最終コーナーを曲がる

2010/07/31, 15:06 | 固定リンク

7月31日 土曜日 晴れ 

 この二月の忙しさは尋常ではなかった。忙しいと書くのは好きではないが、実際忙しいのだから仕方なかった。スケジュールを見たときに、「こりゃ乗り切れんかも」と一抹の不安がよぎったので、とにかく暇を見つけては「餌」を喰い、バテないように、どうにか時間をやりくりして、徹底的に走り込んだ。暑さから逃げるのではなく、暑さと向き合って順応していく方法を選んだ。結果、二月で600キロ走り、身体は職業不明な感じに真っ黒に焼け、どうにか乗り切ることができた。自分で「餌」を作る時間はなかったので、摂取カロリーが消費カロリーを上回るように徹底的に喰った。おかげで、レストランのメニューを見ただけで、「あ、これは1200キロカロリーね」なんてことが分かるようになったが、そんなの全然嬉しくなかった。
 昨日、宮城県でのイベントを終えて、僕ひとり「弾丸ツアー」のように、往復800キロをぶっ飛ばして帰ってきた。イカれてるとは思うが、時間は待ってはくれないから仕方がない。本当はこのイベントで「終わり」のはずだったのだ。でも、そうは簡単に事は運ばない。ボックスセットはデザイン、原稿、マスタリング、すべてがパーフェクトな仕上がりだった。そして、映像だけは、「僕は立ち会わないんで、やっといてください」的な態度を貫いていた。あの当時の映像を見るのは決して楽な作業じゃないからだ。しかし、送られてきたDVDを見て、他のものとの歴然とした「愛」の差に愕然とした。こりゃ、いかん。やっぱり自分が向き合って最後まで貫徹しなければ、ファンに向かって「素晴らしいものが出来たんで、家族会議にかけて、手に入れてください」なんて台詞は吐けない。映像そのものはどうにも出来ない。けれど、せめて音だけはきちんとリ・マスタリングすれば、かなり変わる。けれど、レコード会社の予算も尽きた、と。そりゃ納得できる。僕が「任した」と云う態度だったので、その分は予算に組み込まれていないのだから。今どき、レコード会社にも無尽蔵に金があるわけじゃないのだ。僕は担当者氏に懇願して、プロモーションビデオに関してはリマスターした新しい音源に差し替えてくれるように、そしてライヴ映像に関しては、僕が自力でリ・マスタリングするから、と。そんな訳でクーラーが苦手な僕は大量の汗をかきながら、仕事部屋にてライヴ映像のリ・マスタリング作業に取り組んでいます。もうすぐ最終コーナーを曲がります。あとちょっとだー、頑張れ自分。

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by 山口 洋