降り止まない雨はない

2005/10/12, 18:07 | 固定リンク

10月12日 水曜日 晴れ 

 ほぼあり得ない日々だった。約3年に渡って、俺の日々は呪われていた。100%、俺が正しいと主張するつもりはない。俺はそんなに正しい人間ではない。けれど、どう考えても、巻き起こる事柄の数々は理不尽の極みに達していて、それは笑ってしまう位に前厄、本厄、後厄っちゅーもんと合致していた。暴力、誹謗中傷、恫喝、人格障害、噂の流布、盗み、破壊行為、エトセトラ。俺がキレて、「目には目を」をやってしまうと、今度は俺が犯罪者になる。だから、警察に何度も足を運び、状況を訴え、守ってくれるように頼んだが、現場検証に来た刑事は「うわぁ、ヒドいですねぇ」と云うだけで、捜査を確約してくれなかった。あり得ねぇ、と思ったが、俺に出来ることはそれだけだった。
 自分の身は自分で守るしかない。結局のところ、助けてくれたのは多くの友人たちだった。間違っていることは間違っている。正当な手続きを踏んで、やれることをやることでしかない。弁護士、裁判所、税理士、司法書士、エトセトラ。今までに何の縁もなかった職種の人々とやり取りし、意味不明な言葉の数々を学び、数限りない手続きを繰り返し、思うように進まない状況に何度も絶望的な気分になり、役所と云う役所に行き、無数の書類のやり取りをし、そして今日、ようやくそれは落着した。長かった。ひとえに長かった。解決と云う言葉にはほど遠いけれど、これで彼等と何の関係もなく暮らしていくことができる。一生何の関わりもなく生きていくことができる。そして、鍛えられた分だけ、俺はタフになった。本当に大切にしなければならないものは何なのか?それを身にしみて理解した。
 俺が今、これを書いているのは、俺のプライバシーを吐露したいからではない。ただ、世の中にはいろんな困難がある。あり得ない困難がある。そのまっただ中に居る人々に伝えたいことがある。これらの日々の中、俺の古い友人は自死を選んだ。俺の電話に最期のメッセージを残して。俺は何もしてやれなかった。それは何よりも辛いことだった。でも、どんな土砂降りの雨でも、決して降り止まない雨はない。暗闇の中だからこそ、見えてくる光がある。その光とは、金では決して買うことの出来ない「愛」だったりする。誰にも愛されていない人間なんていない。だから、絶望することはない。友人や家族はきっと君を支えてくれる。できれば、笑うことを忘れないでくれ。
 俺は新しい友人の店で、パディーで祝杯を上げた。ぐるんぐるんになるまで酔っ払った。悪くなかった。悪夢はもう終わりだ。さぁ、新しい人生を歩もう。

 支えてくれた多くの人たち。そう、あなたの事です。本当にありがとう。
 

by 山口 洋