完走。東京にて。

2006/03/18, 23:20 | 固定リンク

3月18日 土曜日 曇り 

 会場に行ったら、スタッフが沢山居て、びっくりした。物販に5~6人、PAにモニターに、照明にマネージャーにローディー、レーベルの人々、カメラクルー、イベンター、エトセトラ。今までは当たり前の光景だった。楽屋にコーヒーや食べものがあるのも当たり前で、俺は既にセットアップの終わったステージに上がって演奏するだけだった。でもこのツア−はほぼ、その全てをやらなければならなかった。一度原点に返ってみようと思ったのだ。会場に行って、挨拶をして、短いリハーサルをして、物販の打ち合わせをして、共演者が居るときはリハーサルをして、ライヴをやって、時には自分でPAをやって、並んでくれてるファンにサインをして、打ち上げをして、ホテルに帰って、webの原稿を書いて、金の計算をして、アルバム賛同者のデータ化をして、寝るのはいつも朝だった。だから、余計に今日のスタッフの仕事っぷりが身にしみた。バンドはメンバーだけで成り立っている訳ではない。ほぼひと月の間に22本のライヴ。気付くと2月は28日しかないのだった。確かに狂ってるけど、それだけにやり遂げた充実感があった。
 多分、ワンステージをやり切るだけのギリギリの体力しか残っていなかった。でも、楽屋に続々と旅の途中で出会った人々からの「気持ち」が届けられた。相馬の愛する親子からはトロフィーとせんべいの詰め合わせ、コメ先輩からは金メダル、電報、酒、弘前からはりんごジュース、巨大なビール、花、北海道からは鮭とば、チョコレート、エトセトラ。沢山あり過ぎて、書ききれません。本当にありがとう。
 俺はね、音楽の神様ってのが何処かに居ると思うんだ。コメが歌ってくれて、ステージに上がったら、いい意味で完全に「脱力」してた。何曲か歌ううちに、俺はただ、その流れに身を任せていただけだった。終わりしなは完全にバテてたけど。バンドもたった一日のリハーサルで、強固な演奏を繰り広げた。でも、音楽にはものすごい力がある。時に特大のハピネスを運んでくる。俺は訳もなく幸福だった。ありがとう。
 シングルの発売日だったこともあったし、ツアー全箇所でファンに会ってきたんだから、今日はものすごい数になるだろうとは思ったけど、希望する人にはサインをすることにした。寒い中、待っててくれてありがとう。
 何にせよ、少し休んだら、また音楽に向かいます。って21日は名古屋でライヴなんだけど。家に帰って、俺の完走を待ちわびていたウチの犬の頭をなでました。ありがとう。また何処かの空の下で。多謝&再見。

by 山口 洋