俺も終わりだ、ハニー。

2006/02/21, 23:47 | 固定リンク

2月21日 火曜日 晴れ 

 品行方正な俺は、昨夜も後ろ髪を引かれながら、打ち上げを早めに後にした。卑怯者と呼ばれようと、俺ももうじいさんなのだ。ツアーを続けながら、体力をキープせんといかん。許してくれ。ちなみに、その打ち上げは朝まで続いたらしい。
 遂に、自力で起きられなくなった。ホテルのフロントからの電話で目覚めた。ボサボサのボサノヴァ頭でロビーに下りていくと、熊野某は徹夜してるのに元気一杯。まったく若いってことは、それだけで羨ましかったりする。空港まで送ってもらい、男どもの抱擁をして、さ、東京だ。たまってる仕事を片付けて、さっさと寝るぞ、と思った俺がバカだった。最近の飛行機はカードで発券できるようになっている。俺はANAのカードを機械に入れて、意気揚々と搭乗ゲートに向かった。ん?何だか様子がおかしい。ばったり出会った、高岡でのお客さんはJALのチケットを持っている。ん?何だかおかしい。うちのスタッフが気を効かせて、次のANA便も押さえてくれてたのが仇になったのだ。俺が乗るはずの便は目の前の「JAL」と機体に大書された飛行機だったのだ。がーん。俺はいいひとオーラを身体中から出して、JALの係員に訴えた。「あと、5分しかないですけど、俺、荷物もANAに載せちゃったんですけど、な、何とかJALに乗せてくれませんか?」。「お客様、残念ながらもう間に合いません」。がーん。目の前をJALの飛行機が滑走していく。む、空しい。空しすぎる。ちょっとでも溜まってる仕事を片付けようと、一分でも多く眠ろうと、そのために俺は名古屋ではなく、東京に戻るはずだったのに。無駄にした時間、2時間。だから、俺は小松空港の喫茶店でこれを書いてるって訳さ。にゃー。俺は普段、この手のミスをしない男なのだ。もう終わってる。にゃー。これを書き終えて、コンピュータの蓋を閉めたら、そこには「no regrets」っちゅーシールが貼ってあったとさ。後悔先に立たず。

 ようやく飛行機は離陸した。金沢ー東京ってルートは、当たり前だけど、日本海側から太平洋側に抜ける訳で、眼下に白山、立山連峰、南アルプス、富士山、駿河湾、そして、次第に天気が悪くなっていく様子を眺めてた。飽きなかった。まるで巨大な立体的地図を見てるみたいだったんだ。

 東京に戻るやいなや、走り回って用事を片付ける。明日のライヴにコンタクトがねぇ、とか、いろいろ。夜、魚先生がやってきて、ミックスしたものを聞かせてくれる。まったく、彼の頭の中はどうなってんだろ?録音したものとは全く違う次元の音楽が完成に近づいていた。感服。でも、彼が若干憔悴していたのを俺は見逃さなかったけど。何にせよ、俺はツアーを、彼はミキシングを、圭一はデザインを、とそれぞれに動き続けてるのであった。

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by 山口 洋