ブレイク・スルー

2010/08/11, 10:44 | 固定リンク

8月11日 水曜日 晴れ 

 まずはこの映像を見てください。

 http://www.youtube.com/watch?v=dAhs6rTG0UM

 ここ数年、共にモノを作ってきた映像チーム「mood films」との最初のやり取り。僕が発した「あの、ひかりなんで、どうぞよろしく」と云う無茶なリクエストに対する最初の応えがこの映像。彼らの頭にも当初でっかい「?」が浮かんだはずで、この映像を観た僕の頭にも「?」が浮かびます。でも誤解を怖れずに云えば、このふたつの「?」の間にある距離こそが、僕の望んでいるものだったりもします。しばらくして、敢えて「狭い」風景にこだわった彼らの心意気を理解します。「狭い」ことは「広い」のです。やがてそこにおぼろげに次の道が見えてきます。僕は彼らのヒントになりそうな、あられもない新しい曲を彼らに送りつけます。また新しい「?」がきっと彼らの頭に浮かび、航海は続きます。いつも彼らと会って話すことはただひとつ。怖れずにとことん行こう、と。もちろん多少の恐怖はあります。本当に何処かに着地するのか?でも、その恐怖を喜びに変えていくのが僕らの仕事だと思っています。見せすぎて、皆さんの愉しみを奪わない程度に、今回のツアーはモノ作りの現場も伝えていきたいと思っています。迷わず、足を運んでください。

 ボックスセットのグラフィック・デザイナー、スントー・ヒロシから更なる修正原稿が送られてきました。全力を尽くして、いいモノが完成し、アホな打ち上げも済ませたはずなのに、まだ諦めない。その心意気に頭が下がります。はからずも、その原稿には「船を建造している」図版が追加されていました。「ほほーーっ」と僕は唸ります。確かにずっと僕らが取り組んできたこと、映像チームが唸っていること。それをヴィジュアル化すると、このようなことだ、と。また力をもらうのです。

 そんな事を考えながら、僕は車のハンドルを握っています。ときどき、移動しながら考えるのです。定点に居ないことによって「動く発想」が得られることもあります。僕の右手にはジュエリー・デザイナーNくんが作ってくれた新しいリングが装着されています。随分馴染んできました。このように「根拠のない確信」はすれすれのところで、繋がっているのです。あとはそれらの精神をバンドという肉体で突破する。ブレイクスルーする。ふつふつと気持ちは盛り上がっています。

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by 山口 洋