天晴! 三宅伸治。

2009/05/06, 10:45 | 固定リンク

5月6日 水曜日 雨 

 今日という一日は「三宅伸治」に尽きる。彼のプロ根性、師匠への愛に深く感動した。彼とは二十年前くらいに知り合った。お互い若かったし、九州人だし、ここには書けないようなオイタも共にやったことがあると思う。えへへ。彼が清志郎さんとずっと一緒にやっていることも知っていたし、数日前に棺を担いでいるのも、ニュースで見ていた。彼の心中を思うといたたまれなくて、行きの新幹線の中で、オレが今までにもらってきた愛で心を満たしておこうと思った。
 実際のところ、スケジュール的にも、精神的にも、彼は憔悴しきっていたんだと思う。起きてしまったことと、葬儀と、ライヴと、心労の狭間の中で。けれど、ステージでは微塵もそんなところを見せなかった。日本のジョージ・ソログッドと云うより、三宅伸司そのものだった。弔いのドライヴとでも云えばいいんだろうか。ロックンロールってすげぇ、と僕は思った。彼は良い意味で、20年前と何も変わっていなかった。アンコールで「雨上がりの夜空に」を一緒にやろうと云われたけど、「今日は一人でやった方がいいよ」と僕は応えた。こんな風に何かは誰かに受け継がれてゆく。そのアンコールの後、彼は客席に約一分間、頭を下げたまま、動かなかった。その光景が美しかった。そもそも、転換のBGMが全部、清志郎さんだってのが、どうなんだろうとオレは思っていたのだけれど。別れしな、彼に「身体に気をつけてね」と云ったら、彼は「お互いこれからだよ」と確かに云った。あんた、サイコーだよ。師匠もきっと見てたよ。その時、楽屋のモニターにはライブ後、抱き合って泣いているオーディエンスの姿が映し出されていた。
 オレは恥ずかしいけど、心が澄んできた気がする。今日、云われたんだ。ヒロシはご飯を心で食べてるでしょ。だめだよ、ご飯は身体で食べなさい、と。自分がもらってきた愛で心を満たしなさい。そして、たまにはちゃんと自分も愛してあげなさい。あんたベルトがだんだん細くなってる場合じゃないのよ。ヤツレてる場合じゃないのよ。人は突然この世から居なくなるのよ。だから、いっぱい食べて、いっぱい笑って、元気でいなさい。愛してる人を心から愛し続けなさい。それって清志郎さんが云ってたことと一緒じゃんって。
 三宅伸治。ありがとう。また、何処かで元気に会おうぜ。そして、今度は一緒に演奏しようぜ。ありがとう、元気でな。

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by 山口 洋