圧倒的な光、沖縄県那覇市にて
2010/07/11, 18:38 | 固定リンク
7月11日 日曜日 晴れ
見てください。この圧倒的なまでの「ひかり」。何処かを狙って撮影した訳じゃありません。ホテルの前のフツーの光景です。写真でもだけれど、視覚も見事にハレーションを起こします。那覇空港を降り立った瞬間、「ここを走るのは自殺行為だ」と。太陽の光に焼き殺されるか、自分が蒸発して消えてしまうか。沖縄は既に梅雨があけ、突き抜けるような青空。「俺が雲だ」と云わんばかりに真っ白い意思が浮かび、梅雨のまっただ中から来た人間にとっては、目の前の「膜」がすべてすっきりと抜け落ちたような感覚。ただ、ひとこと。圧倒的な生命の力。
今日、ライヴをやらせてもらう「桜坂劇場」は僕にとって、理想的に文化が交流している空間です。文化の有機的十字路。そこには大小2つの映画館、カフェ、本屋、レコード屋(もうすぐ移転)があり、市民大学ではたくさんの講座が開かれています。公開されている映画もこだわり抜かれたラインアップ。ハリウッドものと比べると、集客は決して楽ではないと思うけれど、東京のミニシアターをすべて集めたような気骨を感じます。若いスタッフが生き生きと働いています。三重県亀山市の「月の庭」を主宰していた我が友、マサルが亡くなって、彼の地の文化が20年遅れたと云われてますが、那覇に「桜坂劇場」がなければ、それと同じことが起きるはずです。
我々のようなタイプの人間が孤軍奮闘する時代は終ったのかもしれません。時を同じくして、ワールドカップの決勝があり、選挙があり、自分のライヴがある。フットボールは巨大ビジネスと化しているのだろうけど、その決勝戦は研ぎすまされた人間たちの最高峰として、素晴らしいものでした。ありゃ意思の芸術だ。アスリート以外、誰も立ち入れない崇高な世界。おそらく、醜いにも程があるビジネスの上で、守備的ではないパスサッカーが一瞬のチャンスをモノにして勝利をおさめる。学ぶことはたくさんありました。選挙の結果についての感想はここには書きたくないのです。何も期待はしていなかったけれど、想像通りだったわけで。ザッツ・日本人のメンタリティー。突然、僕は思ったのです。孤軍奮闘していたのではダメだ、と。このままだと自分をすり減らすだけで、何も変えられないまま自分の命が尽きるだけだ、と。僕の兄貴が云うように、「夢や希望や愛」は本質的に大切なものだけれど、自己満足や、自分へのエクスキューズとして、その言葉を使ってはダメだと。それよりも、マーケティングや効果的なプロモーション、その雑用の方が「孤軍奮闘」を続ける者たちにとっては遥かに重要なことではないか、と。那覇で思い至ったのです。
泡盛を飲みながら、沖縄のミュージシャンと語ったのです。桜坂劇場が立ち行かなくなるようなことがあれば、それは僕らの責任でもある、と。どうか、あの磁場を大切にして欲しいと思います。
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