アナログ盤のすすめ

2008/11/12, 14:23 | 固定リンク

11月12日 水曜日 曇り 

 何を今更と云われても、自分が暮らすスペースで、アナログ盤を聴くことができる環境を整えてからと云うもの、豊かな時間を過ごしています。まず、旅をしていて、それぞれの街でレコードを探している時間が愉しい。今時、レコード屋なんて酔狂な職業をやっている輩には「こだわり」があって、豊富な商品知識を持っている。その会話がまず愉しい。掘り出しものを見つけたら、思いがけず嬉しい。家に帰って、針を落として、曲が飛ばせないのがいい。稀に忍耐を強いられるけれど。ミュージシャンがそのアルバムで表現したかったことが、CDとは違う形で伝わってくる。そして、音が耳に優しい。適度に盤や針のゴミを取ってやらなきゃならないのも愉しい。時間が来たらひっくり返すのも愉しい。要するに音楽に能動的に関わってんのが愉しいってことです。
 我が家のテレビをたまに観ると画面に「アナログ」っちゅー文字が映し出されます。しかも14型なので、画面が小さすぎて映画なんて観る気にもなりません。うーん、こりゃ買い替えるか、と先日電気屋に行ったのですが、あまりの高性能、高画質っぷりに映っていたタレントの毛穴まで見えそうで、俺の日々には必要ないわい、と買わずに帰ってきました。でもね、芳醇な音楽を聴いていると、スピーカーの間に風景が見えます。それは、自分の心象風景と微妙にリンクしていて、そこからインスパイアされることも多いとです。便利になって失われること、そこには気をつけていたいです。今日は近所の店で昨日買ってきたアル・クーパーのアルバム(700円)を聴きながら、これを書いています。充分にリラックスしたら、自分の音楽に向かいます。

by 山口 洋