下北沢にて

2006/01/14, 15:09 | 固定リンク

1月14日 土曜日 雨 

 そう云えば、今日はライヴだった。レコーディングの事で頭がいっぱいで、メンバー全員がスタジオで数日一緒に過ごしていたにも関わらず、誰ひとり「リハーサルどうする?」なんて事を云う輩は居なかった。大物っつーか、何も考えてないっつーか、いっぱいいっぱいっつーか、妙な自信っつーか、何と云うか。
 声を掛けてくれたのが lost in time じゃなかったら、今日のライヴはやらなかったと思う。何故なら、そのまま某高原で録音作業に没頭してた方がはるかに効率がいいんだし。何よりも、彼等は俺がヒートウェイヴを始めた時にまだ生まれてなかったのである。そんな連中とやるのは嬉しいような、ヒドくトシを喰ったような、でもそんな事は全く関係ないような、微妙な気分ではある。同時に、世代は違っても、2つのバンドにどこか重なる部分があるとするなら、多少の気恥ずかしさを込めて、音楽に対して「honest」であることだと思う。事実、客席の最前列にはおそらく彼等のファンであろう妙齢の女性たちが居て、総じてイノセントな瞳で音楽を楽しんでいた。まったくスレていなかった。そういう状況になると、俺はどこを見て歌っていいのか?になるのだが、音楽の川が、太古の昔から延々と何処かに向けて流れ続けていて、たまたま俺たちが早く生まれたってだけの理由で上流から「ドンブラコ」と流れてきたに過ぎんっつーことと、願わくばその川は「honest」に向けてこれからも流れ続けていくのだって事を受け取ってくれたら嬉しく思う。
 若い世代と音楽の話をするのはとても愉しかった。それは同時に自分を確認する作業でもあるからだ。呼んでくれて、ありがとう。また、何処かの空の下で。

追伸
 我々がライヴの前日に「ところで、明日、何着る?」なんて会話を交わすはずもなく。でも全員黒いシャツを選んでるところが何だか笑える。

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by 山口 洋