誕生日にロック難民、北海道函館市にて

2010/12/26, 20:14 | 固定リンク

12月26日 日曜日 雪 

 とにかく、blogを書く体力も、鞄から一眼レフを取り出す体力も、何も残っていないのが実情。洋服を着替える気力もないが、とりあえず風呂だけは入ろう。オーディンスに失礼だし、冷えきった身体を温め、気持ちを切り替えなきゃ。サイトー・ヒロシに温泉に連れていってもらった。生き返った。そして、車は弘前に置いてきた。帰ってきた頃には雪にすっかり埋まっているだろう。ここからは電車で函館を目指す。
 ウサギ2匹。楽器と荷物を背負って、弘前から電車に乗る。もはや、ロック難民。今日のライヴで使う体力だけは取っておかねば。列車は美しく厳しい風景を抜けて、どうにか函館にたどり着く。
 函館山の麓に「草苑」はある。もはやその素晴らしさは云う事なし。僕らのライヴを主催してくれる連中の街への根ざし方はすっかり板についてきた。オーディエンスに用意された食事も素晴らしかった。後はウサギどもが奇蹟を起こすだけ。何が起きたのかなんて、野暮だからここには書かない。旅の過酷さと、人々のあたたかさ、街の息づかい。いろんなものが相まって、僕らは草苑で奇蹟を起こした。音の粒や結晶が吹雪のように、ときにはハラハラと舞っては落ちた。そしておかぴーが遂にぶっ壊れた。本人いわく、ザッパとロバート・プラントとジミー・ペイジが同時に降臨してきて、手に負えなかったのだと。日本各地のオシャレカフェで演奏し、女性のハートをわしづかみにしている先生にこんなことをさせていいのだろうか?いや、僕がやってくれと頼んだのではない。彼が「無」のままぶっ壊れたのだから、いいんだろう、これで。
 最後の曲を演奏する前に、またしてもケーキが運ばれてきた。オーディエンス全員がおおはた君のギターをバックに歌ってくれた。毎日、泣くのを我慢するのが大変だった。でもね、今回ほど、俺って愛されてるなぁ、と実感したことはない。苦しいこともあったけれど、続けてきて本当に良かった。云う事なし。心から、ありがとう。
 おかぴー先生がライヴが終ったあと「締めましたね、僕たち」とぼそっと語った。ありがとね。山形に行く途中に見た虹はこういう意味だったんだね。

キャプション
1. テスコよ、あれが函館山だ。
2. 打ち上げで、本年最後のライヴをぶちかますウサギ二匹。先生のギャグはキレキレで、笑いすぎて腹筋が痛い。史上最高の誕生日だったよ。本当にありがとう。
3. 本年3度目のケーキです。感謝。

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by 山口 洋