ランニング・バイブル
2010/10/26, 15:51 | 固定リンク
10月26日 火曜日 曇り
10月は早々と走行距離が300キロを超え、「うーん、俺もなかなかタフになったもんだ」と毎日、手を変え、品と変え、いろんなことを試していたら、やっぱり痛みがやってきて、昨日から足をひきずって歩いています。今までにいろんな巻物を読んではみたけれど、心に決定的にヒットするものはなく、結局は自分がギターを身につけたときのように、自分の感覚、あるいは身体が発する声を聞くことが大切だと思います。痛みが来る前には必ず「もう止めてください」と身体が云っていたにも関わらず、それを無視したツケがやってきてるだけのことで。多分、今の僕が月間500キロを走ったなら、何処かが疲労骨折するでしょう。そうすると、僕は毎日の「無」になる愉しみを自らが奪うことになる。そのバランスを取るのが自分の性格上難しいのです。どんなに優れたランナーでも、ひとつき運動しなければ、タダの人。休養を3日取ると、筋肉は退化を始めます。「鍛えろ。でも無理はするな」。その言葉通りです。
師匠のゲンが「ヒロシさん、そろそろ心拍数をコントロールして走ってみてください」と云うので、このところ心拍計を付けて走っていました。距離やラップではなく、心拍をコントロールすることに集中して走る。心臓は自分の意思とは関係なく動いていると思っていましたが、ところがどっこい、ネイティヴ・アメリカンのように、ある程度はコントロールできることに驚きました。例えば、「うーん、今日はこのペースでもしんどいな、何とかbpmを140くらいにしたいな」。そう思っていると、bpmが下がってくる。それを繰り返すと、以前よりも少ない心拍で「速く」走れるようになってくる。つまりは、そう念じることによって、無駄な力が抜けてリラックスしていく。どんな道でも同じところに繋がっているんだなぁ、と。
何がしかのレースに出れば、持っているポテンシャルの120%が発揮される。それは確かなのだけれど、そのことに対する興味が日々薄れてきたと云うか。もとより他人と競うことが目的ではないし、僕は暗闇の海沿いの道や、山の中で雷雨に打たれながら走ってるのが好きなだけなのです。「そんなこと云わずに、年に一度の運動会と思えばいいじゃないですか?」、それもそうかもしれん、とは思います。ただ、表現する者にとって、一番必要なものは「体力」です。音楽を作ることは、そこに希望を込めることは、心に巣喰う暗闇に向き合うことでもあるのです。「体力」がなければ、そこから戻ってくることが出来なくなる。その恐怖がオーバートレーニングに駆り立てているのかもしれません。「鍛えろ。でも無理はするな」と云う言葉は、何十年も前に書かれたアーサー・リディアードの「ランニング・バイブル」に載っています。この本はゲンが教えてくれたのだけれど、無骨で好きです。
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