう。僕は明日、近所のヨシミ(36)と初めてのフルマラソンに参戦する。ツアーの宿なんて自分で取ったことはない。海外でもそれは同じ。でも、今回はエントリーと同時に、でっかい部屋をブックしたのは僕。
 ヨシミが家に来るまで、僕は普段着でJOGをしてみた。うーん、微妙。階段落ちで痛めた数カ所が、走りに絶大な影響を及ぼしている。どうにもならん。実のところ、フルマラソンを3時間30分で走れる練習をしてきたし、その自信もあった。何故なら3時間を切るメニューをこなしていたからだ。でも、この身体じゃどうにもならない。考え得る治療は全部やった。でも、一番効いたのは「ロキソニンバップ」で、それは島根に住んでいるガンを患った友人が、命を賭けて、僕のために岡山まで運んでくれたものだった。ロキソニンは処方箋がなければ手に入れられない。奴は自分の疼痛を押さえるための薬を僕にくれたのだった。金本。お前の魂を僕の身体に貼ったぜ。そして僕は全力を尽くす。お前のためにもな。
 ボロボロの身体に温泉は効いた。とにも、かくにも。なるようにしかならん。逃げるのだけは嫌だ。身体が云うことを聞かなかったら、壊れる前に棄権するしかない。たかがマラソン。でも悲壮と云えば、そのままだった。とにかく寝よう。だだっ広い部屋にはヨシミのイビキがこだましていた。

by 山口 洋